「書評」なんぞというたいそうなものじゃありません。「批評・評判」もどちらかと言うと苦手。
ま、無理矢理「おすすめの一冊」ってとこですか。

あそびすとショップ

美味良品 おとりよせしました

編集長!今日はどちらへ?

アラカン編集長モンブランを行く!

BigUp

asobist creator's file

  1. はいコチラ、酔っぱライ部
  2. ikkieの音楽総研
  3. 旅ゆけば博打メシ
  4. うららの愛♡Camera
  5. Tomoka's マクロビカフェ
  6. 三笘育の登山は想像力
  7. 憎いウンチクshow
シネマピア

おもいでリストにエントリー確実、公開前の話題の映画。

最近の映画記事はこちら

旅塾


2010年(6)
2009年(1)
2008年(12)
2007年(31)
2006年(3)
2005年(10)
2002年(10)
2001年(13)

■ エチオピアからの手紙

記事年月日 2007/04/23
作者名 南木 佳士 
ジャンル 小説 
出版 文春文庫 

エチオピアからの手紙
フレッシュ&ジューシー。チャーミング&キュート。そして、切なくて温かい。などいってもラブストーリーなんかでは決してない。
末期がん患者と向き合うドクターの話しだったり、内戦激するカンボジアの野戦病院に運び込まれる地雷で吹き飛ばされた足を切断処置する話だったり。遠くエチオピアで、死に逝く人をみつめることしかなす術もなくうなだれる日本人医師の話だったり…。「死」が道端の石ころのように日常に転がっている状況が高い濃度で語られる。

にもかかわらず、収められた短編5編はいずれも切ないほどの温かさに満ちている。常に死と向き合い「次は自分の番」と心静かに居住まう作者の視線がそれほどまでに体温を伝えてよこすのだ。
「医は算術にあらず、仁術なり」など声高に唱えるでなく、人として医師としての苦悩をフィルターにした、岩清水のように澄み切った清涼な滴りは渇いた喉を潤してくれるに違いない。

巻末、作者「あとがき」および「文庫版のためのあとがき」をしみじみ、ゆっくり時間をかけて読む。

いとしさがこみあげてくる。

記: 2007-06-26