「書評」なんぞというたいそうなものじゃありません。「批評・評判」もどちらかと言うと苦手。
ま、無理矢理「おすすめの一冊」ってとこですか。

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■ 残虐記

記事年月日 2007/09/06
作者名 桐野夏生 
ジャンル 小説 
出版 新潮文庫 

残虐記 (新潮文庫) (文庫)
小気味いいスピード感、チャーミングな舞台設定のミステリーといった桐野作品に対する既成概念を捨てなければならない。

空恐ろしい作品。読み終えて、ブツブツと鳥肌立った皮膚が治まるのに時間を要す。何かの折、ふと作品中のシーンを妄想していることに気づき、またゾワゾワ逆毛立つ。

特殊な状況設定、緻密な構成や鋭い分析に導き出されるリアリティーが故ばかりではない。何よりも内側に眠っていたものとのダブルイメージに恐怖する。

作品中にくり広げられた妄想界に無数に埋め込まれた「あらぬ」ものは、気がつけば読む側の意識の壁を突き破り、潜在下のドブをかき回す。封印されることで「平静」を保っていた「ドブ」が発酵を始め悪臭を放つ。その悪臭に身の毛がよだつのだ。

「ミステリー」であるとかないとか、そんなことはなんの問題にもならない。虚構が虚構を超え、真実をも突き抜け、読む側の「病み」と「闇」の封印をもこじ開けてしまう。これほど怖いことはない。

なぜなら、何が怖いかって、「己」が最も恐ろしい。「己」を最も知っている「己」にこそ心底恐怖するのだ。

もう、ダメ!
ショック!!!


記: 2007-09-20