記事年月日 |
2007/10/04 |
作者名 |
奥田英朗 |
ジャンル |
小説 |
出版 |
講談社文庫 |
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さてこれは刑事もの?
刑事が犯人を追うのだからして。いやしかし、ちょっと枠外のような。
では、サスペンスなのか?
んーん…サイコといえば言えるな〜。確かに。
刑事ものであり、サイコであり、人間ドラマであり…複数のフィールドに足を突っ込みながら、どれにもどっぷりというわけでもなく、しかしながら的確に掘削された、これが奥田作品の奥田作品たる所以なのかもしれない。
社会面の片隅にごく小さな記事にしかならないような、ありふれた「事件」をとっかかりに「世間」や「警察組織」や「人間心理」をあぶりだす見事。など感心しているうちに上下巻を読み終わる。
が、読後にじーんわり効いてくる、怖さ。
どこにでもいそうな主婦。「誰それさんの奥さん」「なになにちゃんのお母さん」もっぱら付帯として総称される「罪なき」社会的スタンスがいつの間にか入れ替わる。犯人の妻。
大切なものを守ろうとして、忌むべき総称を跳ね返そうとしてもがくあまり、何が最も大切にせねばならないものなのか、何を守ろうとしていたのかさえ見失うというワナ。
ちょっとした道しるべの見誤りが一旦「価値観」にネジレを起こすと、ついには、とんでもない落とし穴にはまり込む。
いやいや、他人事ではありません。
人間はかようにか弱いものなんでしょ。
何が何のために「邪魔」なのか?
deleteする前に、もう一度よーく考えないといけませんな。
ため息が出る。
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