「書評」なんぞというたいそうなものじゃありません。「批評・評判」もどちらかと言うと苦手。
ま、無理矢理「おすすめの一冊」ってとこですか。

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■ ブラックペアン・上下

記事年月日 2010/10/15
作者名 海堂 尊 
ジャンル 医療ミステリー 
出版 講談社文庫 

ブラックペアン(上)
ブラックペアン(下)
いやー、読み出してすぐに嬉しくなる。
一連の海堂作品、すなわちバチスタ、田口&白鳥シリーズ及びその周辺の時系列からいうと、そうとう時は遡る。なにせ高階がペーペーの外科医で、グッチー田口やジェネラル速水、ガンガン魔人島津が大学2年生。『ひかりの剣』とほぼシンクロしていて、同作では描かれなかった医学生としての顔が見られるんだからねー。

この発見、大きな楽しみを以ってしても、あえて時系列を外して作品群を狩していくのが面白かろうと、何度でも言いたい。

読み出したが最後、あまりにもの手際のよい筆「術」に止まらなくなる。わけなく上下巻を通読すると、次に読むべき作品を買いそろえておいたことにニンマリする。心楽しい余韻のままに次作に読みかかれることの、なんて幸せ。

ペアンとは手術や外科処置に用いる止血鉗子の一種。主に体腔内組織の止血や組織把持に用いられる医療器具。
本作の表題の意味づけはかなり後半で出現するのだが、最後の最後にその行方・終結が如何なるかを知るに及んで「んーむ」とうなってしまう。

日本の医療の監督官庁・厚生労働省をバッサバッサと切って捨て、返す刀で「医」そのものも内側からかっさばいてみせる海堂魂だが、内実にしっかり「医の良心」を熱く抱きかかえていることも確かとわかって、受療者としてはちょっとほっとする。なんだかだいっても、一般人にとってはドクターはあくまでも「お医者様」なんですから。


記: 2010-10-20