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実在の老狩人と犬たちの絆を描いた感動作、『狩人と犬、最後の旅』。自身も冒険家であり、本国フランスでは国民的英雄と称されるニコラス・ヴァニエ監督が、本作にかける思いを語った。

Q: 主演のノーマン・ウィンターとの出会いをお聞かせください。

ニコラス監督: 「最初に彼に出会ったのは、私が犬ぞりで太平洋から大西洋への横断旅行を行っていたときです。偶然の出会いでした。ノーマンは私が昔から表したいと思っていた“自然と人間の調和”というテーマを体現している象徴的な人物だったんです。彼が自然に対して持っている哲学や生活の美学を聞きながら、この人こそが私の理想にピッタリな人物だと確信しました。そのことを提案すると、彼は快く引き受けてくれたんです。」

Q: 彼への演技指導はどういったものだったのでしょう。

ニコラス監督: 「私も彼も願っていたのは…これは演技ではなく、本当にその場面を生きようじゃないか、という信念だったんです。だから私は彼を俳優として演技指導したことは一切ありません。彼の指がかじかむシーンがあります。普通の監督、普通の作品であれば、彼にメーキャップを施して不健康そうに見せ、そして“演技”をさせるのでしょう。でも彼はマイナス40度の気温の中で、自分の手が凍えてくるのをずっと待っていたのです。彼が実際の出来事と同じ条件になったところで撮影した結果、あのシーンが撮れたのです。ノーマンと私が示したかったことは、この映画が偽物ではないということです。すべてのシーンは、実際にあったことを再現するというかたちをとりました。やらせや騙しといったものは一切やりたくなかった。また、この作品づくりで我々に共通していた概念があります。決して自然や動物を賛辞するだけの作品にしないということ。あくまでも、自然と人間との関係性をそのままに描くことが大切だったのです。しかも、なぜ私が南極ではなく北極を選んだか。私は人間が好きだからなんです。人間というものは、生きている土地に魂を与える存在だから、やはり人間がちゃんと生活している北極に、私は惹かれていったわけです。」

Q: 自然に対するそうした考え方は、以前からお持ちだったのでしょうか。

ニコラス監督: 「はい、昔から少しずつ生まれてきたものですね。人間がとてもよいバランスの上で自然と一緒に生きている姿、そういうものを映画に映し出したかったんです。特に今、現代の人間はあまりにも過剰需要をして、その結果、自然を潰してしまっている。これは非常にアンバランスな状態ですよね。だからこそ、自然と人間が均衡の上に調和して生きている姿を表現したかったんです。

ノーマンと自然との関係というのは、地球に生きている我々にとって、まさに模範となる姿だと考えています。これは日本でも同じだと思うのですが…フランス人の消費量というのは、これを今のまま続けていったら地球が2.5倍(!)必要だと、そういった統計が出ているんです。人間はいろいろなところから搾取して生きてきているけれど、結果、自然の資本を食い潰している。逆にノーマンは、自分の取り分はほんのわずか。そういう生き方も可能なんだということを体現しているんです。」

Q: そういったことを教える教育システムが必要だと思われますか。

ニコラス監督: 「本作はフランスの国民教育省から、教材として使うように指定されたんです。小さい子どもたちが自然に対して自覚を持ってくれるようになったのには驚きましたね。

15〜20年前は、地球の資源は無尽蔵にある、そういう意識しか持っていませんでした。でも今はそうした子どもたちの例のように、自然の資源には限りがあるという自覚が少しずつできてきてますね。象徴的な話として…たとえばニワトリと卵があれば、我々は今までニワトリを先に食べてきた。でも、これからはニワトリという自然が生み出す“卵”のほうを食べることで自然と共存していく…それが大切なことだと思うんです。」

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 ・監督/脚本 ニコラス・ヴァニエ
 ・公開 8月12日(土)より、テアトルタイムズスクエア、
  銀座テアトルシネマ他全国順次公開
 ・公式サイト http://www.kariudo.jp/
 ・シネマピア記事ページ


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記:林田久美子2006/08/02

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