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1976年に公開されるやいなや、日本に一大ブームを巻き起こした映画『ベンジー』。初代ベンジーによる映画公開から30年たった戌年の今年、新星ベンジーと多くの仲間たちによる最新作『ラブいぬ ベンジー はじめての冒険』が公開されます。プロモーションのために来日した監督と犬のベンジーを取材してきました。



Q: ベンジーをスカウトした際、決め手になった点は何でしょう?

監督: オリジナルの『ベンジー』が公開されたとき、アメリカでは100万人以上の方がベンジーが施設育ちだということを知っていたので、今回もそれが価値ある使命と考えたので、全米の保護施設を回ってベンジー探しをしました。

でも、3ヶ月たってもまだ見つからなくて、ちょっと心配になったんです。ベンジーにはいろんな資質がなくてはならないんです。
例えば独立心だったり、賢くなきゃいけなかったり、周囲に何が起きているかを把握する直観力、それから、人を惹きつける大きな茶色い目も持っていなくてはならない。
こんなふうに静かにして落ち着いていられるというのも必要ですし。


うんうん、確かに、インタビューが始まってからこの方、ベンジーは1回も吠えたり唸ったりしてないんです。すごくお行儀よくて、ビックリ。


監督: たくさんの人と仕事をする、子どもたちとも共演する、そのたびに反応したりとか怯えたりとか、そういうことは望ましくないですから。そんな要素をすべて備えている犬になかなか出会えなくて、大丈夫かな? と思い始めたときに彼女(ベンジーは雌犬)に出会ったんです。その目を覗き込んで、一目でこの犬だとわかりました。人に何かを与えてくれる、愛情あふれる性格の犬なんです。


Q: 撮影時のエピソードや、苦労した点などはありますか?

監督: 犬が演技をして感情を表現するので、作品の出来は犬の肩にかかっているんです。だからこそ、よりリアルに見せてくれる魔法のような表情を捉えなければいけないんです。このベンジーの演技は本当に素晴らしかったので感謝しています。撮影時は毎回そうなんですが、魔法の瞬間にたどり着くまでは試行錯誤の繰り返しで作っています。

父役の俳優は本当は優しい方で、ベンジーを叱ったりするのがすごくイヤだったそうで、なんとかベンジーのいないところで別撮りで叱る演技をしたかったと懇願されました。
『ベンジーに嫌われるのはイヤだよ』って。その彼をなだめすかすのは大変でしたが。


林田: 人間のほうが大変だったんですね?


監督: いつもそうだよ(笑)。だって、犬は言い返したりしないから。


Q: この映画のメッセージ性なんですが、『みにくいあひるの子』のように、他と違って生まれてきた子をいじめたり迫害したりしちゃダメだよ、ということを伝えているようにも思えたのですが。

監督: 意識したわけではないんですが、確かにそういうメッセージはあるかもしれませんね。
どのベンジー映画も“アンダードッグ”、ダメダメなキャラクターがいろんなことを成し遂げていくというタイプなんですね。それとともに、希望と愛、そしてゴールに向かって歩き続ける、この3つのメッセージを持っているんです。努力して諦めないことによって、最後には勝利を得るという物語になっているんです。


林田: 日本では、いじめが原因で小学生が自殺するという事件もあるんですが、この映画がヒットすることによって、そうしたいじめ問題が少しでも改善されればいいな、とも思いました。監督はどう思われますか?


監督: 朝のテレビ番組に生出演したときも、その問題を取り上げていました。


監督の奥様:
(キャサリン)
確かに『ベンジー』のメッセージは、人と違うということは、いい意味で“特別”だということを言っているのかもしれません。



監督: 日本人の出演者の多くは、いじめられた側のことを中心に話していたのですが、あるアメリカ人の出演者は、いじめる側のほうをなんとかしたほうがいいと発言していました。これは日本とアメリカの文化の違いなのかもしれません。
この映画が何らかの力になることができれば、とても嬉しいです。


Q: いわゆるハリウッド・スターの起用がないのは、狙いでしょうか?

監督: トップスターを起用してしまうと、ベンジーとぶつかってしまうんです。
ベンジー自身が立体的なキャラクターとして作品のすべてを背負っている存在だし、映画を推し進めている推進力そのものなので、もうスターが入り込む“場”がないんですよね。

それから、これは昔から言われていることですが『動物や子どもとは共演するな、負けるから』という言葉があります。もしスターを起用してしまうと、ストーリーそのものが違うほうへ行ってしまうかもしれませんし。
また、ハリウッドは作品を作る際のクリエイティブコントロール権を100%持ちたがるので、我々はそれを明け渡すつもりはないんです。



初のベンジー映画は自ら資金を調達して完成させ、配給会社さえも自身で設立し、キャッチコピーもプレス資料もブッキングも自らが行ったという監督。
すべてを自分の力だけでやってのけたバイタリティーは、スクリーンを通じてそのエネルギーをあふれさせ、私たちに勇気を与えてくれます。


最後に、私にもベンジーを抱っこさせてくれました。ふわふわであったかくて丸っこくて、とってもかわいいベンジーだったのでした。



 ・監督・脚本・製作 ジョー・キャンプ
 ・出演 ニック・ウィテカー、クリス・ケンドリック、ランドール・ニューサム、
     ドゥエイン・スティーヴンス、ニール・バース
 ・公開 11月11日(土)、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー
 ・公式サイト http://www.benji.jp/
 ・ジャンル:洋画



記:林田久美子2006/11/05

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