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映画『サンシャイン 2057』真田広之/来日インタビュー

太陽滅亡の危機から人類を救うために宇宙船に乗り込むエリートたち。才気あふれるそれぞれのクルーをまとめるカネダ船長を演じるのは、日本を代表する国際派俳優、真田広之だ。本作を手がけるダニー・ボイル監督は『たそがれ清兵衛』を見て真田の存在感に圧倒され、キャスティングを決めたという。現在はLAに拠点を置いて各国の作品で活躍する真田が凱旋し、本作への思いを語った。
スタイリスト:勝見宜人/ヘアメイク:高村義彦

カネダ船長役 真田広之

Q: 作品をご覧になって、いかがでしたか?

真田:
そうですね、太陽に向かって旅をしながら、多国籍のクルーが一丸となって任務を遂行しようとする。
≪ここからネタバレ 空白部分にカーソルを当てると読めます→≫そこに立ちはだかるのがエイリアンでも化け物でもなんでもなく、“人間”だというところに非常にテーマを感じましたね。≪←ネタバレここまで≫ダニー・ボイル監督らしいといいますか、単なるホラーやサスペンスや宇宙のミッションものというところにはとどまらないテーマがそこにあるな、と。今まで観たいろんな宇宙もののいろんな要素がふんだんに取り込まれつつ、ちゃんとオリジナリティ=個性があるな、というのが第一印象でしたね。


Q: 人間の本性などが浮き彫りになってくる、とても深い作品でしたよね。

真田:
そうですね。特に今は、地球の環境問題もそうですよね。リハーサル中に、太陽が死滅したら地球はどうなるか? というような講義を受けたんですが、すべての生命体にとっては、そうなったら未来はないですから、そういう近未来に起こりうる恐怖も感じますし。太陽は変わりなく光を注いでくれたとしても、地球側で受ける環境が変わってしまうと……今ですらだいぶ変化が起きてきてますけど、こっち側の問題で滅びてしまうこともあるわけで。そんなことを考えさせられますよね。
≪ここからネタバレ 空白部分にカーソルを当てると読めます→≫そしてエンディングで、ふと、「彼らはミッションを遂げたんだ」という瞬間にすごくホッとする反面、「ホッとしていいのかな?」って、「これからもっと危機感を持たなきゃいけないんじゃないかな?」という疑問がわく。だからといって「みんなボランティアに参加しろ」というわけではないんですけど、≪←ネタバレここまで≫観終わったあとに、太陽のありがたさとか、当たり前のようにある酸素とか、自然の恵みとか…そうしたものは有限であるし、自分たちで守らなきゃいけないんだっていう気持ちをお土産として持って帰ってもらえれば、この作品の意義が高まるんじゃないかと思います。


Q: 地球の最後について、どう思われますか?

真田:
これだけ環境問題が語られてますから、改善できるところはだんだん改善されていくとは思います。でも、地球の歴史の中でここ100年の変化の激しさたるや、凄まじいわけじゃないですか。本当に歯止めが効くのかどうか? という不安はまずあるし……。
≪ここからネタバレ 空白部分にカーソルを当てると読めます→≫この映画の、人類最後の敵は人間なんだという怖さは、≪←ネタバレここまで≫やはり核問題にしても、ボタンひとつで簡単に地球が消滅してしまう時代に突入していると思うんですよ。だからもしかして、人の手によって地球が最後を迎えてしまうのでは? という不安はありますね。



Q: 本作の出演前と後で、死生観というのは変わりましたか?

真田:
以前からわりと、初日の出に手を合わせたり、願いをかけてみたり、夕日に何かを誓ってみたり(笑)、日常的に何気なく頼ったり信じたり感謝したりはしていたと思うんですが、その思いが深まりましたね。当たり前に降りそそいでいるもの、当たり前に存在していることのありがたさが変わりました。あとは、彼らが宇宙船に乗ってミッションを行ったということは、8人の役者が共同生活を経て作品を作りあげたということと精神的にオーバーラップできます。僕たちは僕たちで、作品作りというミッションを持って人生の何ヶ月かを捧げているわけですから、撮影期間中、どこで何が起こったとしても本望だと思いながら、役者は仕事をしていると思うので。そういう意味では、大きく変わったというよりは強まったということですかね、国境をこえてひとつになれるという想いが。


Q: カネダ船長の存在感は素晴らしかったですが、彼には裏設定みたいなものはあったのでしょうか?

真田:
1ページくらいの、彼のプロフィールとか過去の経緯とかが書かれていたものを脚本家が渡してくれて。それに基づいて自分の意見、監督の意見を入れながら、ここに至るまでの経緯、ヒストリーを作っていったんです。まず、彼には両親も家族もない。そしていちばん経験豊富な宇宙飛行士ですから、何度も何度も宇宙で危険な目にも遭い、特にこのミッションの危険性は重々承知していて、地球に帰れないことも覚悟で乗り込んできている。そういう設定になっていました。それから、ブディスト(仏教徒)であるという設定があったので数珠をしていたんです。仏壇で仏様を祀って、そこに両親の遺影……これはロンドン在住の日本人の方をオーディションして選んだのですが……を飾って、小さな杯にお水を毎日あげてるというシーンもありました。劇中ではカットされてましたけど。そういう設定に基づいたものがカネダ船長の生活空間には置かれていました。


Q: ≪ここからネタバレ≫「そこから何が見える?」としきりに問われるシーンがありましたが、≪←ネタバレここまで≫カネダ船長には何が見えていたのでしょう?

真田:
彼は船長という立場を超えて、太陽というものに対しての思い入れというのが人一倍強かったんじゃないかと思うんですね。そこには、どこか神という存在があって……それは宗教的な人物神というよりは、万物創生の神という、何かを超越してしまったすべての根源へ帰っていくようなイメージで。≪ここからネタバレ 空白部分にカーソルを当てると読めます→≫太陽に向かって旅をする物語、あれだけ太陽に近づいていく映像というものは今まであまりないと思うのですが、神に近づくという思い、それから、人類誰もが体験したことのないところに触れる瞬間というのは、当然、死ぬということはわかっているので、使命感としては任務遂行まで生きられない申し訳なさはありつつも、太陽信仰者という立場でいくと、むしろ神聖な喜びと死への恐怖とがないまぜになっている…もしかしたら体が燃える瞬間にはエクスタシーに近いものが彼にはあったんじゃないかと。≪←ネタバレここまで≫


Q: カネダ船長の下の名前は「Akira」ですよね。ダニー・ボイル監督が大友克洋(ex.『Akira』)のファンという噂を聞いたのですが。

真田:
聞いてはいないのでわからないですけど、「Akira」のネーミングはそうかもしれないですね。ただカネダ(Kaneda)に関しては、裏話ですけど、最初はアメリカ人の名前だったんですね。それが日本人になったところで本が書き変えられたんですけど、最初はカナダ(Kanada)になってたんですよ。カナダさんっていないこともないだろうけど、サウンド(音)で聞くと、キャプテン・カナダだとカナダ人みたいな(笑)。「カネダのほうが、たぶん日本人が聞いておかしくないし、一字違いだから美術さんも直しやすいんじゃないでしょうか」ってアレックス(脚本家)と監督に言ったら、「問題ないよ」ということだったので、僕がカネダに変えてもらったんです。名前聞いただけでひかれると困るんで(笑)。そのへんも含めて自分の役割だと思っているので。なるべく抵抗なく日本の方にも観てもらえるように、カネダは自分で命名しました。





 ・監督 ダニー・ボイル
 ・出演 キリアン・マーフィ、クリス・エヴァンス、ロース・バーン、
     ミシェル・ヨー、真田広之ほか
 ・公開 4月14日(土)より有楽町スバル座ほか全国ロードショー
 ・公式サイト http://www.sunshine2057.jp
 ・ジャンル 洋画

(c)2007 Twentieth Century Fox.
記:林田久美子2007/03/29

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