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おもいでリスト」にエントリー確実、公開前の話題の映画。懐かしいシーンの掘り起こし。「独断と偏見」「愛と思い込み」をこめてお届け
『初恋の想い出』監督来日インタビュー

80年代の中国を舞台に贈る、一途な想いを美しい映像で描いた『初恋の想い出』。
『故郷の香り』(出演:香川照之ほか)では第16回東京国際映画祭コンペティション部門最優秀作品賞、優秀男優賞を獲得するなど、国内外を問わず高い評価を得、同映画祭で本年度の審査員長を務めるフォ・ジェンチイ監督が来日し、最新作への思いを語りました。




それではまず、本作を撮ろうと思ったきっかけをお教えいただけますか?
監督 8年ほど前に読んだ、新聞の連載コラムがきっかけなんです。恋愛体験や結婚について一般の方の体験談が載っているコラムなんですが、そこに本作のモデルとなるエピソードが書かれており、私の琴線に触れたんです。
その後数年が経って次の映画の話になった時にこの話を思い出し、映画化しようと思いました。2人は自分たちを『ロミオとジュリエット』に重ねたんですが、そのことはコラムに書かれた事実であり、彼らは本当にこの作品を支えにして、長い間愛情を貫いたんですね。そして、お互いを励ますためにこの作品に関するいろいろなものを集めて、耐え忍んでいたのです。
あの時代の人たちですら愛を通したわけですから、今の時代の自分たちにできないことはない、と2人があんなに長い間愛を貫いた事実には非常に感動しました。


本作の設定である80年代の雰囲気を出すために、一番こだわったところはどういったところでしょうか?
監督 そうですね、一番こだわったのは服装や小道具ですね。
例えばホウ・ジア(ルー・イー)の母親がコップを包むコップカバーを編んでいるシーンがあるんですが、80年代はみんなそういう小物を自分で編んでいたんですね。そういった当時の小道具や習慣には非常にこだわりました。きっとあの時代を知っている人にとってはすごく懐かしいだろうし、若い人たちにとっては新鮮に写ると思います。


主演であるヴィッキー・チャオとルー・イーを起用したきっかけをお教えください。
監督 中国の業界人が集まるパーティに出席した時、ちょうどヴィッキー・チャオとルー・イーがラブソングをデュエットしていたんです。その時、ヴィッキーがルーの肩に寄り添って歌っているのを見て、とてもお似合いだな〜と思ったんですね。
そして本作は、美男美女が結ばれないという悲劇である『ロミオとジュリエット』に、観客が2人の姿に投影してこそ成り立つ作品だと思ったので、美男美女でしかも演技ができるこの2人の起用を決めたんです。


2人の演技からは、当時の恥じらいやもどかしさがとても伝わってきましたが、監督は2人にどういった演技指導をされたのでしょうか?
監督 この映画は、最初は淡くほのかな恋心が、だんだん愛という確かなものに変化していく過程を描いているので、役者たちの心の演技が非常に重要だったんです。
例えば、アイスクリームを食べながら自転車で2人乗りをしている時の、まだ愛とは言えないような感情が、自転車の乗り方を教えたりしていく内にだんだんと距離が縮まっていき、変化していくというシーンがあるんですが、その中で一つひとつの細かな動作を私がすべて考え、指導しました。そういった設定をすることで、2人には気持ちの部分を表現してもらいました。特にヴィッキー・チャオは、今までの活発なイメージとは異なる、自分が演じたことのないような役を演じることで別の一面を表現したいと思っていたようです。そういう意味で、この映画は彼女にとっても非常に大きな収穫のあった作品だったと思いますよ。


『山の郵便配達』同様、今回の作品も詩情に満ちた映像美がいき渡っていましたが、監督のお気に入りのシーンはどこですか?
監督 たくさんあるのですが、あえて挙げるのであれば、ライラックの花の海の中を2人が自転車で走るシーンとか、葉っぱの映像越しに2人がロミオとジュリエットの台詞を読むところとか…でしょうか。数え切れないくらいたくさんありますよ(笑)。


観る人によって様々なとらえ方ができるラストシーンでしたが、あのように描いた理由を教えてください。
監督 長い月日が経ち、最後の最後で一緒になれるという2人の気持ちはどういうものなのか、と想像したんですね。それは喜びなのかそれとも悲しみなのか、と。
例えば、オリンピックで金メダルを取った選手は、嬉しくて笑うべきところなのに思わず泣いてしまいますよね。それは、長い年月の間にどれだけ犠牲を払って生きてきたかと考えたとき、本人も観ている方も非常に胸に迫るものがあるからだと思うのです。なので、そういった複雑な心理状態を描くには、あのラストがベストだと思ったんです。


次回作について教えていただけますか?
監督 定年退職を迎えた工場労働者が、山西省太原を舞台にふるさとに貢献しようとする話で、ごくごく普通の人がちょっと偉大なことをするというドラマです。すでに撮影は終わり、現在ポスプロ中です。楽しみにしていてください。


今年の東京国際映画祭では審査委員長をお務めになるとお聞きしましたが、現在のご心境を教えていただけますか?
監督 東京国際映画祭は、2003年に『故郷の香り』で名誉ある賞を頂くなど、とても縁が深い映画祭だと感じています。そういった映画祭で審査委員を務めることはとても光栄に思っています。


では、最後に映画をご覧になる皆さまにメッセージをお願いいたします。
監督 時代がどんなに変化しても、純粋な愛情は人に幸せをもたらすものだと思います。特に今の若い人に愛を信じてもらいたいと思い、この映画を撮りました。物質的に豊かになった時代でも愛が大事なんだよ、ということを感じていただければと思います。



 ・監督:フォ・ジェンチイ
 ・出演:ヴィッキー・チャオ(『少林サッカー』『レッドクリフ Part1』)、ルー・イー
 ・公開:10月4日(土)、渋谷シアターTSUTAYA他全国順次ロードショー
 ・公式サイト:http://www.hatsukoimovie.jp/
 ・ジャンル:邦画


記:林田久美子2008/09/29

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