シネマピア

その土曜日、7時58分

原因結果の法則と言おうか、因果応報と言おうか。良い種を蒔けば良い実が、そして悪い種を蒔けば悪い果実が生る。例え被害を蒙るのが赤の他人であっても、その果実は必ず自分の畑に実ることになる。
舞台はニューヨーク。一見、だれもがうらやむ優雅な暮らしをしていた会計士のアンディは、離婚して娘の養育費もまともに払えない弟ハンクに禁断の企てを持ちかける。それは、実の両親が営む宝石店への強盗計画だった。何のぬかりもないはずのその計画だったが、決行の当日にとんでもない誤算が巻き起こり、仲むつまじいはずだった家族の確執が徐々に明らかになる…。

本作の原題は『Before The Devil Knows You’re Dead(死んだのが悪魔に知られる前に)』。アイルランドの古い乾杯の音頭「死んだことを悪魔に気づかれる30分に天国に行けますように」から付けられたものだ。キリスト教圏であるアメリカでは死後の天国や地獄の存在が信じられており、悪事を重ねた人間は地獄行きを恐れる。それほどの悪行を重ねた人間の、悲しい悲しい物語が本作というわけだ。
兄役を演じるのは、『カポーティ』でゴールデン・グローブ賞主演男優賞を受賞した実力派俳優、フィリップ・シーモア・ホフマン。感情を表に出さずに、だがその役どころの思いを見事に表現しきっている。対する弟役を演じるのは、最近では監督業にも進出しているイーサン・ホーク。人生の負け犬に落ちぶれてしまった女々しい男を、情けないほどにこれまた見事に演じている。欲を貫くために強固な意志を持ち続ける兄と、欲に翻弄されて場の状況に流されまくる弟。それぞれのコミュニケーション不足が、最悪の事態を招いていく。
そして救いようのないラストは、「血は争えない」という逃れられない事実をまざまざと思い知らせてくれる。因果応報の“悪い種”は、この世に生を受けたときからすでに蒔かれていたのだ。

その土曜日、7時58分 コレクターズ・エディション(DVD)
監督:シドニー・ルメット
脚本:ケリー・マスターソン
出演:フィリップ・シーモア・ホフマン /イーサン・ホーク /アルバート・フィニー
ジャンル:洋画

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エンタメ シネマピア   記:  2008 / 10 / 10

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