シネマピア

湖のほとりで

誰にでもふとつやふたつ、誰にも言えない秘密がある。なぜ人はそれを誰にも明かそうとしないのだろう? その秘密を知られた途端、自分自身が傷つくということを知っているからだ。秘密とは、弱点そのものでもある。だから仮にその秘密を打ち明けるとしたら、何があっても自分を傷つけない相手を選ぶ。旧来の友人であるとか、自分を愛してくれている家族や恋人であるとか……犬や猫が、信頼した相手にしか腹を見せないのと同様に。だが、さほど親しくない相手に秘密を打ち明けざるを得なくなったとき、その傷口はヒリヒリと痛み出す。たとえ1ミリに満たない小さな傷だとしても、その痛みは昼夜を問わずに自らを苛み続ける。

北イタリアののどかな村の湖のほとりで発見された少女の死体。争った形跡のないことから顔見知りの犯行だと推測され、村に越してきたばかりの刑事が事件を担当することになる。捜査を進めるうち、村人たちの人間関係や家族のあり方が明らかになっていく。そして刑事もまた、深い悩みを抱えていた……。

小さな劇場での公開から口コミで240館以上へ広がり、イタリア・アカデミー賞史上最多10部門を受賞した本作。壮年の刑事が解きほぐしていく村人たちの“秘密”はあまりにも痛々しく、その秘密が明らかになったからといって傷が癒えるわけでは決してない。そんな簡単なものではない。だが、そうした誰もが持つ傷がそう容易く治るものではないという現実をスクリーンの中に見、観客は少しの救いを見出すのだ。そう、人間は誰もが完璧な存在ではない。外見はおだやかに見えるかもしれないが、誰もが不安と闘っている。だから自分の中にその“傷”があったとしても、それはごくごく普通のことなのだ。人間である証拠なのだ。あの村人たちと同じように、と。

レインマン』『ハンニバル』『フリーダ』といった名作に出演した俳優らの重みのある演技が光る、確かな一本だ。

湖のほとりで(DVD)
原作:カリン・フォッスム
監督:アンドレア・モライヨーリ(原案も)
脚本:サンドロ・ペトラーリア(原案も)
出演:トニ・セルヴィッツロ /ヴァレリア・ゴリーノ /アンナ・ボナイウート/オメロ・アントヌッティ
配給:アルシネテラン
ジャンル:洋画

© 2007 INDIGO FILMS















エンタメ シネマピア   記:  2009 / 07 / 16

あそびすとショップ

美味良品 おとりよせしました

編集長!今日はどちらへ?

アラカン編集長モンブランを行く!

BigUp

asobist creator's file

  1. はいコチラ、酔っぱライ部
  2. ikkieの音楽総研
  3. 旅ゆけば博打メシ
  4. うららの愛♡Camera
  5. Tomoka's マクロビカフェ
  6. 三笘育の登山は想像力
  7. 憎いウンチクshow
シネマピア
おもいでリストにエントリー確実、話題の映画!
【映画レビュー】グリーン・ナイト

アーサー王の甥・ガウェインは、宮殿…

旅塾

▲このページのトップへ