シネマピア

サマーウォーズ

20090731115610picm.jpg夏休みにふさわしく、家族揃って安心して笑って泣ける、しかも和心(わごころ)あふれるエンターテイメント作品の登場だ。

デジタル仮想都市、OZ。主人公の小磯健二17歳は、そのOZのメンテナンスのバイトに明け暮れる夏休みを送っていた。ある日彼は、あこがれの先輩である夏希のバイトを頼まれることになる。そのバイトの内容とは、夏希の田舎の長野で彼女のフィアンセのふりをすること。祖母の誕生祝のために一同に集まった親戚たちの前で、ボロが出ないように一生懸命フィアンセを演じる健二。そんな折、幾百もの数字が羅列してある一通のメールを受け取る。数字しか取り柄のない健二の血はうずき、徹夜で解答を導き出し、そのメールに返信してしまう。だがそれは、とてつもない事態への引き金だった……。

20090731115610pic1.jpgインターネット、おサイフケータイ、住基ネット等々……。今やネットワークは世界中を網羅し、万全なシステムを築き上げようとしている。本作の設定はこれから何年か先であろう、ショッピングモールやエンタテインメント施設はもちろん、公共機関の窓口に医療データベースも完備され、享受しうるすべてのサービスをシステムに頼りきってしまった世界だ。進入不可能と称されていたそのシステムに悪意ある何者かが侵入し、リアル世界を崩壊させていく。それを止めるのが主人公と、たまたま帰省で集っていた親戚一同たちであるわけだ。
システムという便利なもの、対して親戚づきあいという面倒なもの。便利なものが崩壊したとき、面倒なものがそれを立ち直らせていく。フォーマットどおりのサクセス・ストーリーではあるが、私は今回、それを否定しない。その中に現代への警告が確かに込められているからだ。
核家族化が進んだ今、ここまで理想的な“親戚”のあり方は、ひょっとすると今では珍しい形なのかもしれない。だが、スクリーンに映る緑の山々や抜けるような青空、白い白い入道雲、そして登場人物らのほのぼのとしたドタバタ劇を見ると、ついつい思ってしまう。面倒だけど(笑)、今年も田舎へ帰ろうかな、と。

サマーウォーズ(Blu-ray)
サマーウォーズ完全設定資料集(大型本)
監督:細田守
脚本:奥寺佐渡子
出演:神木隆之介 /桜庭ななみ /谷村美月/富司純子(すべて声の出演)
配給:ワーナー・ブラザース映画
ジャンル:邦画
公式サイト:http://s-wars.jp/

© 2009 SUMMERWARS FILM PARTNERS















エンタメ シネマピア   記:  2009 / 07 / 31

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