シネマピア

BANDAGE バンデイジ

何を隠そう、私もバンド経験がある。だからこそ、本作は実に生々しく胸に響いてきたのだ。

都内の高校に通う普通の女子高生は、ある日、友達からLANDSというバンドのCDをもらう。すっかりLANDSのファンになった彼女は、ライブの当日にLANDSの楽屋に忍び込むことに成功する。ボーカルに気に入られた彼女は次第にLANDSに深く関わっていくが、LANDSがメジャーへと昇りつめていくなかで、様々な葛藤と欲望が渦巻いていく……。

本作は、実際に音楽業界でプロデューサーとして君臨する小林武史が、自らの経験を投影するかのようにバンドの生々しい実情を抉り出した作品だ。バンドとしての成功は「いかに方向性や相性の合致したメンバーと出会えるか」ということに尽きる。だが、そこは生身の人間だから、そうそう上手くいくものではない。ましてや舞台は音楽業界だ。売れるかどうかわからないものに大金を投資し、宣伝をかけていく。一発目が当たっても、二発目が当たるとは限らない。そんな当たるも八卦、当たらぬも八卦な世界に身を投じ、大掛かりなパチンコ台で自らの音楽が玉になり、世間という台をコロコロ転がり続ける。
決してダメなものなど作っていない、そこには好き嫌いがあるだけのはずなのに、「売れない」結果が出るだけで、作品自体が「ダメ」との烙印を押されてしまう。そんな理不尽な音楽業界の下部を、アヒルが水面下で必死に動かしている足ヒレを、じ?っと観察するかのようにカメラが追う。
そこには慈悲も無慈悲もなく、売れるか売れないかの処刑台だけがその冷たい存在感を増し……と思いきや、(やや無理やりな感が否めないが)美しいラストが用意されている。プロデュースは岩井俊二だが、監督は小林武史、そして原作があっての本作だ。いつもの岩井節を楽しみに観に行くと肩透かしを食らってしまうだろう。LANDSにしかわからない事情や心情があるなら、もっとそこを深く掘り下げて描写してほしかった。

前述の経験から、今の私はバンドという大所帯ではなく、ユニット(現在はボーカルの私とギターの相方での2人組み。2/3にメジャーリリースされた件をあそびすとでも「イベント紹介」に掲載していただいています。)という最小単位での音楽活動に落ち着いてしまった。やりたいことで繋がっているからこそ、その方向性が少しでも違っていたら多大なストレスがかかってしまうからだ。好きなことというものは心の奥底から湧き上がってくるものだから、意識的にその方向性を舵取りできるものではない。ならば、自分の手におえる最小限の単位で、自分の理想になるたけ近づけながら作品を紡いでいきたい。人数の多いバンドはコントロールできない部分があるからこそ思いがけない化学反応があり、それが楽しかったりもするのだが……そう考えるとバンドやってみるのもいいかな。
うん、また機会があったらね。その前に完璧主義を直さなくては。いろんな案件が進まなくて進まなくてしょうがない。今年の課題です(汗)。

BANDAGE バンデイジ 豪華版DVD 2枚組(初回限定)
グッドドリームズ(単行本)
原作:菅知香「グッドドリームズ」
監督:小林武史(音楽プロデュースも)
脚本:岩井俊二/菅知香
出演:赤西仁 /北乃きい /高良健吾/柴本幸/金子ノブアキ/笠原秀幸/杏/伊藤歩
配給:東宝
ジャンル:邦画
公式サイト:http://bandage-movie.jp/index.html

© 2010「BANDAGE」製作委員会















エンタメ シネマピア   記:  2010 / 02 / 05

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