シネマピア

クロッシング

北朝鮮映画で同タイトルの感動ドラマ作があるが、本作は作品もテイストもまったく別物。リチャード・ギア、イーサン・ホーク、ドン・チードルの豪華俳優3人が刑事役に扮し、幾重にも屈折した人生の闇を垣間見せるクライム・サスペンスだ。

ニューヨーク、ブルックリンの犯罪多発地区。退職目前のベテラン警官エディ(リチャード・ギア)は、管轄が違うというだけで目の前の悪事も見て見ぬ振りをするサラリーマン警官。麻薬捜査官サル(イーサン・ホーク)は、病弱な妻と子供たちに約束した新居の購入のため、金の工面に奔走する日々を送っている。潜入捜査官のタンゴ(ドン・チードル)は、腐敗が進む警察組織に不満を募らせ、ギャングのボスを敬愛していた。それぞれの「正義」の先に待ち受けるのは、天国かそれとも地獄か……。

今まさに、世界は「正義」ブームである。発端となったのは「1人を殺せば5人が助かる状況があったとしたら、あなたはその1人を殺すべきか?」等の問いかけを行なう米国の名門ハーバード大学の哲学講義。あまりにも人気だったために大学側は異例のテレビ公開に踏み切り、書籍『これからの「正義」の話をしよう』もベストセラー、NHK教育テレビ『ハーバード白熱教室』も高視聴率を記録した。
本作で描かれるのは、刑事3人それぞれの「屈折した」正義。立脚点によって「正」にも「悪」にもなりうるそれは、決して手放しで「正義」と賞賛できるものではない。また、共通点は3人が人生の負け組みの刑事であるというだけで、それぞれのドラマは最後の最後まで交叉するわけでもない。彼らが迎えるラストはどれも悲しみだけに支配され、独りよがりの正義に天使は微笑まないという「現実」を見せ付けられるばかりだ。

そんな救いのないストーリーとは裏腹に、本作には隠れたシンデレラストーリーが存在する。なんと、脚本家のマイケル・マーティンは本作が脚本家デビュー作なのだ。それまで地下鉄の信号手として働いていた彼は、2005年に交通事故に遭い、失った車を買い替えるために脚本コンテストに応募したという。最終選考には残ったが1位は獲得できなかった……そんな折、プロデューサーの1人が彼の脚本を映画会社に送り、タイトル(原題『Brooklyn’s Finest』)に惹かれた担当者が一読で脚本を気に入り、ハリウッドスター3人もが集結する映画が完成したわけだ。何事も実力が運を切り開くという、王道の成功法則に勝るものはない。

一癖も二癖もある刑事たちの心の闇を繊細に、そして残酷に演じる実力派俳優たち。本物の現実を観客の心に突きつける迫真の演技は、真の映画好きにはたまらない逸品となるだろう。

クロッシング(Blu-ray)
監督:アントワン・フークア
脚本:マイケル・マーティン
出演:リチャード・ギア /イーサン・ホーク /ドン・チードル
配給:プレシディオ
ジャンル:洋画
公式サイト:http://www.cross-ing.jp/

© 2008 BROOKLYN’S FINEST PRODUCTIONS, INC.















エンタメ シネマピア   記:  2010 / 10 / 18

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