シネマピア

【映画レビュー】動物界

doubutsu_001.jpg

人が動物化してしまう奇病が日常を襲う近未来。“新生物”と化した妻を探すため、夫とその息子が訪れた先は……。セザール賞最多12部門ノミネート、フランス本国で100万人を動員する一大ヒットを記録した本作は、SFのみに留まらず壮大な家族愛を基軸に置いた感動ドラマ大作だ。

世界中がアニマライズと呼ばれる現象に襲われる中、フランスは“新生物”と共存せず、隔離することで人間の安全を確保する政策を取っている。料理人フランソワ(ロマン・デュリス)の妻ラナも新生物と認定されたため、ひとり息子のエミール(ポール・キルシェ)と愛犬とともに、ラナの移送先である南仏に移り住むが……。

doubutsu_002.jpg

ラスト、泣いた。泣きました。ええ泣きましたとも。試写で観る作品で泣いてしまうのも、なかなか久々のことである。本作は紛れもない感動作だ。

『おおかみこどもの雨と雪』。本作鑑賞後に真っ先に思い浮かんだのは、この1作だ。そういえばこれのラストでも泣いたっけ。異端もの、そして家族もの。このジャンルに私は滅法弱いらしい。

フランスの人種差別がことごとく酷いという話を、昨今よく見聞きする。有名どころではGACKTのエピソードだろうか。彼ほどのルックスの良さ、背の高さをもってしても東洋人というだけで酷い扱いを受けたそうだ。
そのフランスが舞台となったこの作品だ。人種どころかもはや人間ではなくなった新生物が、手厚い対応を受けられるわけもない。だが、フランス人とて人の子。そうした差別に明け暮れる人だけが国を占めているわけではない。人の心を持っている側の父と息子は、あらゆる手段を使って母を探そうとする。そして思春期の息子に現れる変化、複雑な人間関係。本作は家族ドラマでもあると同時に、切ない青春ドラマでもある。息子役の演技の動作が素晴らしく良い。細部が残念な箇所が一ヶ所もないので、とことん入り込める。これは些末なようで実は大切なことだ。細部ができていないと一気に現実に引き戻されてしまうからだ。本作はそれが一切ない。

私は時々SNSに映画の話題を呟くことがあり、今年は某作が1番かな、と書きかけたのだが、急に本作が1位に浮上してしまった。あまり感動のハードルを上げ過ぎるのも良くないが、本作は本当に心底オススメの映画なのである。是非、劇場でご覧いただきたい。

監督・脚本:トマ・カイエ
出演:ロマン・デュリス、ポール・キルシェ、アデル・エグザルコプロス、トム・メルシエ、ビリー・ブラン
配給:キノフィルムズ
公開:11月8日(金)より、新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷他にて公開
公式サイト:https://animal-kingdom.jp/ 

© 2023 NORD-OUEST FILMS - STUDIOCANAL -FRANCE 2 CINÉMA - ARTÉMIS PRODUCTIONS.
 


記:林田久美子  2024 / 09 / 10











エンタメ シネマピア   記:  2024 / 09 / 11

あそびすとショップ

美味良品 おとりよせしました

編集長!今日はどちらへ?

アラカン編集長モンブランを行く!

BigUp

asobist creator's file

  1. はいコチラ、酔っぱライ部
  2. ikkieの音楽総研
  3. 旅ゆけば博打メシ
  4. うららの愛♡Camera
  5. Tomoka's マクロビカフェ
  6. 三笘育の登山は想像力
  7. 憎いウンチクshow
シネマピア
おもいでリストにエントリー確実、話題の映画!
【映画レビュー】動物界

人が動物化してしまう奇病が日常を襲…

旅塾

▲このページのトップへ