はいコチラ、酔っぱライ部

ライブと酒のマリアージュ、なんて難しい話でなくて

2011 / 10 / 25

というわけで、芝居を見物したり落語を聴いたりライブを見たら必ず呑みに行く、というのがこのコラムのテーマであるわけでありますが、実を言うと(や、言わずもがなですが)そのときの

「何を食べる(呑む)か」

というのはこのバヤイの最大の難問であります。
つまり歌舞伎のあとでの中華料理、落語のあとのイタメシ、ロック関連ライブを見たあとの割烹料理……などではどうにも「いま見て(聴いて)きたことの話が盛り上がらない」わけで、いずれ呑み始めて30分も経てば酒の魅力に負けて、客席の気分もどこへやら、いつの間にか酒席のほうに馴染んでしまうというのは目に見えているものの、「最初の一歩(杯)」というところでなにやら抵抗感のようなものを感じでしまうんですね。はい、それがいずれ「ビール」であったにせよ(笑)。

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例を挙げましょう。ずいぶん前、あれは2008年だったか、ちょっと変わった「歪んだポップ」とでも言ったらいいような「ハイ・ラマズ」というバンドのライブを見に行ったときのことでした。
渋谷の少し小さめのスペースで催されたそのライブは前座(最近はオープニング・アクトとかいうらしいけれど)の時間が長かったせいもあって、終演がかなり遅い、終電近くの時間になってしまった、と。
ステージ自体はとても楽しいもので、美しいハーモニーでありながらミニマル音楽のように繰り返されるフレーズの波に身を任せていると、いつのまにか意識がフッと遠のいてしまうような「柔らかなトランス」とでも言いたくなる音楽。
ここはクラッカーにのせたチーズと安ワイン、くらいの組み合わせで少しの間ボンヤリと余韻に浸りたくなるような気分です。
ところが案外、渋谷という街は遅めの時間になると「呑んだくれ」にとってはやや門戸が狭くなる傾向があって、なじみの居酒屋(この場合「喧噪」に満たされているであろう大型チェーン店は選択肢から消去)はすでに閉店もしくはラスト・オーダーぎりぎり。
けっきょく思案の末、近場の台湾料理屋の戸をくぐったところが、その「ミス・マッチ」度の有り様といったらなかったという顛末であります。

紹興酒を片手に「腸詰め」や「皮蛋豆腐」を食べつつ、いま聴いてきた「歪んだポップ」の中に広がっていた「少し焦点をずらした美しい旋律」の話をするというのはどうにも違和感を感じてしようがなかった。もちろん4杯目の紹興酒と追加の空心菜炒めを食べるころにはすっかり気持ちよくなって音の余韻に浸ったとしても、です。

よく考えてみれば、こんなときはとっとと家路について冷蔵庫の扉を開き、「そこにあるもの」をテーブルに並べてワインの1本も開ければ良さそうなもの。ところがそういう日に限って冷蔵庫には「少し酸っぱくなった大根と胡瓜の糠漬け」と「鮭の昆布巻き」、酒の棚にはワインではなく瓶に半分ほどの芋焼酎「西海の薫」があるのみ、というのは畢竟(ひっきょう、仏教用語で「結局」などの意)「運の尽き」ということでありましょう。
 

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ことほどさように舞台にせよライブにせよ「終わったらどこ行く?」というのはその日の朝から、いやことによると前日からの「命題」となって頭の中に存在して「解」を求めつづけるもの。
しかもたとえば「ロック=バー」、「落語=居酒屋」、「歌舞伎=割烹」というように、紋切り型の「解」では必ずしも心地よくない、というのがこの命題の一筋縄ではいかないところで、水道橋のJCBホールでジェフ・ベックを聴いたあとに入ったモツ焼き屋の気分が妙に合っていたり、有楽町の国際フォーラムでバート・バカラックを楽しんだあとに足を運んだガード下の焼鳥屋が思いの外、嬉しい気持ちになったり、とこういうこともあるから困るんでありますね。

そんなわけで、たまさか見事な「解」が思い浮かんだときには「ユリイカ!」(大げさ)と叫びたくなるほどステージに繰り広げられるパフォーマンスに負けず劣らず喜ばしい心持ちになるのであります。いずれそんな「街呑みマップ」が自然と頭の中にできあがっているという寸法で、それも楽しみのうちと割り切るのが「酔っぱライ部・部員」の基本とでも言えばよろしいのでありましょうか。

なんてことを言いつつも劇場、あるいは小屋の入り口をくぐる前にはアルコールを入れない主義、なのは入れると寝てしまうからだけでなく……なんとという話はいつか別のおりに、てことでまた次回。

あ、そうそう。前回書いた「魚屋宗五郎」が11月に新橋演舞場でかかりますね。宗五郎役も得意の菊五郎丈。ご興味おありの節はぜひどうぞ。「髪結新三」も楽しそうです。
もちろん見物前の「店選定」もお忘れなく。

【Panjaめも】
「ハイ・ラマズ」……『Giddeon Gaye』

「吉例 顔見世大歌舞伎」新橋演舞場











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