はいコチラ、酔っぱライ部

野外フェスの魅力

2012 / 07 / 31

いきなりの夏到来。暑気あたりなどしていませんか。夏が暑いのは当然のこととはいえこう続くと応えます。とにもかくにもご自愛を願っておきますが。

さて、夏と言えば野外コンサート。今年もフジだ、サマソニだなんだ、とあちらこちらでフェスが開かれています。いらっしゃる方も多いことでしょう。
この野外フェス、ご存じの通り今に始まったことじゃありませんで、僕もその昔、神宮球場や横浜スタジアム、はたまた今はなき後楽園スタジアムで開かれた野外ライブによく出かけたものです。
とはいえそのころの野外ライブといえば昼前から始まって夜の9時には終演してしまうという安直な催しで、今のように数日間、昼夜を通して夥しい数の出演者が出るようなフェスと比べると、その規模は格段に小さなものでした。
それでも昼からビールを呑みながら好きなバンドが登場するのを待つ楽しい気持ちは変わらなかったと思います。あの待ち時間もなかなかいいものなんですよね。去年、一昨年もできれば行って見てみたいバンドがいくつもあったんですが、時間も体力もままならず、望みは叶いませんでした。大人になるってあきらめることが増えますね。やれやれ。

先日、その「意趣返し」というわけでもないんですが、ごくごく近場、都内で開かれた野外ライブへ足を運びました。と言っても音楽でなく落語、野外と言っても座るのは屋根の下、上野・東京博物館の敷地内に建てられている、かの丸山応挙の襖絵(レプリカ)を張り巡らしたという「応挙館」の窓を開け放して開かれた「東博落語会・柳家さん喬独演会」であります。

この「応挙館」。元は愛知県にあった寺院の書院として寛保2年(1742)に建てられたらしい。そこから様々な経緯を経て東京博物館へ寄贈、敷地内にある日本庭園に移築されたとかで、部屋の襖絵に応挙の作品が描かれていることからこの名で呼ばれているそうな。普段は雨戸を立てて中を見ることはできないとかで、公開用のレプリカとはいえその襖絵を見ながら好きな噺家さんの高座を聞くなどそうそうできるもんじゃない、と出かけていった次第。前日まで猛暑日が続いていたこともあり、主催者側からは「熱中症対策」や「虫除け対策」(窓を開放、外の庭を噺の「借景」にする心づもりがあったらしいんですね)をするよう事前に申し渡しがあったものの、当日となってみれば「梅雨明け宣言後」にもかかわらず雨模様の涼しい一日。たいへん快適な環境での落語会となりました。もっとも昨今暑さ寒さにめっきり強くなった蚊には食われましたが。2箇所。一緒になった友人からかゆみ止めをもらいました。

というわけで当日の演目はこんな感じ。

「子ほめ」  柳家さん坊(前座)
「三枚起請」  さん喬
「応挙の幽霊」 さん喬
〜お仲入り〜
「死神」    さん喬

「三枚起請」冒頭では、まるで「仕込んだ」かのように木立の烏が啼き、「当然の演目」と予想していた「応挙の幽霊」は窓の外から耳にサラサラと届く雨上がりの風と森の音が噺と相まって雰囲気抜群。「野外ライブ」ならではの空気感で、いつもの寄席やホールでの高座とはまたひと味もふた味も違った落語会でした。
極めつけは「死神」。開け放っていた雨戸を閉め、シーリングのライトも消して(「野外ライブじゃないじゃん!」というのはさておき)の高座。「顔が見えない噺もいいでしょ?」などとうそぶく師匠の思惑はまんまとはまって不気味にして余韻の残る高座となりました。

この「死神」、貧乏にあえぐ男が暮らしに窮した挙げ句、なんと「死神」と取引をする、という噺。ヨーロッパの「死神」にまつわる物語をかの三遊亭圓朝が翻案したといわれる演目です。
その準主人公とも言える「死神」氏の描写、噺家さんによってかなりの違いがあるんですが、さん喬師匠の描く「死神」さんを聞くと、いつもスター・ウォーズのヨーダを思い出してしまうんですね。
襤褸(ぼろ)をまとい、「シワの入った禿頭にポヨポヨ〜っと毛が生えている」という容貌の「死神」が木の上から「フワ〜っと木の葉が舞うように降りてくる」なんざぁヨーダそのものじゃぁありませんか。
決定的に怖くない人(?)が最後に命が終焉するかもしれぬという宣告をするのでその怖さがいや増す、というわけで、師匠ご本人がその効果を知って「ヨーダ」にしているのかどうか。定かなことはわかりませんが、おもしろい表現ではあります。この噺、もしお聴きになったことがないようでしたらぜひ一度。なかなか面白い噺ですよ。お勧めしておきます。

終演後は雨も止んだこととて上野界隈へ。終演が夕刻4時にもかかわらずそれから5時間も呑んでまだあまり酔客のいない電車で帰るのがやや恥ずかしかった、というのは別の話。帰ってまた少し、冷蔵庫にあったチーズで呑んで終了。楽しい一日でした。

d20120731_pic_b.jpgそんな涼しかった日も今は昔(大げさ)。猛暑の続く宵の宴には「トマトとオクラの柚子胡椒ポン酢和え」で冷酒をGO。ちょいと値の張る「いい塩」で呑んでも冷酒はイケますね。ただし呑み過ぎにチウイ……は毎度の話です。すいません。
しかし今年のフジロック。エルビス・コステロにエルヴィン・ビショップ、バディ・ガイも出たらしい。行きたかったなぁ。

【Panjaめも】
●この師匠の「死神」はけっこうコワイ。
柳家小三治「死神

●今年の夏はコレ!静岡の酒「若竹」。
冷やしてよし、常温でよし。おなじみ青島酒店から

●お手軽にもかかわらず優秀な「旭ポン酢」。愛用してます。
今回のレシピにもこれを使用

 











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