はいコチラ、酔っぱライ部

自家消費の楽しみ

2012 / 10 / 09

ところであまり大きな声でアナウンスはしていないけれど、じつはここ3カ月ほど、都内某所で2週間に一度というペースで「居酒屋遊び」をやってます。

やっているのは古い友達が経営する「スイーツ」の店で、店主が料理好きの僕に「居酒屋やらない?」と言うので料理を作ってお酒を出している。昼間はソフトクリームやホットドッグを売っている店で夕方からワインや酎ハイなんかをサーブします。どうしてそういう店なのに居酒屋をやるかというと、そいつが「大酒呑み」だからですね。そのあたりがこれを「遊び」と括る理由。呑気なもんです。

といっても一応お金を頂戴するので料理はがんばって作ります。「ラタトゥイユ」、「味噌ペースト添え蒸し豚」……。先週作った「洋風牛すじ煮込み」は我ながらいいできでした。

d20121009_pic_b.jpg
こちら「味噌ペースト添え蒸し豚」。
お客さん、おいしそうですよ!
ただ残念なのは店内装飾が「激しくファンシー」で、ひどくミスマッチ。一見して「居酒屋」に見えないせいかお客さんがほとんど入って来ず、なかなか料理を味わってもらえないこと。来るのはほとんどが友達、また申し合わせたように「大酒呑み」で酒ばかり呑んで料理を食べないときてるんだな、これが。

本当はワインをメインにしたかったんだけど注文されるのはビールと酎ハイばかり。「チーズの盛り合わせ」や「ポテトフライ」でダラダラ呑む人が多いですね。「食べないの?」って聞くと「お腹いっぱい」って。まぁたぶん義理で来てくれてるんでしょうけどね。嬉しくてちょっと哀しい気持ちです。

そんなわけで最初は力を入れてたくさん作っていたんですが、毎回料理が余ってしょうがないので品数も作る量もずいぶん少なくなりました。料理、お酒に合うと思うんだけどな。値段もずいぶん安く設定してるのにな。かといって無理強いもできないしね。困ったもんです。……て、完全に「愚痴」になってますか。いいじゃん、たまには聞いてよ(笑)。

それでもやってみないとわからないことはたくさんあるもので、飲食業の難しさを身をもって深く感じます。料理のバリエーションやお酒の種類はもちろんのこと、注文されてから出すまでの時間をどうして短くするか、会話に夢中になっているお客さんにお酒や料理の注文を取るタイミング。温かいものは温かく、冷たいものを冷やしてサーブする方法……などなど。

元より「居酒屋」を目的としては設計されていない厨房の、けして万全とは言えない設備を駆使、かなり限定された環境でこれらをクリアするのはわりと大変ですが、毎回新しい発見があって普段いつもしている「絵を描く」ことや「文章を書く」仕事にも何かフィードバックがあるような気がします。始めた当初は開店するやいなやパニックに陥っていたけれど、入念に事前準備をすることでここ数回はずいぶん落ち着いて対応できるようになってきました。

とはいえ作業は丁々発止。何かに集中していると無駄なことは考えないですね。思い悩んだりしない。かなり疲れるけれど、なかなかおもしろい経験です。

さて、先日の営業中そうやって料理に集中していたら、むかし読んだ小説や映画のことを思い出しました。けっこうあるんですよね、料理小説。

「牛すじ煮込み」を作っていて頭に浮かんだのは「狸ビール」(伊藤礼)。これは小説ではなくエッセイだけど、かなりおもしろい。鉄砲で狩猟をする筆者の経験を集めたもので、個人的にはその手の趣味はないものの、そういう人間が読んでも興味深い話が満載で、名文にうなりながらサクサク読んでしまいます。「狸を食べ過ぎるとその匂いが2週間は体から抜けない」んですよ。知っていました?

あるいはブラックな一冊「料理人」(ハリー・クレッシング)、めずらしや中華料理小説の「寿宴」(南條竹則・この人の「酒仙」」もかなりおもしろい)、たしか清水義典さんも料理小説を何冊か書いていましたっけ。

映像なら「バベットの晩餐会」はもちろんのこと池波正太郎の「梅安」・「鬼平」両シリーズにもたくさん料理シーンが出てきて思わず料理がしたくなるし、アニメだけど「レミーのおいしいレストラン」(原題は'Ratatouille'ラタトゥイユ!)もおいしそうでした。「ダイナー(バリー・レヴィンソン監督1982年作品)」もありましたね。 僕はこれで映画の中の「ものを食べる音のリアリティ」に気がついたのだ。もう一度見てみたいなあ。

d20121009_pic.jpg そんなわけで今回のレシピは「パンプキン・チーズ」。これも件の「居酒屋遊び」で出したことのある一品です。これはわりと人気があって、売り切れました。営業終了後にあまった料理を自家消費するために店主と呑むのが楽しいんだよね。でもこれは自家消費できませんでした(笑)。今夜作りましょう。

【Panjaめも】
●「料理人」(ハリー・クレッシング)
今出ている版は翻訳し直されてるんですね。好・不評相まってます。
僕が読んだのは初版なので古い方でした

●「狸ビール」(伊藤礼)
こちらは絶版中ですか。どこかで見つけたらぜひどうぞ。
伊藤さんはかの伊藤整の息子さんだそうですね。知らなかった

●Ratatouille(「レミーのおいしいレストラン」)の料理シーンだけを集めたもの

ネズミは料理が上手(笑)

●映画「Diner」のトレイラー(予告編)

残念ながら食べるシーンの音は音楽がかぶって聞こえません

●私、あの「まぐまぐ」でメールマガジンを始めました
モリモト・パンジャのおいしい遊び
こちらでサンプル版もご覧になれます。どうぞよろしゅう











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