はいコチラ、酔っぱライ部

旬より早く

2012 / 11 / 20

先週のよく晴れた日、高齢母の通院送迎で外苑前まで。ぬけるような青空の下、帰りがけの母を乗せて「ついでの黄葉見物」としゃれ込むつもりで神宮外苑・絵画館前の銀杏並木へ車を走らせた。
とはいえ「黄葉」まではまだまだ。僕の記憶が正しければ11月半ばとも言えばもう黄色い絨毯でびっしりのイメージだが、それにはまだ早い。ところがその盛りより少し前のようすにはひと口で言えぬ風情がある。
夏の鮮やかで濃い緑よりは少し薄くなった色の葉から黄色くなりはじめた葉まで、グラデーションのように豊富な色彩の葉が、まるでモザイクのようにちりばめられて146本(だそうです)の銀杏の木がツンと尖った枝振りを青空に突き立てて、とてもキレイだったのだ。

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ところで国道246号から絵画館前へ車やバイクを走らせたことがある人ならわかると思うけれど、このルートで銀杏並木のある通りへ入っていくと真っ正面に絵画館の建物が見える。

車道中央寄りの車線を走りながら運転席に座って歩道からとはまた違うこの角度から見ると、絵画館の後方には高い建物がないので背景は空だけ。建物のエッジが立ってとてもクリアに見えるのだ。

僕はこの消失点が見えるようなまるで一点透視の遠近法で描かれたマグリットの絵みたいな風景がとても好きで、急いでいないときに246を走っていると用もないのにここを右左折して楽しんだりすることがあるくらい。

走っていてこの銀杏の黄葉の時季、毎年「神宮外苑いちょう祭り」というのが開催されるらしいと知ったのは正面に見える絵画館の建物の前にそのタイトルが書かれた大きな看板が設置されていたからで、車からこの風景を見るのが好きな僕からすると、ちょっとそぐわない感じで艶消しだった。それが地方の産直品や食べ物を売るための模擬店が多数出る、と言った類のお祭りということは後で調べてわかった。それにしても看板だ。

いや、看板を設置するなとは言わない。できれば設置する場所を変えてこの角度から見えないようにするとか「それじゃ催事を告知するには目立たないんだよ」、というのであれば、看板のデザインをもうちょっと何とかできないものだろうか、と思う。
あの明治の色香を残す美術館様式の重厚な建造物の前に置いても映えるような、そんな看板。できないことじゃないと思うんだけど。

とはいえ「旬よりちょっと早い」この風景。旬より少し前の色合いは「今が盛り」の時季とはまた別の、いやひょっとしたらそれよりも美しいのではないかと思った次第。

今回はライブにもそういうことが当てはまるんじゃないか? というお話です。
 

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d20121120_pic2.jpg

それはまだ3枚目のアルバム「Tumbleweed Connection」が発売された直後の来日だった。
すでにレッド・ツェッペリンが武道館で公演を行なっているこの年、「新宿厚生年金ホール」という会場設定はエルトン・ジョンと言う名前がビッグ・ネームになる少し前の時期であることを証明していると言っていいと思う。

【この時代です】

その公演前に発売されたライブ・アルバム「11-17-70」とほぼ同じサウンド。バックはディー・マレー(ベース)、ナイジェル・オルソン(ドラムス)の二人だけ、というシンプルな構成にもかかわらず、熱くそして昂奮に満ちたそのステージは高校生だった僕の記憶に深く刻まれることになる。「満員ではなかった」というのが今と なっては驚きで、アンコールの時には客席後方(B席ですからね)からステージ前まで駆けていったものだった。

【このトリオですね】

ようするに僕はいわゆる「旬ちょっと前の時期」というのがとても好きなんだと思う。
一見、江戸時代に青葉の頃「旬のカツオ」を人より早く食べようと大枚を投じた趣味人を思い出す人もいるかもしれないけれど、それとは違いますよ。売れる前だと入場料金も法外に高くないことが多いし、だいいち切符が取りやすい。
 

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注目されていない時期の「芸(パフォーマンス)」を楽しむことはそれだけ自分の「選択眼」が問われることでもあるし、逆にそれがはずれたら他の人達とは審美眼が違うという烙印を押されて「ううむ、ダメだったか」と残念に思うこともある。
考えてみると「旬より早く」見るのが好きなのは音楽だけでない。落語、歌舞伎その他のライブでもやはり面白いのだ。

自分で見つけたアーティストが売れて行くのを見るのは、我が子の成長を見るように楽しい(いないからわからないけれど)ものだし、売れて「これからもがんばってね」と見送るときには感慨もひとしおである。

「見送る」のはもう切符が手に入らなったりその値段に手が届かなくなったりするからだけれど、そうなればそうなったで、また別のアーティストを見つけようとするのはその成長の様子を見守る楽しさを知っているからかもしれない。

まぁ、とはいえ今でこそ売れているけど最初はね、と人知れず振り返って微笑むこともある一方、「おおこれは」と思っても消えていった、あるいは消えないまでも売れずにいるアーティストは星の数ほどいる。

それでもそんな自分の選択眼で「こいつぁイイ!」と思った人達を応援したくなるのは人情というもの。そんな風に未だそれほど売れずとも「どうして売れないんだろうなぁ」と思いつつ応援している人達がたくさんいるのは「自分も『まだ売れていないけれどいつかは』と思うから」なのかもしれないですね。
いや、ちょっといろいろ凹むことがあるもんだからつい、ね。こんなこと書いてしまいました。最近どうも愚痴が多いね。すいません(笑)。
 

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そう言えば調べてみたら件の「神宮いちょう祭り」、毎年同じような時期に開かれているそうで、今のこの時期に始まって12月初旬に終わるのが通例という。
とすると冒頭で書いた「この時期はすでに黄色い絨毯で埋め尽くされている」という印象は間違っているということらしい。今週、来週あたりがちょうど「いちょう並木の見頃」でしょうか。よろしければお出かけください。

d20121120_pic.jpg まぁともかく「時候の印象」ってアテにならないもんですね。
てなわけで今回は「旬」にはチョト早い「鱈」を使って安直に「フィッシュ&チップス」風の「鱈の唐揚げ」を。ここはやっぱり黒ビールで行きますか。贅沢に衣に入れるのも一興です。なんだか選挙の宣伝カーもうるさくなりそうな今日この頃。ここはもちろん「黒ビールの残りは作りながら呑む」のほうに一票。

【Panjaめも】
・神宮外苑いちょう祭り

・人知れず応援している人のひとり、清水宏
でも時々芸がよくわからない(w

・もうひとり。ダメじゃん小出。鉄ネタが秀逸。

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