はいコチラ、酔っぱライ部

不意打ちの風景

2012 / 12 / 18

先日、車の不調を診てもらうために都内から町田へ。国道246号を北西に向かって走らせていたら、八王子街道との交差点手前のオーバーパスにさしかかったところで、正面から右方向にかけて丹沢のシルエットがいきなり遠景に見えて驚いた。

山並みというのは不思議なもので、実際にはかなりの距離があってもまるですぐそこにあるかのように見えて、ちょっとした旅行気分になる。
ましてや湿度が低く空気の透明度が増すこの季節、なんだか周囲を山々に囲まれた街に暮らしているかのような錯覚を覚えてしまうのだ。

実は都内には、こういうつい不思議な錯覚を個人的に覚えてしまうスポットがいくつかあって、そのポイントに近づくと天気のよい日には必ず目で追ってその景色を探してしまう。

僕の生活圏周辺だけですが、いくつかご紹介しておきます。

1.東急東横線、
<上り>学芸大学・祐天寺間の左手後方に見える富士山。
<下り>祐天寺・中目黒間進行方向
左後方に東京タワーとスカイツリーが並んで見える景色

2.駒沢通り・駒沢公園から環状八号線方向
深沢不動を過ぎて下り坂になる辺りでま正面に見える富士山

3.東急田園都市線・二子玉川駅
ホームから北西方向に連なる丹沢山系から羽田方面へのパノラマ

中でも東急東横線から見える富士山は、天気がよければ祐天寺駅のホームからも見えるので、僕の中ではこの駅は「富士山が見える駅」として認識されていたりする。

そういえばもう20年くらい前の大晦日の夜(というか元日の朝)、夫婦で「初日の出を見よう」という酔狂をすることになった(酔ってるからね)ときのこと。
朝6時。まだ暗い時刻に家を出て延々歩いて東方向が開放されていそうな建物を物色、「これは」と見つけた環状八号線に面して立つ某マンションの外階段を昇ってみたら、多摩川が流れて行く先に東京湾が広がって、房総半島の先まで見通す景色に驚いたことがあった。初日の出の瞬間には東京湾の水面に太陽の光がキラキラときらめいて、それはすてきな景色でした。

ものの本によれば江戸時代には風景を遮る高い建物がなかったので浅草の待乳山聖天からも東京湾が一望できたと聞く。だから昔はもっといろんな風景が日常的に目に飛び込んでいたことでしょう。見てみたかったなぁ。

でもさっきの初日の出。今で言うなら(今じゃなくても)建造物への不法侵入ですよね。まぁもう20年前のことだから時効、ということにしておいてください。皆さんはやっちゃダメですよ。といっても物騒な昨今、こんな風に入れるマンションもほとんどないでしょうが。

さて、このように予想していなかったところで思いも寄らぬ景色に巡り会うと妙に嬉しくなるもの。ステージでも同じような経験をすることがあるというエピソード、先月足を運んだノラ・ジョーンズのコンサートのお話です。

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先に「あぶないネズミ」というタイトルでコラムを書いたのは9月、その時にも紹介したアルバムのキャンペーンということもあってかツアーを開始、大阪公演を終えて東京に来たのはそれから2カ月後のことだった。

スターティングアクト終了後の8時少し前にノラ登場。アルバム「リトルブロークンハーツ」のジャケットにあるようなイメージと比べると少しふっくらした感じだったけれど、その「かわいい姫ダルマ」のような小さな体からほとばしるグルーブと、曲によってはブルーズの感覚をたっぷり含んだステージからは目が離せませなかった。

<東京初日のセットリストはこちら>
01. Cold Cold Heart
02. Out On The Road
03. All A Dream
04. The Long Way Home
05. Say Goodbye
06. Take It Back
07. Chasing Pirates
08. Broken
09. Creepin’ In
10. Black
11. Carnival Town
12. The Nearness Of You
13. Don’t Know Why
14. Sinkin’ Soon
15. Miriam
16. Happy Pills
17. Stuck
18. Lonestar
アンコール Sunrise
アンコール Come Away With Me

武道館という大ハコにもかかわらず、その「大きさ」を少しも感じさせなかったことは、その日の音響設備(PA)の具合も格段によかったとはいえ彼女の存在感がホンモノであることの証にも思えた。

よく歌舞伎の中で演目上、役者さんが一人で板(舞台)の上に立つことがある。そんなとき、たとえば幸四郎、吉右衛門、菊五郎(敬称略)といった大きな役者だと、一人でも充分に「持つ」のだけど、同じようなケースでもちょっと「アレ」な役者さんだと小屋全体の大きさと比較してひどく小さく見えて、いわゆる「持たない」感じで見ていていたたまれなくなってしまう。それと同じような「舞台持ちのいい存在感」をノラに感じた、というわけなのだ。

僕は彼女のステージを見るのは今回が初めてで、レコードを聴いただけではわからなかった「人のグルーブ」みたいなものは、やはりライブじゃないとわからないと得心した。

しかし、もっと驚いたのは彼女に先駆けてステージに立ったジム・カンピロンゴの演奏で、まるで道路を車で走っているとき、とつぜん目の前に美しいショットを見たときのような「不意打ち」のギター・プレイにすっかり参ってしまったのだった。

 

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ジム・カンピロンゴ。1958年サンフランシスコ生まれ、自分の主宰バンドを中心に活動してきたが、先年ノラ・ジョーンズのバックバンドリトル・ウイリーズに参加、そこから今回のオープニング・アクトとしての出演となったのだろうことは容易に想像できる。




ウッド・ベースとドラムで構成されたエレクトリック・トリオというユニットとしての出演、そのカンピロンゴのギターがツボだった。

早弾きというだけでは収まらない「音の洪水」のようなギター。
トーン・アームを使わずにネックとボディを押さえるだけで音色を歪め、挙げ句にペグ(あの弦を巻き付けているネジですね)を回しての「下方チョーキング」(何というかわからない。瞬間に弦をゆるめて音を下げてまた戻す)など、僕は見たことのないテクニックを駆使してめくるめく音の世界を繰り広げたのである。

感心するのはそれが「ギミック」という類のイヤらしさを微塵も感じさせないことで、「こういう音を出したいからそうしているだけだよ」と、ごく自然にプレイしているように見えることがさらに「耳の嬉しさ」を増したのだ。

一般に「ロイ・ブキャナンの影響を受けている」という風に言われているけれど、聴いている方からすると、ジェフ・ベック、エイドリアン・ブリュー、ビル・フリゼル、といったギタリスト達が奏でる音色が頭の中で明滅する。確実にギタリストのヒストリーの中で居場所を確立するプレイヤーだと個人的に確信することしきりだった。




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豚白菜鍋。レシピは下ね
おそらく「武道館の舞台に立つ」ことは彼にとっても「一度は叶えたいこと」のひとつだったに違いない。30分強の演奏を終えて「夢が叶ったよ、ありがとう」といってステージを降りていった。
本当はノラのバックにも立ってもらいたかったけれど、リトル・ウイリーズとしての公演ではなかったのでノラのステージには上がらなかったのは少し残念だった。

と、カンピロンゴ本人について調べていたら……。

なんだ! 今年の6月に来てライブやっていたんじゃないか!

前々回、Over the Rhineのライブを見逃したことについて綿々と悔しがったのもつかの間、またしても「臍をかむ」ようなことが出来していたのだ。

うううむ悔しい、口惜しい。こんど来たらぜったい行く! 誰が何と言っても(言わないだろうけど)行きますから!

でももう一年に2度も来ちゃったからなぁ。なかなか来ないだろうな。もうヤケ酒を呑むしかないな、というそんな寒い夜には「豚白菜鍋」で暖まってGO!(どこへ)

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てなわけで今年はこれでオシマイ。新年は1月15日の更新となります。寒さがつのるらしい年末年始、どうぞ皆様お風邪など召しませんよう、よいお年をお迎えくださいませ。

<追伸>
なんてぇことを書いていたらノラ・ジョーンズさんの御尊父、ラヴィ・シャンカール氏逝去の報が。R.I.P.ミスター・シャンカール。

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