はいコチラ、酔っぱライ部

ハイ・ブリッドの魅力について考える

2013 / 07 / 16

しかしこう暑いとどこかへ逃げ出したくなりますね。でも遠くへ行くには懐が寂しすぎて逃げられない。なんだか強い日差しに晒されてジリジリと暑いけれどどこへも行けない「路傍の小石」にでもなった気分。

誰かに蹴られて水たまりに入るのを待っている、みたいな。「やれやれ」の3乗みたいな感じだ。やれやれ。

そんな中でも楽しみは見つかるもので、それが親しい友人達が何かにつけていろいろとしてくれる差し入れ。「ビール券」、「ワイン」、「野菜」、「お菓子」……どれも嬉しいものばかりでありがたいありがたい。路傍の小石を軽く転がしてくれてます。

しかしこれはなに? と思うものもたまにあって、最近到来したその代表格とも言えるものがこちら。

d20130716_pic2.jpg
こちら「鰹のたたきドロップス」。
鰹風味にニンニクやらショウガやら……でしょうか?
どうなんですか、これ。まだ怖くて食べてないんですけども。あんがい旨いのかもしれない、とも思います。それにしても「鰹のたたき」と「ドロップ」を組み合わせるというのはどういう発想なんだろう。

「二つ、またはそれ以上の異質なものを組み合わせてひとつの目的のために作られたもの」を俗に「ハイ・ブリッド」と言いますね。これもまさにそのハイ・ブリッド。
今回は「ハイ・ブリッド」についてのお話です。

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考えてみると、日本人はこの「異質なものを組み合わせてひとつの目的のために物を作ること」が好きで、しかも得意です。

代表的なのが「文字」。中国からやってきた「漢字」、それを元にして「仮名」を発明し、両者を組み合わせて表記するという「言語表記」を作り上げた。これ、考えようによっては「ハイ・ブリッド」の元祖じゃないですかね。

ことほど左様にこの国に住む人たちは海外から渡来したものを解釈して変容させ、そして作り替えるのが実に巧い。ひょっとしたら宗教だって欧米、インド、中国から来たけれど、日本に入ってからかなりオリジナルとは違ってきているんじゃないかと思う点が多々あります。

「クリスマスやって大晦日過ごして年が明ければ初詣に行って……」なんてのはもう誰でも「変だよね」と自覚しながらもやっていることで、思えば日本人とはなんと「懐の深い」(「いいかげん」とも言いますか。そんなとこ、大好きなんですが)人種であるか、と思うことしばしばであります。

しかしなんと言ってもいちばん目につくのは「食べ物」。たとえば「焼そばパン」、「スパゲティ・ドッグ」なんて絶対、200%、海外の人は思いつかない発想です。

「澱粉質」で「澱粉質」を挟むなんて! しかも「旨い」なんて!

中国・イタリアの方が聞いたり見たり食べたりしたら眉をひそめること間違いなしで「これはスパゲティではない」くらいのことは言うかもしれない。でも平気。そこにあるのはオリジナルとは別のハイ・ブリッド。日本人が「旨い」と思えばそれでいいのであります。

カレーなんかもそう。あれも蕎麦屋さんや夏の合宿で出されるアレは、彼の地で食されているものとはかなり異質、だいたい「カレー」に「ソースかける」とか「醤油かける」とか、あるいは「福神漬けを添える」なんて絶対インドの人はしない(と思う、たぶん)。

その筋の方は正しくスパイスを揃えて作り込んだ上にライスも現地仕様で炊いたり、ナンやらロティやらチャパティなんかを添えたりするようですが、それはそれとして僕はお蕎麦屋さんや合宿のハイ・ブリッドなカレーも大好き、まったくの別料理ととらえております。そういや「カレー南蛮」なんかも激しくハイ・ブリッドだよね。もちろんあれも好物であります。

特に何カ月かに一回、激しく食べたくなる「カレーそば」ね。
あのカレールーのかかったそばを持ち上げたとき、下の方に

    「カレーの息のかかっていない麺の層」

を見つけたときのあの感動!
あれ、食べている途中カレー味に疲れたときに蕎麦だけを食べて口の中をデフォルトに戻す効果があるんですよね。いやあ、ハイ・ブリッドってホントに素敵です。ビバ! ハイ・ブリッド。
d20130716_pic1.jpg
こちら、今回の簡単レシピ。
お肉じゃないですよ、手前の「ガーリック味噌ペースト」です

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とはいえ「焼そばパン」や「カレー南蛮」、あるいは一時流行った「いちご大福」や「塩飴」など、ハイ・ブリッドとして誕生したあとも「定番」として定着するものもあれば噂に聞く「らっきょうチョコ」(未体験)、「納豆ケーキ」(未体験)など、誕生はしたものの、その後どういう運命をたどったか不明のものも数多くあるのもまた一方の事実。

考えてみると「二つ、またはそれ以上の異質なものを組み合わせてひとつの目的のために何かを作る」といえば「夫婦」もその代表格で、まったく異なった環境で人生を過ごしてきた男女がひとつの生活を作る、という意味ではこれもまたハイ・ブリッド。

もちろん上手く行く「ハイ・ブリッド」もあれば上手く行かない「ハイ・ブリッド」もあるわけで、してみれば「いちご大福」や「カレー南蛮」のように定着するか、あるいは「らっきょうチョコレート」のようにくっついては見たもののその後は……というふうケースもあるのは、こればかりは合わせてみないとわからないのが現実でしょう。

そこで「夫婦」と言うものに関しては悲喜こもごも、かつ波瀾万丈なエピソードに事欠かないのも宜(むへ)なるかな、と思う次第であります。

しかし「二つ」はまだいいとして、「またはそれ以上」ってのは「夫婦」には当てはまらないですかね。え? 中にはそういうケースも? どこぞの国ではそれもアリとか? う〜ん、子供にはわかんないや、とカマトト(死語)ぶってお茶を濁しておきますが。

そういやちょっと前に流行って個人的にもチョイと嵌(はま)った「プリンパン」て、近頃あんまり見ないですね。あれも「生まれては見たものの……」の口だったのかなあ。こちらはやや残念な心持ち。

てなわけで今回のかんたんレシピはハイ・ブリッドなこちら。「ガーリック味噌ペースト」。
「え?」とお思いでしょうがこれがなかなか。ぜひ一度お試しを。

d20130716_pic3.jpgところで先日、朝のコーヒーを淹れながらこの「ハイ・ブリッド」についての原稿を書こうと思いついた直後、ラジオのモーニング・ショウでピーター・バラカン氏が

「今日はハイ・ブリッドについてお話ししましょう」

と言ったときは驚いたなぁ。これを「コ・インシデンス」という。「小石です」じゃないよ。英語で「偶然の一致」のことをこういうのです。
こういうこともある。「路傍の小石」を大切に。全民放連からのお知らせでした(嘘)。

今回もコレギリ。次回は7月30日更新の予定です。
しかし今年は夏が始まるのが早いなぁ。暑さの先は長い。思いやられますですね。

「鰹たたきドロップス」の体験談はまた次回。刮目して待て。


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