はいコチラ、酔っぱライ部

忙中 寒アリ

2014 / 01 / 14

先日、塩麹に一週間ほど漬けこんだ豚肉(ロース・ブロック)を使ってポトフを作った。

ニンジン、タマネギとメークインなどの野菜は煮崩れすぎないよう大ぶりに切り、味はオーガニックのチキン・ブイヨンと白胡椒のみで整えた。きわめてシンプルなレシピのポトフで、作り方も水をはった鍋が沸騰しないうちから材料をドサドサと入れてあとは煮込むだけだ。

小一時間火を入れて味が足りないようなら塩を足して仕上げる。さらに煮込んでいくうちに味が濃くなるのでこの時点では「少し薄味かな」というくらいで止めておくことと、ひと晩おいて冷えたポトフの表面に浮いたラードをすくいとってあっさりしたスープに仕上げるのがコツと言えばコツだけど、全体に手がかからない割においしいのでこう寒い日が続くとよく献立の候補に浮上します。

また野菜の種類をあまり選ばないのもこのレシピのいいところで、緑色の野菜を入れると崩れてスープが濁ってしまうけれどそんなことを気にしなければブロッコリやインゲン、芽キャベツなどを入れてもいいし、白インゲンやガルバンゾなんかの豆を加えてもまた別のおいしさが味わえる。野菜が高値で不足しがちなこの時期、比較的安いものを選んで作れば体を温めるばかりではなく、栄養的にも経済的にもよかろうと思う所以であります。塩麹がなければ2〜3日「塩漬け」にした豚ブロックでも代用可。おためしください。

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新年最初は「牡蠣の昆布椀」を。
冬の味覚・牡蠣で暖まりましょう
ところでこのポトフ、今回ラードをすくっているとどういうわけか豚肉の匂いが少し鼻につく。そのままでも気にするほどではないけれど、できることなら何か香味野菜を加えたい、とセロリを買ってきて入れてみると、匂いが気にならなくなったばかりか一段味が階段を上がってたいへんよろしい。セロリはそのまま食べてもおいしいけれど肉との相性も抜群であります。

で、セロリ。全部をポトフに入れてしまっては「セロリのポトフ」みたいになってしまうので下半分、茎の部分をざくざくと刻んで投入、葉を含めた上半分は少し萎れていたので水を入れたコップにさしておいた。

1日2日、とポトフの入ったスープ・ボウルが食卓にのる日が続いたさらに翌日、ふとキッチンの片隅を見ると青々とした葉が茂っている。何かと思えばセロリの葉がすっかりその勢いを取り戻してみずみずしく葉を広げている。

そこで思いついたのが「セロリと牛肉のオイスターソース炒め」。さっそく安売りの切り落とし牛肉を買って帰り、ニンニクとともに中華鍋に入れて一品を仕上げた刹那、自分の不明を後悔する一点に気がついた。

「お湯を沸かしていない」のであります。

賢明な読者はすでにお気づきのことと思うが、「セロリと牛肉のオイスターソース炒め」と言えばともに呑むのは「焼酎のお湯割り」。「いや違う」とおっしゃる方もおいででしょう。

しかし「外は5度を下回って北風吹く夜」、「隣近所も静かな灯りのついた食卓」、とくれば......それはもう「短(たん)め......」(落語の演題ですよ)じゃなくて「お湯割り」であります。炒め物の脂に対抗するには「燗酒」よりは「お湯割りの焼酎」を、と思うのがアタクシ流。しかるに「お湯」がない。

テーブルの上にあるのはコンビニの年明け「投げ売りセール」で買ってきた1本485円(ほぼ半額!)の芋焼酎(しかも720ml)。しかたなく氷を出して「お湯が沸くまでロックで呑もう」ということになったのでありますが......

寒い。

ひたすら寒いですよ。室温設定は「経済温度」の17度。この気温だとロックの氷も溶けにくい。ひたすら焼酎を冷やすばかりのグラスをひと口呑んではポトフ(まだあった)をすすり、ひと嘗めしては牛肉セロリを口に入れ......と、箸も進まないであります。

「なんだよー」と文句を言おうにもとにもかくにも炊事係はアタクシ一人。小言を言うわけにもいかず、お湯が沸くまで黙って芋焼酎ロックをすすっていた、と思っていただきたい。たいへんに寒いひとときでした。

しかしその時気がついたのだけれども、この「内臓が冷える」というのはなんにも増して寒さを増幅させますね。考えてみれば凍てつく湖面に住まう水鳥たちの心持ちはいかばかりか。そんな環境では水面下で動かす水かきも凍りつこうし、はたまた時として有志のボランティアから振る舞われる餌の類いもけして「火の通った暖かな鍋」であろうはずもないわけで、あの方々はかような0度をも下回るような過酷な環境でよく生活をしているものだ、とようやくお湯で満たされたポットの横でお湯割りの温かさに安堵しながら考えたものであります。

と、これは人に聞いた話だけれど、南極に生息するペンギンを含めて鳥の体温というのは大変に高い(なんでも40度以上)そうで、しかも血液中には水分ではなく油分が多いので凍結しないという。そうか。水分が多ければH2Oの氷点(0度)を下回れば必ずや凍ってしまうわけで、水以外の成分で構成されているから凍らないのだ、と気づくころには体も温まって箸の動きも活発になりました。

それにしても体温が40度以上と言えば人間なら生命のほうが危ういわけで、それでもヘイキだからあんな凍土の上でも生きていける、いやむしろそういう体だからこそ外敵に襲われにくいああいった環境を選択するのだろうけれど、いずれにせよ生物の体というのはじつにうまくできているものだと感心するばかりであります。

そんな寒さの身に沁みる食卓には「ポトフ」とはまた別の暖かなひと品「牡蠣の昆布椀」を。こちらは問答無用で燗酒をチョイス。あとは暮れに方々から頂戴したままお正月に消費しきれなかった「佃煮」の類でも小鉢に入れてチロリに手を伸ばしますといたしましょう。

d20140114_pic2.jpg てなわけで特段なにを意気込むわけでもなくボンヤリと明けた新年。今年もこんな緩めの文章でやって参りますれば、引き続き本年もよろしくおつきあいくださいますよう。

次回は1月28日更新の予定です。

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