ikkieの音楽総研

第80回 ikkieのロック用語解説編 派生していくヘヴィメタル〜その2〜

2013 / 06 / 11

前回はNWOBHMとLAメタルの解説を(独断と偏見をもとに)しましたが、今回はその二つがきっかけで世界中に起こったHR/HMブームについて。HR/HMバブルと言ってもいいぐらいの大ブームだったんですよ。……もう用語解説でもなんでもなくなってますね(笑)。


ikkie▲80年代半ばになると、VAN HALEN以外にも大ヒットするバンドが出て来て……QUIET RIOTBON JOVIなんかが全米チャートで1位を獲るんですよね。そしたらまあ、「これは売れるぞ!」ということになったのか、LA以外からも、ほんとにバブルみたいに、いっぱいバンドが出てくるんですよ。さらに、これはNWOBHMの時もそうだったんだけど、新しいHR/HMブームに触発されたのか、KISSAEROSMITHのような、そのころ低迷していたベテラン勢も復活するんです。そして、イギリスのDEF LEPPARDWHITESNAKEもアメリカで大ヒットした。LAで起こったHR/HMブームが、アメリカ中、世界中に飛び火するんですよね。いい時代でした(笑)。


QUIET RIOTの全米ナンバーワンアルバムから 『Cum On Feel The Noise』

★ikkie★参考までに……先に書いたバンド以外にも、GUNS N’ ROSESMETALLICASKID ROWMÖTLEY CRÜEAC/DCPANTERA ……といったバンド達のアルバムが、90年代半ばまでの間に全米ナンバーワンを獲得しています。POISONはシングルが1位になったし……シングルも含めてTOP10に入ったバンドということになると、物凄い数になります。いや、いい時代でした(笑)。

松本●ちょっと疑問なんですが、ビートルズなんていうのはイギリスのバンドだし、他にも……例えばポリスなんかもイギリスのバンドですよね。イギリスでのトップセールスと、アメリカでのトップセールスには純然たる違いがあるとはいえ、結局、というと変ですけど、アメリカで売れたかどうか、っていう理解を一度挟まないといけないのでしょうか? イギリスだけでトップバンドではなくて、アメリカでも売れたっていうことで、今この地位があるんだろうなっていう。
ikkie▲あのー、なんていうのかな、メジャーリーグみたいなもんで、……イギリスは野球やらないですけど(笑)、アメリカでしかやってないのに、ワールドシリーズってなんだよってところってあるじゃないですか。
松本●ええ(笑)。
ikkie▲音楽の世界にも、もしかしたらそういうところがあって……、アメリカが一大マーケットで、アメリカで売れたら世界で売れてるようなもんだ、っていうところはあると思います。アメリカでしか売れてないバンドっていうのももちろんいるので、一概には言えないんですけどね。それでもアメリカのほうが、アメリカ国内でしか売れてなくても、セールスがデカい。で、イギリスのバンドにとってはなおさら、巨大マーケットだっていうので……、ビートルズもアメリカで売れたっていうのが大きかったはずですね、たしか。アメリカでも大成功して、それで名実ともに世界的なバンドになったんじゃなかったかなあ。その時代は全然リアルタイムじゃないんで、ちょっとわからないんですけど。
でね、俺も、実はちょっと抵抗がありつつも、全米ナンバーワンになりましたとはよく書くけど、全英ナンバーワンっていう書き方はそれほどしないんですよ。
松本●そうですね。たしかに聞いた覚えがないですね。

WHITESNAKEの全米ナンバーワンシングル『Here I Go Again』

ikkie▲テレビなんかで、CDや映画のセールスの文句が「全米ナンバーワンヒット!」とか、よくありますよね?
松本●「全米が泣いた!」とか。
ikkie▲そうそう。でも、全英が、ってあんまり書かない。全英っていうとゴルフとか……
松本●テニスぐらいのもんですよね。
ikkie▲やっぱりそういう、デカさの違いっていうのがあるんだと思うんですよね。イギリスだと、どっちかっていうとその、日本で1位とかみたいなニュアンスがあるのかもしれないです。他の国のバンドが、例えば日本のバンドが全英ナンバーワンになったらえらいことですけど。もしかしたら、アメリカと比べると、ローカルチャート的なイメージがあるかもしれないですね、ちょっと。今の子たちがどう感じてるかはわかりませんが(笑)。
松本●「あんなところで売れるのはけしからん」みたいな感じの話しになったりはしないんですかね。
ikkie▲アメリカで売れたらってことですよね? それはすっごくあるんですよ(笑)。
松本●あるんですか(笑)。
ikkie▲イギリス人ってそういうところがあるみたいです。アメリカで売れたバンドをけなすんですよ(笑)。でもね、例えばDEF LEPPARDってバンドは、いわゆるイギリス然としたバンドからしたらアメリカナイズされた音なんですが、そのせいなのか、本国よりアメリカで先に人気が出たんですって。で、最初のうちはけしからん、って感じだったらしいんですけど、桁違いに売れ出したら……何千万枚って売れたんですよ。そしたら地元は喜んじゃった(笑)ってこともあるんですけどね。
松本●出過ぎた杭はもう打たれない……ってやつですね(笑)。
ikkie▲IRONMAIDEN とかはアメリカでももちろん人気があったけども、イギリスらしい音を堅持したうえで、さらにイギリスを大事にしているので……もうそれこそステージでユニオンジャックを振って、みたいな。そういうバンドをイギリスのキッズたちは支持をしているんですよね。で、俺達のIRON MAIDENがアメリカに行って、ヤンキーやっつけたぜ! みたいな感じなんじゃないかなあ。

★ikkie★ちなみに、DEF LEPPARDもユニオンジャック柄のTシャツを衣装にしたりと、イギリス愛を前面に出しているバンドです。


DEF LEPPARD 『Photograph』

松本●そっちの解釈に(笑)。
ikkie▲バンドによっても違うんですけど、でも、そっち(アメリカ)行っちゃうと嫌がるみたいなんですよ。
松本●たぶん似てるんでしょうね、日本人とイギリス人は(笑)。
ikkie▲ああ、似てると思いますよ! 自国のバンドの文句を言ったりしてね。サウンドにしても、イギリスのバンドのほうが日本人の好みに合うんじゃないか、っていうのは一般的にありますね。

松本●話題を戻しますけど、パンクやニューウェイヴというのが出たときっていうのは……今から言うのは「そういう言い方やめろ」っていう突っ込みのポイントでしょうけど(笑)、そういうときって江戸時代の「ええじゃないか」みたいな形でぼーん! と盛り上がるっていうことがまずあって、それのアンチテーゼ的に、じゃあやっぱりこっちを見直そうっていうふうになるんですかね?
ikkie▲そうです。それはもう、ずーっとそうなんですよ。90年代前半まではHR/HMのバブルで……もうね、アメリカのチャートで1位から10位までのうち、ハードロックが9バンド入っていたとかそういう時代があったんです。それって、俺らにしてみれば楽しい時代だったんですけど。ただ、警鐘を鳴らしている人たちもいて……伊藤政則(音楽評論家/DJ)さんとかが、ハードロックなんてもともと地下音楽なんだから、今のブームは絶対続かない、と。ブームはブームなんだから、いつかは終わる、って言ってたんですよね。で、俺はそんなもんかね、って思ってたんですけど、そしたら、それまでの髪の毛を逆立てたバンドなんかつまらない、とNIRVANA みたいなバンドが出てきたんですよ。いわば、新しいパンクですよね。派手な衣装で派手なアクションのHR/HMとは間逆の、破れたジーパンにTシャツとかで、下を向いて暗い曲やってっていう、グランジとかオルタナティヴと呼ばれるバンドたちが出てくるんだけど。オルタナティヴって言葉自体が、“もう一方”のとか、“代わりのもの”とかって意味でね。だからその、メインストリームじゃなかったはずのハードロックがメインストリームに……、
松本●なってしまった。

POISON 『Nothin' But A Good Time』

ikkie▲そう。で、なってしまうと今度は、あいつらあんな金持ちになりやがってと、LED ZEPPELINやDEEP PURPLEの時代と同じことが起こったんですよ。当時のHR/HMに反発して、NIRVANAとかのグランジ、オルタナティヴってものが出てきたんです。
松本●やっぱりその、必ず、そういうトレンド、トレンドという言い方はすごく嫌ですけど、そこに寄っていったら、そうでないものが出てきて、また次はそれがトレンドになるっていう、繰り返しなんですね。アンチテーゼ的に、例えばパンクみたいなものが出て、それが盛り上がると次にまた新しいものが出て。新しいものが出てくると、今度は“古きを知って”になったり……まあ、明治維新のころみたいな感じなんですかね(笑)。
ikkie▲まあ、そんな感じです(笑)。でも、ほんとにそうで、巨大化して、形骸化しちゃった幕府を倒すために、若い武士たちが動いたのと同じですよね。グランジにしても10年ぐらい続いたのかなあ。今はもう自殺しちゃった人がいたりというのもあって……。で、まあHR/HMは、今はまたちょっと日陰の身なんですよ。新しいバンドも出てきてるけど……昔みたいに大ヒットしたりしないのは、今はみんながそれぞれの好きなものを細かく聴くような時代になってるから、前みたいにでかいブームっていうのは来ないのかも、という気がしてます。CDも売れないから、何万枚売れたとかも言えないし。
時代のサイクルで言ったら、またそろそろ(HR/HMが)来てもいいはずの時代なんですけど、そうじゃなくて。ただ、これは日本だけかもしれない。世界的にはかなりHR/HMが戻ってきてるんですけどね。日本は今独自の流行りがあって……まあ、その辺はまた別の機会に(笑)。

NIRVANA 『Lithium』


……というわけで今回はここまで! HR/HMって、まだまだ細かいジャンル分けがされてるんですけど、二つしか紹介出来ませんでした(苦笑)。次回はすべてご紹介しようと思っていますが、どうなることやら……。

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