ikkieの音楽総研

第94回 洋楽編 Tico Torres――
ドラムとはバンドを支える屋台骨、BON JOVIにティコ・トーレスあり!

2013 / 12 / 24

あそびすと読者の皆様、メリークリスマス! 早いもので年内の掲載は今回が最後です。今年も一年間ありがとうございました! ちょっと早いけど、来年もよろしくお願いしますね。さて、今回の音楽総研はちょっと趣向を変えて、ドラマーについて書いてみましょう。俺はどうしてもギタリストやシンガーに焦点を当てがちだけど、たまには違うパートもね、というわけで、今回はBON JOVIのドラマー、ティコ・トーレスです! またBON JOVI? とか言わないの。だって、いつもティコのこと書くスペースがないんだもん。

tico.jpg ティコは1953年生まれということだから、なんと現在60歳(ちなみにジョン・ボン・ジョヴィは51歳)。ローリング・ストーンズ  のチャーリー・ワッツみたいに70歳超えの人もいるわけだけど、それにしたって凄いよね。全身を使って演奏するドラムという楽器を毎晩演奏しながら世界中をツアーする、なんていう生活をもう何十年も続けているんだもの。尊敬しちゃいます。ギタリストだっていろいろ身体にくるけど、ドラマーやシンガーに比べると、やっぱりね。

ティコはあまり派手なプレイはせず、バンドの屋台骨を支えるようなどっしりとしたプレイをするドラマーで、どちらかといえば地味と言ってもいいぐらいかもしれない。俺の周りのドラマーからも、ティコのファンだとか、ティコは凄い! なんていう意見を聞いたことがなくて、こっちから「BON JOVIのドラム凄いよね」と振って初めて「ああ、あの人上手いよねー」と返ってくるというイメージ。誰もが認める実力の持ち主ではあるけど、コージー・パウエル(RAINBOWWHITESNAKE他)やトミー・リー(MÖTLEY CRÜE)のように誰もが憧れるプレイヤーではないわけだ。BON JOVIというバンドは個人のプレイよりも楽曲そのものを聴かせるバンドだから、仕方ないといえば仕方ないんだけど、テクニシャンや派手なプレイヤーにばっかり注目が集まる風潮には寂しさを覚えてしまう……リッチー・サンボラの回でも書いたけど、二人とも玄人好みのプレイヤーだから、若い子たちには地味に写るのかもね。テクニックはあるけどひけらかさないよ、という姿勢がカッコいいんだけどな。


『Blood On Blood』
ティコの魅力が存分に発揮されている曲!これドラムの音でかいね。ちょうどいいや。
で、このビデオめちゃくちゃカッコいいぞ。

で、ティコのドラムって、聴いたらすぐにティコだとわかるんだよね。……まあ、BON JOVIとリッチーのソロでしか聴いたことがないから、ティコが叩いているのは最初からわかってるんだけど(笑)、他のアーティストの曲で叩いていてもすぐにわかると思うし、反対にBON JOVIで他の人が叩いていても気付くはず。長年BON JOVIを聴き続けてきた人ならきっと同意してくれるんじゃないかな。フレーズに特徴があるのはもちろんだけど、ティコの叩き出すリズム、グルーヴ……メンバーそれぞれが重要なのは当然なんだけど、BON JOVIサウンドにおけるティコの役割は凄く大きいと思う。ドラムって不思議な楽器でね、音だけで誰なのかわかるってことは少ないのに、叩く人が代わると別のバンドかと思うほど印象が変わる。例えば、下手なバンドでもドラムが上手い人に代わるとバンド全体が上手くなったように聴こえたりするし、その逆も然り。歌やギターよりも、根本的な部分で重要だったりします。楽器を演奏しない人にはわかりにくいかもしれないけど、実はドラムこそがバンドサウンドの中心。バンドそのものの中心ではなかったとしても、サウンド面では間違いなくそう。


『Runaway』
こちらオリジナル版。酷いPV(笑)。映像には映ってるけど、ジョン以外のメンバーはRECには不参加。
で、実は現サポートメンバーのヒュー・マクドナルドが参加しています。昔からの付き合いだったんだねー
BON JOVIのデビュー曲、『Runaway  』は実はもともとジョンのソロとしてレコーディングされていて、ジョン以外のメンバーは演奏していないんだけど、改めてこの曲を聴いてみてください。ティコの叩くRunawayに比べてなんだかのっぺらーっとしてて、味気なくない? いや、もちろん上手いし、録音が古いってのもあるんだけど、ティコはもっと跳ねるように、弾むように叩くんだよね。そしてそれはBON JOVIサウンドの大きな特徴だ。今回のツアーにリッチーが参加しなかったことを俺はぐちぐちと書いたけども、ティコも病気で一時離脱していて、実はそっちのほうが心配だった。年も年だし、そのまま脱退しちゃうなんてことになったら、BON JOVIがBON JOVIでなくなってしまう! と。個人的にはリッチーがギターを弾かないことよりも違和感を覚えそう。今回、東京ドームであのドラムが聴こえてきた時には心底ホッとした。ジョンの後ろには、ティコがどっしりと構えていないとね!


『Runaway』
こちらはメンバーが実際に演奏している映像。だいぶ印象が違うでしょう?
それにしても若い(笑)

若々しかったBON JOVIのメンバーも、還暦を超えるような時代になった。ティコの二の腕は今も逞しいけど、緊急入院したりもしたし、あんまり体に厳しいスケジュールは組まず、出来るだけ長く続けられるようにしてほしいなあ……。あと何回観られるかな、なんてことはまだまだ考えたくないもの。お願いします、ジョン社長!


おまけ。『Only In My Dreams』
ティコが実に渋い喉を聴かせてくれます。ちなみにドラムはジョン(笑)


※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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