ikkieの音楽総研

第105回 洋楽編 WHITESNAKE――ダグ・アルドリッチ脱退からのWHITESNAKEギタリスト考

2014 / 05 / 27

前回、元WHITESNAKEのエイドリアン・ヴァンデンバーグが復活したことを書いたら、なんとWHITESNAKEの現在のギタリスト、ダグ・アルドリッチの脱退をデイヴィッド・カヴァデールがツイッターで発表した。まさかエイドリアンをバンドに戻すために、というわけではないだろうけど、このタイミングはちょっと怪しい……。WHITESNAKEのメンバーチェンジはもう恒例になっていて、またか、って感じでもあるんだけどね。そんなわけで、今回はWHITESNAKEのメンバーチェンジについて取り上げます。特にギタリストに焦点を当てて書いてみますよう。

1stwhitesnake.JPG
デビュー時のラインナップ
WHITESNAKEはDEEP PURPLEの解散後、デイヴィッドのソロプロジェクトとしてスタートしています。始まりがそんなだから、メンバーチェンジが頻発するのも致し方ないのかもしれないね。必ずパーマネントメンバーがいるとはいえ、実は「デイヴィッドとバンド」という認識でいたほうがいいのです。初期の頃はちゃんとバンドっぽかったと思うんだけど、メンバーを全員解雇したりした辺りからデイヴィッドのワンマンバンド的な色合いが濃くなっていったように思う。デイヴィッドは(決して悪い意味ではなく)計算高い人だから、その時代ごとに時流に合った人選をしているようにも見えるし……。

WHITESNAKEはもともとブルーズをベースにしたハードロックバンド。結成から80年代半ばまで在籍したミッキー・ムーディとバーニー・マースデンの二人のギタリストはまさにそういうスタイルで、バーニーの後任のメル・ギャレーもブルージーな渋い曲を作るギタリストだった。でも、ミッキーの代わりにTHIN LIZZYなどで活動していたジョン・サイクスが加入してからはブルーズ色は薄くなり、ジョンのメタリックなギターサウンドを前面に出すようになる。当時はHR/HMの一大ムーブメントが起こり始めていて、ジョン加入前のブルージーなサウンドは、良質ではあっても、時代遅れにもなりかねなかった。ジョンを手に入れたデイヴィッドは、これで最新式のHR /HMがやれる! と思ったんじゃないか。あるいはそれをやるためにジョンを入れたか……。事実、ジョン加入後に発表されたアルバム  はそれまでのWHITESNAKEとは違うモダンで洗練されたサウンドで、空前の大ヒットを記録する。前作とのあまりの違いに驚きはしたけど、捨て曲なしのこのアルバムは今でも俺のお気に入り。ただし、ジョンを含む当時のメンバーはアルバム発表前に脱退、ツアーにはHR/HM界のオールスターキャストが集められた。


『Don't Break My Heart Again』
ミッキー&バーニー時代の名曲! こういう哀愁漂う男らしい曲こそがWHITESNAKEの真骨頂です。
ちなみに当時はDEEP PURPLEのジョン・ロード(Key)とイアン・ペイス(Dr)もメンバーでした。ベースは名手ニール・マーレイ

その時のギタリストは、エイドリアンと元DIO  で現在はDEF LEPPARDのヴィヴィアン・キャンベル。ヴィヴィアンが脱退すると今度はスティーヴ・ヴァイ  が参加、そして、解散と再結成を経てエイドリアンとコンビを組んだのはRATTのウォーレン・デ・マルティーニだった。RATTの大ファンだった俺は腰が抜けるほど驚いたけど、この辺りでさすがに「有名だったら誰でもいいんかい!」とデイヴィッドの節操のなさに呆れちゃってた。スティーヴもウォーレンもバンドに合っているとは思えなかったし……アメリカ人は違う気がするんだよな。ジョン・サイクスを戻そうとしたこともあったらしいけど、ジョンとは確執が深く、実現しなかったらしい。


『Love Ain't No Stranger』
デイヴィッド&メル・ギャレー作の名曲をブロンドの貴公子、ジョン・サイクスのギターで。
ドラムはコージー・パウエル!

エイドリアンの引退後、次の再結成に参加したのは当時DIOにいたダグ・アルドリッチと、WINGERのレブ・ビーチ。2人ともアメリカ人だし、加入当初はどうにも合わない気がしたけど、考えてみれば昔からWHITESNAKEっぽいバンド  をやっていたダグはこれ以上ないぐらいの人選で、レブも文句なしの実力者かつバンドのスタイルに合ったギターが弾ける人。また有名人だったけど、時にシンガーより重要な存在になるギタリストだもの。今さら無名の新人は入れられないんだろうね。新しい曲はこれぞWHITESNAKE!というサウンドで、ミッキーとバーニー以外じゃ一番良い組み合わせだと思ってたんだけど、ダグは脱退するのか……。


『Still Of The Night』
ジョン・サイクス加入で劇的に変わったWHITESNAKEの代表曲。ジョンはいないけど、オールスターキャストのPVは衝撃的でした。
ちなみに登場するエロいお姉さんはデイヴィッドの元奥さん(笑)

エイドリアンはジョン・サイクス加入前にもデイヴィッドに誘われていたらしいし、デイヴィッドの本命は常にエイドリアンなのかもしれない。最近のインタビューでWHITESNAKEへの加入はないと言っていたけど、俺は可能性あり、と見てる。もちろんエイドリアンなら大歓迎なんだけど、こと曲作りに限って言うなら、ダグとの方が相性がいいと思うんだよね。もったいない。それにデビューしたばかりのエイドリアンのMOON KINGS  の事も気になるし。エイドリアン以外だとしたら……有名人好きのデイヴィッドは、ザック・ワイルドとかリッチー・コッツエン  辺りを狙ってそうだ。誰が入ってもずっと聴き続けるつもりだけど、今度はまだ世の中に知られていない名ギタリストを発掘してほしいな。


『Love Will Set You Free』
ギターはダグ&レブ。初期とジョン・サイクス時代がうまくミックスされてて、
俺みたいなマニアも納得のサウンド。もったいないなあ。
ちなみに登場する熟女ダンサーはデイヴィッドの現在の奥さん(笑)。看板作ってるのは長男のジャスパーくんだって



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