ikkieの音楽総研

第123回 洋楽編 SIXX:A.M.――モトリーとは別の"存在"、ニッキーの「ライフ・イズ・ビューティフル!」

2015 / 02 / 10

前回、この原稿がアップされる翌日から来日公演がスタートするMÖTLEY CRÜEを取り上げましたが、今回はベーシストのニッキー・シックスがMÖTLEY CRÜEとは別にやっているプロジェクトのSIXX:A.M.  をご紹介! なんとMÖTLEY CRÜEの日本公演日程が終了したすぐあとに、初めての来日公演を控えています。

SIXX:A.M.はニッキーとジェイムズ・マイケル(Vo.G)、DJアシュバ(G)の3人からなるバンドで、07年にニッキーが書いた自伝『ヘロイン・ダイアリーズ  』のサウンドトラックとしてファーストアルバム  を発表。もともとこのサウンドトラックを作るためにソングライター兼プロデューサーとして3人が集まって始まったらしいんだけど、3人の相性がすこぶる良く、バンド結成に至ったとのこと。現在までに3枚のアルバムを発表しています。

sixxam.JPG
左からDJ アシュバ、ジェイムズ・マイケル、ニッキー・シックス。
バンド名はシックスと、アシュバのA、マイケルのMでSIXX:A.Mとのこと
『ヘロイン・ダイアリーズ』は、ニッキーの86年のクリスマスから翌年のクリスマスまでの日記がもとになったもの。その日記は、自宅のクリスマスツリーの下で腕に注射針を刺しているところから始まり、一年後にドラッグの過剰摂取のために心停止、蘇生後に意識が戻ってからまたも注射をした自分に嫌気がさし、ようやくドラッグを止める決心をした……と終わる衝撃的な内容だ。決して万人に受け入れられるものではないけど、MÖTLEY CRÜEのファンなら読んでおいたほうがいいかもしれないね。日記が書かれたのは、4枚目のアルバム『Girls,Girls,Girls  』のレコーディングからツアーの期間で、その舞台裏が垣間見られるし、どこか退廃的な映画を観ているような魅力もある。MÖTLEY CRÜEの他のメンバーはもちろん、GUNS N’ ROSESやRATT、BON JOVIなんかも登場するし、ロックンロール・ドキュメンタリーとしても読める……けど、ニッキーの親友で同じくドラッグ中毒だったRATTのロビン・クロスビーは後に亡くなっているわけで、決して楽しいだけの本ではない。

それでも、彼らの音楽がこういった苦悩の中で作られ、ロックスターの日常はゴージャスで楽しいばかりじゃない……ということを知るのも、ファンにとっては興味深いと思う。それから、もしも自分の周りにドラッグやアルコールの中毒になっている人がいるなら読ませてみてもいいかもしれない。一人の人間が壊れていく様子が克明に書かれているこの本を読んだら、普通はドラッグなんてやりたくなくなるだろう。ニッキーもそれが日記を公表した理由のひとつだと語っていたし。でも、共感するだけで止められない人もいるんじゃないか、なんて疑問も残るかな……。

そんな内容の本をもとに作られたものだから、SIXX:A.M.の楽曲はやっぱりダークでシリアスなものが多く、グラムロック的なポップさもあるMÖTLEY CRÜEとの共通点はあまり感じられない。もちろんMÖTLEY CRÜEもニッキーが歌詞を書いているわけで、ダークな内容なものも多いけど、SIXX:A.M.はよりそちらにフォーカスした感じ。音楽的には、そもそもの始まりがサウンドトラックというだけあって映画のそれのようにかなりドラマティックで、MÖTLEY CRÜEではやらないような大仰なアレンジが施されている。ニッキーはSIXX:A.M.はMÖTLEY CRÜEとは違うものだと明言していたし、確固としたサウンドのあるMÖTLEY CRÜEでは出来ないようなことを試しているのかもしれないね。ファンとしてもあまり共通点がない分、ニッキーがヴィンスとは違う歌声、ミックとは違うギターと演奏しているのを純粋に楽しむことが出来るのもいい。他のメンバーも、現在はGUNS N’ROSESでもギターを弾いているDJは、テクニカルなプレイもこなしつつメロディアスなプレイを聴かせてくれる実力派だし、ヴィンスほど特徴的じゃないにしろ、ジェイムズのソフトな声色からハードな声色まで使い分ける歌声はドラマティックな楽曲をさらに魅力的にしている。そして、現代的な新しさも感じるから、MÖTLEY CRÜEを知らない若いファンにも訴える力があるんじゃないかな。


『Life Is Beautiful』
試すまではやめられない、死ぬまでは生きられない......と赤裸々に自身の中毒傾向が書かれています。
死ぬまで生きられないっていうのは、早死にしそうってことではなく、
一回死んでみて(!)ようやくちゃんと生きることが出来たってことじゃないかな

俺はドラッグにはもちろん反対だし、日記に書かれているようなやけくそ気味な姿勢にも共感出来ない。昔は音楽さえよければ他はどうでもいいなんて思っていたし、破天荒なアーティストの言動を歓迎したりもしていたけど、そんなふうに思うには俺も年を取り過ぎました。ニッキーが中毒を克服して、音楽を続けてくれていることを本当に嬉しく思う。当時の危ない目をしたニッキーは物凄くクールだったけど、クリーンになった今のニッキーは、あの頃のニッキーよりももっとクールだ。

それにしても、「死ぬまでは生きられない」なんて歌詞を実体験として書ける人はニッキー以外にはいないよね。ライフ・イズ・ビューティフル! 生きてこそ。


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http://dokodemoguitar.com/ 













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