ikkieの音楽総研

第206回 ロック漫画編 ROCKS(山下和美)――こんなにカッコいいバーコード頭、見たことない!

2018 / 04 / 17

俺は小学生の頃から姉の影響でロックにハマり、中学生になってギターを買ってバンドも始めて......で、今に至っているんですが、ロックを聴きだす前は漫画が大好きで、読むのはもちろん、自分でも漫画を描いていました。将来の夢はもちろん漫画家! ただ、子供なりにけっこう本気で漫画家になりたいと思っていたけども、早々と才能がないことに気付いてしまってねえ。ロックとギターに出会ったこともあって、現在はすっかり読む専門になっちゃいました。それでも、漫画熱は変わらず、家には何百冊あるかわからない単行本が山積みに......。さて、今回の音楽総研は、いつもと趣向を変えまして、漫画とロックが大好きなわたくしが、ロックな漫画をご紹介いたします! 記念すべき第一回目(シリーズ化の予定)は、山下和美先生の『ROCKS 』! 山下先生はドラマ化もされた『天才柳沢教授の生活 』や『不思議な少年 』を描かれていて、現在は週刊モーニングで『ランド 』を連載中。山下先生は、漫画家になる前にDEEP PURPLERAINBOWのファンクラブスタッフをやっていたという、筋金入りのロックファンなんですよね。

180417yamashitakazumi.jpg 『ROCKS』は99年に週刊モーニングに掲載された短編で、長年勤めていた会社からリストラにあってしまった、気難しそうな中年男の垂水が主人公。垂水は妻と反抗期真っ只中の高校生の息子、ヨシノブの三人で暮らしていて、妻の意向でリストラにあってしまったことはヨシノブには伝えていないが、ヨシノブは父親がリストラされたことに気付いており、そんな父親を陰で馬鹿にしていた。そして、ヨシノブは60年代から活動を続けているロックバンド、デビルクロウズのアキラに心酔し、父親の人生は間違っていたんじゃないかとアキラに訴える。しかし、そのアキラは、垂水が若いころに一緒にバンドをやっていた男だった......。

このアキラがカッコいいんだ、また。ステージからヨシノブを見下ろすアキラの姿からは、本物のロックミュージシャンだけが持っている迫力や存在感がビリビリ伝わってくる。自分がステージの下からアキラを見上げているような気分になるんだよね。漫勉 (漫画家に密着するドキュメンタリー)で観たみたいに、あのコマにはこだわったんじゃないかな......。ロックミュージシャンには、ライヴの始まりで照明がバーンと点いた瞬間に、「かっけーっ!」と思わせてほしい。立ち姿や佇まいのカッコ良さは重要だよ。この辺は女性漫画家のほうが共感してくれそうな気がするなあ。『愛してナイト 』にも『NANA 』にも登場シーンのカッコ良さが描かれているけど、『BECK 』にも『ソラニン 』にもそういうシーンは描かれてないもの。

具体的な描写はないものの、メンバーのルックスなどから想像するに、デビルクロウズの音楽性はおそらくパンク寄りの過激なロックなんだと思う。上半身裸で過激なサウンド......とくれば、俺なんかはイギー・ポップ を連想するけど、どうだろうか。垂水は、アキラはあの頃の日本では早過ぎたと回想している。激しく弾きまくるアキラを、凶器を持った犯人を見るかのようにボーゼンとしていた観客。垂水いわく、毒入りの弾丸をマシンガンでぶっ放して、その場にいる奴は皆殺し......そんな感じだった、というアキラのアティテュードは、たしかに60年代の日本には早過ぎただろう(今でもヤバい)。そして、アキラを本物だと認めつつも、そのままでは世間に受け入れられないと考えていた垂水は、デビルクロウズを脱退する。

IGGY AND THE STOOGES 『Raw Power』
デビルクロウズの音楽はもっとハードなんじゃないかという気がするけど、
イギーはモデルの一人なんじゃないかなあ......
 


垂水は自分が脱退して以降のアキラを知らずにいたが、誰にも会わずに帰ろうとしていた高校時代の同窓会で、久しぶりに出会ったアキラの恋人(だと思われる)に、アキラがデビルクロウズを続けていることを知らされる。そして、実はずっとアキラに会いたいと思っていた垂水が取った行動は......。このあとの展開をすんごく書きたいんだけど、ネタバレになっちゃうから我慢して書きません......いや、ちょっと書いちゃおうかな。垂水はアキラと再会を果たします。とても意外な形で。「俺はぼんやりなんかしてないぞ」という垂水の言葉は、ヨシノブにしっかり届いたはず。アキラだけではなく、バーコード頭の垂水だってカッコいい。なんだろうな、この熱さは。垂水とアキラとの再会シーンは、何度読んでも鳥肌が出る。ロック好きなら必ずシビレるよ。

この作品を読んだときの俺は20代の後半で、ヨシノブに感情移入するほど若くはなかったけど、垂水やアキラほど歳を取ってもいなかった。30代になるのはやっぱりちょっと嫌だったし、焦りも感じていたんだよね。でも、こういうオヤジにならなりたいかな......とは思った。あれから20年ほど経った今、俺は完全にオヤジになったけども(髪はあるけど腹は出た)、少しは2人に近づけただろうか。バンドは変わらず続けています。


※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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