ikkieの音楽総研

第212回 俺らの音楽編――ミュージシャンにもっとリスペクトを

2018 / 07 / 10

ついこの間、大きな地震が起きたと思ったら今度は大雨の被害……。地震も頻発しているようだし、これ以上被害が大きくならないように祈るばかりです。こんな時にこういう原稿を書いていていいものか……と、いつも悩んでしまいますが、被害にあっていない地域に住んでいるならば、変わらぬ生活を送ることも重要だと半ば強引に自分に言い聞かせ、今回も原稿を書かせていただきました。音楽総研を読んで、少しでも楽しい気分になってもらえたら嬉しいです。さて、今回はいつもと趣向を変えて、アーティストの紹介ではなく、俺が最近気になっていることを書いてみようかな。YouTubeのコメント欄がね……、どうも気になるんだよなあ。

皆さんはYouTubeなんかの動画についているコメントって読みます? 俺はけっこう読むほうです。海外の人たちの反応なんて興味深いし、「なるほど!」と膝を打ちたくなるようなコメントも結構ある。ただ、それと同じくらい、「何を的外れなことを……」と、呆れてしまうようなコメントもあってねえ。なかでも多いのが、シンガーが交代したバンドだったり、セッションや代役で歌っていたりするシンガーに対して、前のシンガーより下手だのハイトーンが出ていないだとかのコメント。歌えてないだとかねえ……、何様だお前、と思っちゃう。批判をするなということではないよ。歌のことなんて全然わかってないのに、ってこと。

JOURNEY 『Don’t Stop Believin’』
メンバーチェンジがものすごく上手くいったパターン。
でも、これほど見事に歌っているのに文句を言う人はいるんだよね……。
 


まあ、実際にひどい歌を歌っているケースもあるけど、キーが合わない曲を歌っていたり(歌わされていたり)する動画に対して、そういったコメントがついているのを見ると、この動画でそんなこと言われたくないだろうな……と、同情してしまいます。皆さんもカラオケで歌いやすいようにキーを変えた経験があると思うけど、それと同じで、いくらプロと言えども、歌いやすいキーや歌いにくいキーがあるわけですよ。例えば声楽だと、その人のキーによってソプラノ、メゾソプラノ、アルト……なんていうふうにパートを分けるでしょ? それは当然ロックにも当てはまるわけでね。ただ、おそらく声楽の世界ではありえないことだろうけど、ロックの世界では自分とは違うキーの曲でも歌わなきゃいけなかったりするし、それがYouTubeにアップされて、世界中から批判されたりもする……。

VAN HALEN 『Panama』
サミー・ヘイガーのほうがデイヴ・リー・ロスよりも上手いけど……、
やっぱりこれはデイヴの歌だよねえ。サミーも歌いにくそうだもん。
 


それならキーを変えればいいんじゃないの? って思うでしょ? それはもちろんその通りで、シンガーのいちばんいいところが出るキーに変えているアーティストもたくさんいる。ただね、これがギター中心のロック……、とくにハードロックやヘヴィメタルになると、キーを変えるのは諸刃の剣なんだよね。ギターリフが中心になっているような曲だと、キーを変えるとそのリフが弾けなくなったり、迫力が足りなくなったりすることがある。そういう場合はギターのチューニングを変えたりして対応することが多いけど、それってけっこう雰囲気が変わっちゃうし、チューニングを変えてもどうにも対応出来ないようなキーチェンジだと、もうね、無理して歌うか、歌うのを止めるかの二択になっちゃう。また、ハードロックやヘヴィメタルの世界では、オリジナルキーで歌えてなんぼ、なんていう文化(?)もあるし……。だから、代役で参加しているようなシンガーの場合、合わないキーで歌わされていることが多いのよ、きっと。下手だのなんだのと文句を書き込む前に、その人が自分の持ち歌を歌っている動画を観たり聴いたりしてみませんかね。たぶん、思っているよりも上手いはずです。

BLACK SABBATH 『War Pigs』
オリジナルのオジー・オズボーンと後任のロニー・ジェイムズ・ディオの聴き比べ。
ロニーはさすがの実力でカッコよく歌っているけど、明らかにキー低いよね。
ロニーにぴったりのキーに上げるともっと凄いと思うよ。
 


LOUDNESS二井原実さん自伝 に書いていたけど、二井原さんがバンドに復帰した時、それ以前よりもかなりサウンドがヘヴィになっていて、以前のレパートリーもダウンチューニングしたギターでかなりキーを下げた状態で演奏しており、二井原さんはとても歌いにくかったそう。それなのにファンからは「二井原が高音が出なくなったからキーを下げている」なんていう批判があって、とても辛かったらしい。二井原さんという世界的なシンガーでも自分に合わないキーで歌うのは大変なわけですよ。しかも、それを知らないファンが無神経なコメントを残す……。

プロに限らず、ある程度のレベルのミュージシャンは、音源やライヴで受ける印象よりも(俺の体感だと)軽く10倍は上手いです。もちろんそんなに上手くない人もいるけど、そういう人はものすごく個性的だったり、ものすごくセンスが良かったりする。一緒にやってみてびっくりしたことが何度もあるよ。あなたの好きな曲をオリジナル通りに歌ってくれなくて腹が立つのもわかります。でもね、あなた以上に本人は上手く歌えなかったことがわかっているはずだし、不甲斐ないと思っているはず。もうちょっとミュージシャンに対するリスペクトの気持ちを持ったほうがいいんじゃないかなあ。同じ動画でも聴こえ方が変わるかもしれないよ。


※ikkieがなんと「出張ギター教室」を始めてしまいました!
とにかくここから  アクセス! 動画もあるよん。
http://dokodemoguitar.com/ 













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