ikkieの音楽総研

第242回 洋楽編 BRUCE SPRINGSTEEN―― ブルース・スプリングスティーン、5年ぶりの新作は滋味にあふれて、心に沁みる名盤!

2019 / 09 / 18

1909springsteen.jpg 先日の千葉県を中心とする台風の被害にあわれた方、ご家族やご友人が被害にあわれた方、皆様に心よりお見舞い申し上げます。俺が住んでいる地域は少し雨風が強かったりはしたものの、被害というほどの被害はまったくありませんでしたが、この原稿を書いている今でもお隣の千葉県では停電が続いているようです。日本はもともと災害が多い国だけど、ここ数年はとくに多い気がするね……。一日も早い復興と復旧を願っています! さて、気を取り直していきましょう! 今回は5年ぶりのニューアルバム『Western Stars 』を発表したブルース・スプリングスティーン 。ニューアルバム、いいですよう。

ブルース・スプリングスティーンは73年にデビューしたアメリカ人アーティスト。70歳近くなった今でも、毎回3時間を超えるライヴを精力的に行う、ロック界の巨人です。これまでのアルバムの総売り上げは全世界で1億2000万枚を超え、グラミー賞や映画主題歌によるゴールデン・グローブ賞、アカデミー賞など数々の受賞歴があり、99年にはロックの殿堂入りも果たしているという問答無用のスーパースターでもあるわけだけど、ジーンズにTシャツや革ジャンといった、若いころからの飾らないスタイルもあって、スターという言葉がまったく似あわない。そういうところもブルースの魅力のひとつかな。

俺が初めて聴いたブルースの曲は、84年に発表された『Born In The U.S.A 』でした。その曲が収録されたアルバムはとんでもなく大ヒットしていたし(2000万枚以上のセールスを記録)、いろんなところでかかっていたからね。ただ、流行っていた当時はニューウェイヴ系のちょっと耽美で暗めの曲が好きだったから、マッチョなイメージのあの曲にはさほど興味をひかれず……。それでも、テレビで放送された『We Are The World 』のメイキングで、「アメリカで今いちばん人気がある男」と、小林克也さんがブルースのことを紹介していて興味を持ったのと、ブルースの力強い歌声に衝撃を受けて(他の誰よりもロックだった!)、一年遅れぐらいであのモンスターアルバム、『Born In The U.S.A』を聴いてみたのです。

『Born To Run』
ブルース・スプリングスティーンといえばこれ!
という人も多いんじゃないでしょうか。
 


そうやって聴いてみた『Born In The U.S.A』は、良い曲がたくさん入った良いアルバムだったけど、そのころの俺は、今度はHR/HMに傾倒していて、ブルースと、かの有名なブルースのバックバンドTHE E STREET BANDの奏でる軽快なロックンロールに少々物足りなさを感じてしまい、あんまり響かなかったんだよね……。そんな俺がブルースのファンになったのは、87年発表の『Tunnel Of Love 』を聴いてから。このアルバムが実にいい! 大ヒットした『Born In The U.S.A』の次の作品なのに、まったく前作を踏襲しておらず、真逆と言っていいほどの方向性だったこともあって、“地味”だなんて評価もあるようだけど、そこがいいんだっつーの!

『One Step Up』
わたくしのフェイヴァリット。沁みる……。
しかし、一歩進んで二歩下がる(One step up and Two steps back)、
っていうのは万国共通の表現なのかな?
 


『Born In The U.S.A』の歌詞はベトナム帰還兵の悲哀を描き、アメリカに生まれたことを皮肉った内容だったのにも関わらず、繰り返される「俺はアメリカに生まれた!」という力強いコーラスのせいで、愛国主義者の歌だと誤解され、レーガン大統領の選挙活動にまで使われてしまった(ブルースはレーガン支持を否定)。これ以降のブルースはメディアへの不信感か、政治的な歌詞を歌うことへの難しさか、内省的な内容の歌詞が増えていく。『Tunnel Of Love』はそのタイトルからもわかるように(直訳すると愛のトンネル……)、恋愛模様を描いた哀しく切ない曲が多い。これはあくまで俺の印象だけど、40歳になろうとしていた当時のブルースからはそれまでの力みが感じられないし、もう若者ではないことを自覚して、大人のサウンドを追及するようになったのかな、と感じたものです。“地味”というよりは、“滋味”だね。

『Western Stars』
ニューアルバムのタイトルトラック。
ジョン・ウェインに撃たれたことがあるんだ、と、かつて出演した映画のことを話す男が登場する。
そこに悲哀はなく、優しさと、温かい郷愁がある。これも沁みるー!
 


そしてまたあらためて『Born To Run 』や『Nebraska 』といった過去の作品を聴き直してみると、実は『Born In The U.S.A』みたいな曲のほうが少ないし、若いころのブルースには、激しさよりもナイーヴさを感じる……、なんて言うと怒る人もいるのかなあ。でも、俺はそっちのほうが断然好みです。それと、ブルースのことではないけど、もう一つ感じたのが、BON JOVIはブルースにものすごく影響を受けているんだな、ということ。BON JOVIが、というより、ジョン・ボン・ジョヴィが、かな。曲調だけじゃなくて、歌い方やMCでの話し方も似てるんだよね。あれはニュージャージー訛りなのかなあ。

あまり熱心なファンとは言えない俺は、新しいアルバムが出るととりあえず聴いてみるものの、また『Tunnel Of Love』に戻る、といった感じでブルースの音楽に触れてきたんだけど、6月に発表された『Western Stars』は久しぶりにヘヴィローテーションしている。目新しさはないかもしれない。それでも、滋味あふれるそのサウンドは、実に味わい深い……。


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