ikkieの音楽総研

第261回 洋楽編 VANDENBERG―― 伝説再び! オランダの叙情派バンドが復活!

2020 / 05 / 26

vandenberg.jpg またしてもお世話になっていたライヴハウスが閉店するとのニュースが飛び込んできました。閉店にあたって揉め事もあったようで……、コロナ禍のせいで余計なことも表面化しているのかもしれないなあ。とても残念です。この原稿がアップされる頃には東京の緊急事態宣言も解除されていそうですが、音楽業界はまだまだ厳しそう……。さて、今回は35年振りにアルバム を発表したVANDENBERG をご紹介! シンガーはなんと、復活したRAINBOWのロニー・ロメロですって。

VANDENBERGは82年にデビューしたオランダのハードロックバンド。WHITESNAKEなどでの活動で知られるギタリスト、エイドリアン・ヴァンデンバーグが中心になって結成されています。エイドリアンが書くVANDENBERGのメロディアスな楽曲はヨーロッパのバンドらしい抒情性があるドラマティックなもので、本国のみならず、ここ日本でも大人気でした。アメリカでもファーストアルバム からのシングル『Burning Heart』がスマッシュヒットしています。

『Burning Heart』
VANDENBERGといえばやっぱりこれかな。

 


シンガーのバート・ヒーリンクの影が少々薄い気はしたものの、ヨーロッパのバンドにはこういうシンガーが多いというか......、それはそれで"らしい"感じがしてね。彼らの曲はよく聴いていました(サードアルバム が特にお気に入り)。メロディアスな佳曲が多いし、なによりエイドリアンのギターが凄い! 音程差の激しいフレージングや、エモーショナルで大きなヴィブラートには大いに感銘を受けたよ。WHITESNAKE時代はちょっと大人しくなったような気がしたなあ......。そう、エイドリアンがWHITESNAKEに加入することになり、VANDENBERGはいったん解散してしまうのです。

『Different Worlds』
セカンドアルバムから。こういうB級臭漂う感じも欧州のバンドならではの魅力だよね(褒めてます)。

 


WHITESNAKEに加入後のエイドリアンは、名実ともにワールドクラスのギタリストになりながらも画家の道を選び、13年にVANDENBERG'S MOONKINGS を結成するまで音楽業界から引退。そのMOONKINGSはWHITESNAKE以降のブルージーなエイドリアンが全面に出ており、これはこれで素晴らしい内容だったものの、往年のVANDENBERGファンからは少なからず不満も聞こえていたかな。エイドリアンにはやはりメロディアスな叙情派ハードロックをやってほしい、と。そしてここ数年、エイドリアン自身もそう思うようになったらしく、VANDENBERGを復活させる。

VANDENBERGの復活は俺も大歓迎だったけど、MOONKINGSをVANDENBERGにすればいいじゃないか、という疑問もあった。良いメンバーが揃っていたし、音楽性が違うとはいえ、エイドリアンがいればVANDENBERGじゃないか、と。この疑問については、エイドリアンが今作に伴うインタビューで答えてくれている。いわく、MOONKINGSのヤン・ホヴィング(Vo)は大きな会社を経営していて休みが取れず、大規模なワールドツアーが出来ないということと、違うシンガーを入れてVANDENBERG的な音楽をMOONKINGSでやることはピンと来ず、ファンのためにもMOONKINGSはMOONKINGSとして残しておくことにしたという。そして、やるなら信じられないメンバーを集めてやらなければ意味がないと思い、ロニー・ロメロ(Vo)、ルディ・サーゾ(B)、ブライアン・ティッシー(Dr)の参加が決まったという(ルディとブライアンは数曲にゲスト参加)。いや、このラインナップには驚きました。

まあ、ルディとエイドリアンの関係が良好なのは知っていたし、ブライアンとは、ブライアンがWHITESNAKEに在籍していた時期に共演したこともあっただろう。意外なのがロニーだ。そうきたか! という驚きと、VANDENBERGに合うかな? という疑問が同時に沸き上がったのは俺だけじゃなかったと思う。ロニーはデイヴィッド・カヴァデール(WHITESNAKE)っぽさもあるし、だったらデイヴィッドとまたやればいいのに......って、それはWHITESNAKEになっちゃうか。エイドリアンはVANDENBERGをやりたかったんだもんね。

『Shadows of the Night』
ニューアルバムのオープニングトラック。往年のVANDENBERGっぽさは薄れているけど、これはこれでカッコいいね!


 

アルバムを一聴した印象は、「これはVANDENBERGなのか?」でした。エイドリアンがいればVANDENBERG、なんて書いておいてなんだけど。たしかにMOONKINGSよりはハードだし、マイナーキーのメロディアスな楽曲が増えているんだけど、熱い、というか暑苦しいロニー節が満載で、以前のVANDENBERGにあった切なさや儚さが皆無。RAINBOW風なリフもあったりするから、エイドリアンがロニーに寄せたんだろうね。たしかにこれほどのシンガーを手に入れたなら、よりシンガーが活きるような楽曲を書くのも当然だとは思うんだけど、少々寂しくもある......。ただ、ギターは紛れもなくエイドリアンで、最近の少々レイドバックしたプレイではなく、がっつりと弾きまくっているのはたまらん! エイドリアンといえばこれ、これですよう。

なんと、エイドリアンのWHITESNAKE時代のアルバム『Starkers in Tokyo 』が、ロニーがシンガーになるきっかけだったという。ロニー、嬉しかっただろうなあ......(俺ならDURAN DURANから誘われるみたいな感じか! 嬉し死ぬかも)。アルバムを何度か聴いた今でも困惑気味ではあるものの、今作が素晴らしい作品であることは間違いない。60代後半になったエイドリアンが今でもワールドツアーに積極的なこともわかったし、コロナ禍が収束した暁には、きっと日本にやってきてくれるはず! ロニーがいるならきっとWHITESNAKEの曲も聴けそうだよね。新しいVANDENBERGにも期待大、かな。


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