ikkieの音楽総研

第266回 洋楽編 ALCATRAZZ―― 34年ぶりの新作は現在進行形の意欲作!

2020 / 08 / 04

コロナウイルスの感染拡大が止まりません。ライヴハウスも営業を再開していたところが増えてきているし、ミュージシャン達もやっと活動を再開しはじめているのになあ。俺はもう少し様子を見ようと思っていたので、ライヴが出来ないぶん、YouTubeの動画を作ったりしていました(女性シンガーとやっているバンド、Antlionのチャンネル を作ったので、よかったら観てみてくださいね)。個人で出来る感染予防はそろそろ限界じゃないでしょうか。国や行政にきちんと舵を取ってもらいたいですね……。さて、今回の音楽総研は34年振り(!)に新作 を発表したグラハム・ボネット率いるALCATRAZZ をご紹介!

alcatrazz.jpg ALCATRAZZはRAINBOWTHE MICHAEL SCHENKER GROUPのシンガーだったグラハム・ボネットが、元NEW ENGLAND のジミー・ウォルドー(Key)、ゲイリー・シェア(B)と、その強烈なプレイでロックギター界を震撼させることになるイングヴェイ・マルムスティーン(G)、アリス・クーパーのバンドにいたヤン・ウヴェナ(Dr)で結成したヘヴィメタルバンド。83年にデビューアルバム を発表しています。

デビューアルバムはグラハムの力強いヴォーカルと、まだ19歳だったとはとても思えないイングヴェイの凄まじいプレイ、そして、のちにネオクラシカルメタルという新ジャンルが形成されるきっかけとなったクラシックフレイバーが散りばめられた楽曲が聴ける名盤だけど、イングヴェイと他のメンバー達との折り合いが悪く(ヤンとの関係は良好だったらしい)、イングヴェイはわずか1年で脱退......。

『Hiroshima Mon Amour』
俺が初めて聴いたALCATRAZZの曲がこれ。イングヴェイの流麗な速弾きがとにかく衝撃的でした。

 


後任には、こちらものちにデイヴィッド・リー・ロスのバンドやWHITESNAKEでの活動で世界の寵児になるスティーヴ・ヴァイが参加。スティーヴが参加したセカンドアルバム は、イングヴェイ在籍時とあまりにサウンドが違うためにイングヴェイ信者から非難轟々、加えて当時流行のLAメタルなどとは一線を画すアダルトな作風だったこともあってか、アルバムセールスも芳しくなかった。ただ、今になってあらためて聴いてみると、その後のスティーヴと全く変わらない世界観がこの時点ですでに完成しているし、叫ぶだけではないグラハムのヴォーカルも堪能出来る名盤だと思う。そして、まったく古さを感じさせないんだよね。これはスティーヴのどのアルバムでもいえることだから、やはり彼の才能によるところが大きいのかもしれないけど。

『God Blessed Video』
スティーヴ時代の人気曲。ギターだけでなく、リズム隊やヴォーカルメロディまでもがスティーヴ印満載!
イングヴェイ時代が好きだった人はそらびっくりしたよね。でもね、スティーヴはやっぱり凄い。

 


スティーヴ脱退後はダニー・ジョンソンが加入、この人も上手い人ではあったけど、スタジオミュージシャン的というか……、王道のロックギターをそつなく弾く人で、イングヴェイやスティーヴに比べるとどうしても見劣りしてしまったなあ。ここには何度か書いているけど、グラハムはあまり積極的に作曲をする人ではなく(そのせいでALCATRAZZはギタリストが変わるたびに音楽性がガラッと変わってしまう)、自分の曲をその力強いヴォーカルで歌ってほしいと、ギターヒーローに重宝されているシンガーだと思う。でも、このダニーが参加したアルバム は、グラハム自身の音楽性に近いんじゃないかな。AOR寄りの曲調は元NEW ENGLANDの二人の影響もあるかもしれないけど、グラハムが元々ポップシンガーだった ことを思えば納得がいく。このアルバムはメロディアスな佳曲が揃った、隠れた名盤ですよ! いっそのことバンド名を変えて、JOURNEYSURVIVOR みたいな売り方をすればもっとヒットしていたんじゃないか……。しかし、そういった売り方はされず、セールスも振るわず、バンドはそのまま解散してしまう。

グラハムは07年にオリジナルメンバーがグラハムだけという状態でALCATRAZZを再結成、他のメンバーとのお定まりのバンド名に関する揉め事が起こってしまったものの、まあ、グラハムがいればALCATRAZZを名乗っても問題ないよね。そして、紆余曲折ありながらも、ジミーとゲイリーがバンドに戻り、今回のニューアルバム発表と相成った。ギタリストにはイングヴェイのプレイを完全に再現してみせる、名手ジョー・スタンプ が加入。

『Born Innocent』
ニューアルバムのタイトルトラック。ALCATRAZZってよりIMPELLITTERIっぽい......と思ったら、
クリス・インペリテリとの共作みたい。

 


ニューアルバムはイングヴェイ在籍時代のサウンドに回帰したなんて言われているようだけど、さほどイングヴェイっぽさは感じないし、むしろ現在のヘヴィメタルシーンを見据えた意欲作だと感じた。とくに日本人ギタリストの若井望 さんが参加した曲が新機軸で良い。個人的にはスティーヴやダニー時代のAOR寄りのサウンドのほうがグラハムらしさが出ると思っているんだけど(リッチー・ブラックモアもRAINBOWでそれを狙っていたのでは)、それでも、なにより70歳を超えたグラハムが以前と変わらない力強いヴォーカルを聴かせてくれたことに感激しています。皆さまもぜひご一聴を!



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