ikkieの音楽総研

第281回 洋楽編 ENUFF Z'NUFF ―― 類まれなるメロディセンス! 過小評価に物申す

2021 / 03 / 02

前回の音楽総研でポール・ギルバートのことを書いたら、自分のパワーポップ好きを再認識しまして、このところパワーポップと呼ばれるバンドをSpotifyで聴きあさっています。音楽のサブスクリプションには賛否両論あれど、中古でも手に入らなかった幻の名盤なんかも聴けたりするし、リスナーとしては大歓迎。作り手側としてはちょっと考えるところもないわけではないけど……、作り手側にしたって、気軽に全世界に向けて配信出来るわけだしね。今後も大いに利用していこうと思います。さて、今回は最近聴きあさっていたパワーポップの中でも、以前ハマりまくっていたENUFF Z’NUFF をご紹介!

enuff z'nuff.jpg
ENUFF Z’NUFFはドニー・ヴィー (Vo,G)とチップ・ズナフ(B)を中心にシカゴで結成され、89年にメジャーデビュー。彼らのデビュー当時は無名の新人が5億円の契約金を受け取った、だのと期待の大物新人扱いだったのを覚えているけど、残念ながらそこまで大物にはならず、今も昔も知る人ぞ知る名バンド、という存在のような……。少なくとも俺の周りではそうだなあ。

ENUFF Z’NUFFのサウンドはTHE BEATLES CHEAP TRICKあたりの影響を感じさせて、ポップかつ、甘美で切ないメロディにジョン・レノン 声(ここ重要!)のドニーの歌が乗る、パワーポップ好きにはたまらないバンドだと俺は思っているんだけど……、デビュー当時のグラムメタル的なイメージもあってか、どうも真正のパワーポップ好きからは敬遠されているようなふしもある。そして、そのグラムメタル的なイメージは、HR/HMファンからも少なからず敬遠されてしまったんだよね。ENUFF Z’NUFFの実力に見合わない低評価(と俺は思っている)は、売り出し方を間違えてしまったせいじゃないだろうか。

『New Thing』
デビューアルバム収録。これが最初のPVじゃなかったかな? このケバケバしいルックスでなければあるいは……

 


89年という、HR/HMバブルがはじける直前のデビューには、数曲のPVで見られたPOISONかと見紛うような派手なメイクや衣装はもう時代遅れだったし、彼らの音楽が真剣に捉えられないというリスクを伴っていた。POISONのイメージは、ヘアメタルとも呼ばれたHR/HMバブルの時代にも、彼らの軽薄な音楽性(悪口にあらず)にもぴったり合っていて、大ヒットに恵まれたけど、ENUFF Z’NUFFは高い音楽性を持っているのにも関わらず、パーティバンドだと揶揄されてしまった。しかもそういうパーティバンドがもてはやされる時代は過ぎていて、大きなヒットには恵まれず……。

『Baby Loves You』
もうちょっといい映像のやつがないか探したんだけど......。
でも、この曲が大好きなので、ぜひとも皆さんに紹介したくてね。音だけでも聴いてみてね

 


くわえて、歴代のギタリストのプレイが派手めだったことも、彼らの音楽性が誤解されがちな要因のひとつかもしれない。ENUFF Z'NUFFは、日本ではその派手めなギターのせいか、HR/HM系のバンドとしてカテゴライズされることが多いけど、彼らはHR/HMのファンよりもパワーポップのファンにこそ、受け入れられるんじゃないかと思うんだよね。まあ、エディ・ヴァン・ヘイレンっぽいトリッキーなギターは、パワーポップファンには受けが悪いかもしれないけども。......しかし、ENUFF Z'NUFFの楽曲はパワーポップ好きにこそ聴いてもらいたい。繰り返される半音進行や、時折はさまれる不穏なコード、切ないメロディに含まれる毒気はあなたたち好みでしょ! ウーアーコーラスも! そしてなにより、ドニーのジョン・レノン声......! JELLYFISHXTC ポール・マッカートニー派なら、ENUFF Z'NUFFはジョン・レノン派。ジョン派のバンドは、ジョンに似た声じゃないとダメなのよ。そこいくとドニーの声はほんとにジョンっぽいんだよね。彼らの『Jealous Guy 』や『Revolution 』、『You've Got to Hide Your Love Away 』のカヴァーは秀逸でっせ! ま、ギターが少々歪みすぎのきらいはあるけども。

『Down Hill』
世紀の大名曲! 俺のフェイヴァリットです。ドニーの切ないヴォーカルがたまらん......。
この曲が収録された『Seven』は捨て曲なしの大名盤。
ジョン・レノンの名曲『Jealous Guy』のカヴァーが収録されていますが、その曲が目立たないほど、
彼らのオリジナルがすばらしい!

 


ENUFF Z'NUFFは、大きなヒットには恵まれなかったけど、堅実にファンベースを築き、良質な作品をコンスタントにリリースし続けている。ただ、内情は決して順風満帆だったわけではなく、度重なるメンバーチェンジやメンバーの死、そしてバンドの顔であるドニーの脱退......。チップがヴォーカルも兼任してバンドは現在も継続しているし、音楽性の高さは相変わらずではあるものの、ドニーの歌声にいちばんの魅力を感じていた俺としては、正直なところ、魅力は半減。1曲だけとはいえ、昨年発表された目下の最新アルバム にはドニーが参加していて、変わらぬ歌声を聴かせてくれている。で、その曲がいちばん良かったんだよね、やっぱり。ドニーには個人的な事情もあるようだけど、なんとか戻ってきてくれないか......、と勝手な期待を寄せております。

 



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