ikkieの音楽総研

第302回 邦楽編 NEMOPHILA ―― 日本発、"地獄のゆるふわバンド"が世界を制す?!

2021 / 12 / 21

ブルース・スプリングスティーンが自身の全楽曲の原盤権と音楽出版権を売却したことがニュースになっていますね。たしか、MÖTLEY CRÜEリッチー・サンボラも何年か前に売却していたはず。これは、彼らが経済的に困窮しているなんてことではなく、なにか権利面で問題があった、ということでもないだろう。……俺はなんとなく、彼らの終活なんじゃないか、という気がしています。今後受け取るであろう印税と、売却額を比べても損はないと踏んだんだろうし、何よりも今のうちに信用のおけるレコード会社などに楽曲の管理を任せておきたい、と考えたのでは……。さて、今回の音楽総研は、先日ファーストアルバムの『REVIVE 』をリリースしたばかりの「地獄のゆるふわバンド」こと、NEMOPHILAをご紹介! アルバム、めちゃくちゃいいです。

nemophila.jpg


NEMOPHILAは、2019年に結成されたmayu(Vo)、SAKI (G)、葉月 (G)、ハラグチサン(B)、むらたたむ (Dr)の5人の女性メンバーからなる日本のロックバンド。公式プロフィールいわく、「ラウドからグランジまで様々な要素を取り入れ、“音は地獄のように激しく、その他はゆるふわ”を標榜する地獄のゆるふわバンド」とのこと。YouTubeの配信動画などから伝わってくる彼女たちのゆるふわな雰囲気と、ゴリゴリでヘヴィなサウンドのギャップはまさに地獄のゆるふわバンドで、うまいこと言うなあ、と感心してしまった。

『REVIVE』
ファーストアルバムのリードトラック。
前半のスクリームから解放感あふれるサビへの展開が気持ちいいね
 


俺が彼女たちの存在を知ったのは、LOUDNESSなどが出演した「METAL WEEKEND 2019」の出演者の中に名前を見つけた時だったと思う。Mary’s Blood のSAKIと、YouTubeで偶然見つけて、上手いなあ、と思っていたむらたたむに加えて、隠れた(?)実力派として注目していた葉月までが参加しているバンドと知って、驚いたのを覚えている。ただ、SAKIはMary’s Bloodのメンバーだし、むらたたむにはセッションミュージシャンの印象があったから(HR/HMをやる印象もあまりなかった)、サイドプロジェクト的な感じなんだろうな、と、さほど興味を持たなかったのが正直なところ。

しかし、NEMOPHILAがYouTubeチャンネルを開設し、IRON MAIDEN 『The Trooper』をカヴァーした動画 を観て、すっかり彼女たちのファンになってしまった。「ゆるふわでかわいらしい女の子たちが、俺たちのIRON MAIDENをやっている!」と、世界中のメタル親父が、俺と同じようにあの動画一本で彼女たちの虜になったんじゃないか(12/21現在、再生回数224万回超え!)。いや、IRON MAIDENはあんたらの物じゃないんだけど、まあ、コメント欄にも世界中の言語でこんな感じのコメントが並んでいます。これね、演奏が見事なのが一番ではあるんだけど、“若い女の子たちが楽しそうに演奏していた”のがツボだったはず。しかも自分たちが若いころに聴いていた曲をね。これが迫力満点でセクシーな姉御たちだったら、ここまで話題にはならなかったのでは……。ある意味でBABYMETALの方法論に近いかもしれない。ただ、BABYMETALとNEMOPHILAが決定的に違うのは、彼女たち自身が能動的にヘヴィなサウンドでプレイするバンドを結成したことだ。

『Life』
今年、無観客で行われたNAON の YAONのライヴ映像。
ヘヴィな曲だけで なく、この曲のようなメロディアスでスケールの大きな楽曲もNEMOPHILAの魅力。名曲!
 


インタビューを読むまでは、Mary’s Bloodですでに10年以上のキャリアがあるSAKI主導でバンドが始まったのかな、となんとなく想像していて、ハスキーでいかにもロックが似合う歌声で、激しいスクリームからソフトな歌唱までこなすmayuに、こんな逸材をよく見つけたなあ、なんて思っていたんだけど、なんとmayu主導で始まったバンドだとのこと。mayuは失礼ながら他のメンバーほど名前が知られているわけでなかったし、これはちょっと意外だった。スクリームをいかした女の子のバンドはあんまりいないし、面白いことができるはず! というmayuのアイディアをもとに、NEMOPHILAは結成されたという。

『鬼灯』
目下の最新MV。実は個人的に和風な歌詞やメロディがあまり得意ではないんだけど、
この曲はmayuのヴォーカルがあまりにカッコよくて、そんな俺の好みなんかどこかにいってしまう……
 


先日発売された『REVIVE』には、すでにシングル として発表されていた楽曲を含む11曲が収録されている。名立たるメタルバンドを手掛けてきたイェンス・ボグレンのマスタリングによるサウンドは、驚くほど重厚ながらも、ライヴでのコール&レスポンスが目に浮かぶようなキャッチーな楽曲が揃っていて、これは、大ヒットも十分にあり得る、と感じている。実力派が揃った楽器陣の見事な演奏が完成度の高さにつながっているとは思うけど、mayuのヴォーカルがとにかく魅力的だ。まだまだ粗削りなところもあるにせよ、このロックな歌声は素晴らしい。そして、mayuは存在自体に華がある。これはメンバー全員にも言えることで、楽曲と演奏の素晴らしさはもちろん、抜群のルックスと、ステージパフォーマンスの華、ゆるふわなキャラクターとのギャップ……、HR/HMシーンを飛び越えて、スターになる要因がたくさん揃っている。こんなに魅力的なバンド、メタル親父だけが聴いているのはもったいないし、世界が放っておかないだろう。

……NEMOPHILA、大化けの可能性ありとみた!

(文中敬称略)


※今年の掲載は今回で終了です。また来年お会いしましょう!


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