ikkieの音楽総研

第306回 邦楽編 辻仁成 ―― 今も昔も、俺にとっては"ジンセイ"です

2022 / 02 / 22

Y&Tデイヴ・メニケッティ (Vo,G)が、公式フェイスブック に自身が前立腺癌であることを投稿しました。デイヴの主治医によると、早期に発見ができたために治癒の可能性はとても高いとのことですが……、やっぱり心配です。Get well soon, Dave !! 早く良くなりますように……。さて、今回の音楽総研はミュージシャンで作家、さらに最近は愛情料理研究家 の肩書きもある(?)、辻仁成 さんをご紹介! これまで音楽総研で取り上げできたアーティストとはかなり毛色が違いますが、実はずっと気になっていた人だったんですよね。

jinsei.jpg 辻仁成さんは1985年にECHOES のシンガーとしてデビュー。ECHOES活動中の1989年に発表した小説『ピアニシモ 』がすばる文学賞を受賞、作家としてデビューを果たし、1991年にバンドが解散して以降、本格的に作家としての活動をスタートさせています。1997年には『海峡の光 』で芥川賞を受賞、その辺りからミュージシャン“ツジジンセイ”としてよりも、作家“つじひとなり”としてよく知られているんじゃないかな。

俺が辻さんのことを知ったのは中学生の頃で、ECHOESのシンガーとして、でした。ただ、当時はあんまり良い印象を持っておらず……。初めて聴いた時に、なんだかU2みたいだ、と感じたのをいまだに覚えているんだけど、U2のファンだった俺は、これは似すぎなんじゃないか、と思ったんだよね。ディレイを多用するギターのスタイルは、けっこう“まんま”だったし。くわえて、当時の俺はとんでもなく生意気な洋楽至上主義のロック小僧だったから、やっぱり日本語のロックは俺の好みではない、と聴かずにいたのでした。それでも時折ラジオや音楽番組でECHOESの楽曲が流れると気になってはいたし、実は辻さんの歌声や、その印象的な歌詞に惹かれていたんだよなあ。

そんな俺のECHOESへの見方を変えたのは、上京して初めてバイトをしたコンビニの社員だったYさんでした。俺の8歳上だったYさんは、ECHOESやARB といった日本のロックバンドが好きで、一緒にカラオケに行くとその二つのバンドの俺が知らない曲をよく歌っていてね。何回も聴いているうちに俺もだんだん気に入ってきて、とくにいいなと思ったのが、動物がたくさん登場する不思議な歌詞の曲......そう、後にリバイバルヒットすることになる『ZOO 』でした。当時は誰の曲だか知らなかったから、Yさんに誰の曲ですか、と聞くと、「ECHOESだよ。ジンセイはいいぞ」と、教えてくれたのです。


ECHOES『ZOO』
言わずと知れた名曲。辻さんって昔はこういうイメージだったよね。

 


その時も、ECHOESってU2っぽいっすよね、なんてえらそうに言った俺に、Yさんは笑いながら、「そう? 別にいいじゃん」と余裕で返され、え、いいのか?......と、衝撃を受けつつも、そうか、別にいいのか、と妙に納得もしたんだよね。まあ、似ているといってもギターくらいだし、みんな誰かに影響は受けているよな、それにその理論で言うなら、『ZOO』は誰にも似ていなくて、しかもいい曲じゃないか、と。そして、Yさんの"ジンセイ"という呼び方も、なんだかいいな、と思ったんだよね。"ジンセイ"は、カタカナで聞こえた。俺はそれまで日本人アーティストのことを下の名前で呼ぶ習慣がなかったから、ちょっと驚いたんだけど、なにかこう、より愛情がこもっている気がした。

その出来事以降、"ジンセイ"は俺にとって、より気になる存在になっていたんだけど、ハードロックバンドを組もうと目論んでいた10代フリーターの懐事情では、ハードロック系アーティストのCDを月に数枚買うのがせいいっぱいで、ECHOESはYさんが歌う『ZOO』くらいしか聴く機会がなく......、そうこうしているうちにECHOESは解散し、いつの間にか"ジンセイ"は、作家"つじひとなり"になっていたのです(ミュージシャンとして活動時は仁成をジンセイ、作家としてはひとなりと読んで活動)。ECHOESで書いていた歌詞のことを思えば、辻さんが小説を書くことに違和感はまったくなく、それ以降の活躍を見るにつけ、そっちのほうが向いていたのかな、なんてことを思っていたし、辻さんの書く小説はとてもよかった。『冷静と情熱のあいだ 』なんか、何回読み直したかわからない。

そして、あまりミュージシャンとしての活動が伝わってこなくなったこともあって、俺はますます辻さんの音楽から遠ざかっていたんだけど、ここ数年、毎日読んでいる辻さんのブログ で紹介された『ボレロ』のギター演奏が凄かった! テクニカルだとかではなく、エモーショナルな表現力が凄い。"ジンセイ"の歌と同じだ。これはたまらんぞ、とYoutubeチャンネルをのぞいてみたら、凄い演奏がいっぱいアップされているじゃないの。時間を忘れて片っ端から再生し、気が付けばすっかり辻さんの音楽に魅了されていました。ECHOESも。もっと前からちゃんと聴いていればよかった......。


『ボレロ』
これは凄い......!!

 


最近は、作家としての辻仁成を知っていても、ミュージシャンとしての辻さんを知らない人が意外と多くて、なんだかモヤモヤしています。でも、そういう人と話していても、俺はかたくなに"ジンセイ"と呼ぶんだよね。そして、そのたびに「ジンセイなの? ひとなりじゃないの?」なんて聞かれるんだけど、ミュージシャンの時はそう読むんだ、俺にとっては"ジンセイ"なんだ、と返したところで、いつも「へえー」くらいの反応しか返ってこない。......モヤモヤはいっこうに収まらないのでした。

『MATSURI』
パリでのライヴ映像。これも凄い......!!

 


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