アラカン編集長モンブランを行く!

回復の途-3:心のままに、身の向くままに

2009 / 07 / 24

和田氏との邂逅以来、憑きものが落ちたように気持ちが平たくなった。
見えない不安は横へ置いて目の前のことに心を傾ける。つまり、中途半端であるが故に神経を逆なでされるような「自宅療養」期間を許された休養期間として大いに楽しめばいいではないかと思えるようになった。

トレーニングを再開するにも何をするにも、ドクターの懸念「外に出る時はコルセット着用」「なにかあれば異常を引き起こす可能性もある」が心の隅にひっかかって不完全燃焼を起こし、それがまた不安材料になり、自信喪失につながるという悪循環をようやく断ち切れたのだった。

じたばたするのを止めれば実に「自宅療養」期間は悪くなかった。常に何事かに忙殺される日常を離れて、有り余る時間を好きなように過ごす。これほど贅沢なことはそうはないかもしれないと思えば、ニンマリと笑えてもくるではないか。

この時期なればこそできること、しておきたいこと…
まずは家の片付け。3年近く衣類などの夏物と冬物を入れ替えるということもままならず、シンプルライフを望んでいたはずが、そうもいかなくなった現状はいかにも居心地が悪い。

山歩きを始める前64kgだった体重が今は52kg。ブカブカでどうにもならない2サイズほど上のパンツやジャケットは邪魔になるばかりか、今着たいものをすっと出せず生活に混乱をきたしている。少しずつ整理して処分することにした。

「なんとか着れるかな?」ちょっとどんな具合が着てみたりして、あまりにものブカブカ具合に可笑しくて独り笑ったりもするが、そんなことをしていると案外時間を食う。
どこそこの部屋のここを片づけようと思うと別の部屋を片づけてスペースを開けなければという事態になり、あっちをいじり、こっちをいじりしていると、複数の部屋が未整理状態に陥り途方にくれる。

休み休み続けて数日経ってみると、案外それがリハビリになっていると気がついたりもする。まさしく作業療法。その上、寝室がすっきりしたりすれば思った以上に快適。寝しなの読書がことの他進んで、朝までになったりもするが、なあに昼間に寝ていたってお構いなし。申し訳ないほどに結構なご身分なんである。

ほとほとうんざりして「今日は止め」と作業放棄するもまたよし。
ふと、思い立ってデジカメデータをのぞいてみる。思わぬものを発見したりする。
2008年の夏に登った山々で撮った草花の数々。せっかくの愛らしい草花がUPしないまま埋もれてしまっている。おびただしい枚数だ。いかにももったいない、放っておく手はない。
「さあて、どの山からにするかな」
2008年7月5日、6日の硫黄岳、7月19日から21日の北八ヶ岳縦走、8月1日から4日までの白山、どの山行も整理はしたが書けないままUPできていない草花が100種近くデータホルダーに眠っている。

とたんに楽しくなった。北八ヶ岳縦走を最初にしたのは、やはりあの大キレットが印象深かったからか、記憶をたどりやすいのではと思ったのだ。

まずは行程メモを引っ張り出し、昭文社の山岳地図を広げて照らし合わせ、ルートの確認から始める。同時に画像データを開けてルートのどのあたりで撮ったか把握していく。画像ホルダーには風景写真や分岐、山頂三角点の画像もあるから、それが記憶を呼び覚まし確実にしていくのに大いに役に立つ。

山行の概略をつかめたら登り口からルートを追って、歩いた道すがら見つけた草花について書き始める。書くほどに記憶は鮮明になり、蘇るほどにまた筆が進む。
草花を追うごとに標高は上がり、山頂で筆が止まる。PCのディスプレイ一杯に広がる阿弥陀岳からの眺めに見入ってしまう。これほどまでに画像に魅せられるのは、とてもカメラのフレームには納まりきれない雄大な光景や汗ばんだ背筋や首筋に当る涼やかな風の感触、緑や土の匂い、それら5感を通して受け取った全てがたった今のことのように鮮やかに蘇るからなのだ。

山の草花を書くことはとりもなおさず、その山行を追体験することであった。気がつけば「またちゃんと登れるだろうか」などという恐れや不安は一切が雲散霧消していた。
それよりはるかに豊かな山への憧憬で心地よく心が満たされていた。

作業療法が身体のリハビリなら、山行の追体験はとりもなおさず精神的リハビリに違いなかった。

ドクターが言う「全治3ヶ月」までもういくらもない。それからバリバリ鍛えなおす作業に入ったって、時間はたっぷりあるのだ。


*「勝手に植物図鑑」の2008年アーカイブはこちら



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