鉄、この部屋

【No Train,No Life】いろいろ緊迫、終電間近の運転見合わせ

2013 / 03 / 01

人身事故――。
理由はどうあれ被害者の方にはお気の毒、そしてそのおかげで鉄道が運転見合わせ、遅延などで不便を被った人もお気の毒なこの事象。
発生場所やその状況によっても異なるが、最悪のケースでは"時間"の単位でその区間を通過できなくなるわけで、現場に近い駅ほど加速度的にパニック状態は大きくなる。以前も書いたけれども、ビジネス街の帰宅ラッシュで発生したときには駅員(筆者ね)も正直、身の危険を感じたものである。
ただ、この状況が日中であれば、時間は掛かってでも停まっていた電車はいずれ動き出し、遅延状態も回復しながら最終電車を迎える。当事者である事業者なら「ああ大変な1日だった......」でその日を終えることになるのだが、これがもし終電間際で起こるとどうなるか。
今回はそんなお話し。

20130301pict_b.jpg
トラブル時はとにかく大混雑のJR・京急品川駅。
ちなみにこちらは2年前に台風がやってきたとき
去る2月26日の午後11時55分ごろ、JR京浜東北線・蒲田―大森の間で人身事故が発生した。運転再開見込みは当初27日の午前1時20分。実際に(全線で)再開したのは午前0時50分だった。

この通知を見たとき、元駅員の頭に浮かんだのはまさに地獄絵図。週半ばの火曜日とはいえ、埼玉と神奈川のベッドタウンからビジネスタウンを結び、しかも首都東京を縦断する路線である。終電間近、ただでさえ混雑するところで電車が運転できないとなれば......現場から少し離れた駅、たとえば品川―大宮と川崎―大船で折り返し運転を先に始めるとしても、真ん中が通らなければ多くの帰宅客がホームに溢れ、また車内に閉じ込められることになる。運良く私鉄駅に乗り替えられる駅にいても、私鉄だって終電間近なのには違いなく、京浜急行の品川駅などこの手のトラブルで大混雑になるのはもうおなじみだ。
ただ、この状況でも全線が再開さえすれば帰れる人はまだいい。仮に大宮駅で大船行きの列車に乗ったまま足止めを食い、1時間後に運転を再開したうえでノロノロ運転の末に2時間ほど遅れて大船駅に到着したとしても、大船在住ならまだ救いがある。
ただ、そこから先も湘南モノレールを乗り継いで片瀬江ノ島の在住なんです、なんて人はどうなるのか。大船で置き去りになるのか、それとも湘南モノレールは終電から2時間遅れても運転してくれるのか?

今回のポイントはここ。
まず、終電間際で運転を見合わせたり遅れが出たとしても、当事者である鉄道会社は予定されていた終電まで運行するのが原則である(このままでは始発に引っかかるなんて場合は別)。なので上記のようにたとえ大宮から大船行きの最終電車に乗っていたのなら2時間遅れたとしても大船には帰り着ける。
問題はその後。上記の例ならば、通常ならば湘南モノレールが運行している時間に戻れるはずが、2時間遅れて大船に到着した。そして湘南モノレールの終電からも2時間近く遅れている。この状況で湘南モノレールが運行しているかといえば......もちろん運行していない。
各路線には"接続"という考えがある。たとえばJR山手線内回りの品川行き最終電車(a)は、京浜東北線の桜木町行き最終電車(b)と接続している。「渋谷からaに乗れば、bに乗れる」というもので、たとえばaが"多少"遅れていても、bは品川駅で待っていてくれる。これは同じ鉄道会社だけでなく、他社間でも設定されている場合が多い。ということで、下の図をご覧ください。

20130301pict_a.jpgA鉄道でZ駅から乗車してY駅で降り、B電鉄のY駅からX駅に行く。この場合、A鉄道の"最終前"に乗ればB電鉄の最終に間に合うよう接続が取られている。つまり、"最終前"が多少遅れていても、B電鉄の最終は待っていてくれる。
では、この"多少"の幅について。ここから先は実体験。
筆者が実際にA鉄道の"最終前"に乗り込んですぐ途中駅で人身事故があり、都合1時間半遅れでY駅に到着した。終電間際の場合、車内アナウンスでしきりに「○○線はすべて終了しております......××線の最終電車50分の発車です。お乗り換えのお客さまはお急ぎください」など注意喚起がされるのだが、そのときの車内ではまったく流れなかった。Y駅に降りる際も同様なので、B電鉄はもう当然ないよなあ......と思いつつ、いちおう有人改札で確認したところ、申し訳ないですが終電から1時間遅れでもうありません、と。

つまりさすがに1時間は“多少”ではなかった。B電鉄は待ってくれていないわけで、憤りつつもしょうがないから歩いて帰るかと観念したところ......。駅員さんに「B電鉄のどちらまでご利用でしたか?」と尋ねられたのでX駅と答えると、「それでしたら本来ならば接続が取れた電車ですので、恐れ入りますがタクシーでお帰りいただき、後日その領収書をお持ちください。精算させていただきます」と続いた。その案内を大っぴらにしていないことが良いのか悪いのかは置いておくが、案内はしていなくてもこんな措置を執っていたのである。
で、ここでオチがあるのだが、たとえば同じ遅れでも図の"最終"に乗っていながら同じ主張をしても、「それはもともと接続が取れませんので......」と、この場合のタクシー精算は断られてしまうのである。私の後ろに続いていた男性が、別会社の路線を告げたところ、"最終前"ではもともと間に合わなかったのでものの見事に断られ、揉めていた(「途中で降りてトイレに行ってしまったんだ」と主張しておられました)のをよく覚えている。

20130301pict_c.jpg
混雑の写真というのもなんなので、3月16日のダイヤ改正から秋田新幹線内を走る「スーパーこまち」。
盛岡以西は在来線使用で、そこでトラブル→運転見合わせも多かったりする
これから春先もなんやかやと宴会シーズン。終電間際の運転見合わせや遅延が多くなるかもしれない。とんでもなく遅れたとしても、そんなときは慌てずに有人窓口を訪ねれば救われることもあるかもしれない。
ちなみに私、「タクシーでお帰りを」はなんてことはまったく想像していなかったが、もしかしたら当時Y駅の隣にあった系列の高級ホテルに無料宿泊させてもらえるのではないか、とは思っていた。残念だ。いや残念って(笑)。











連載 鉄、この部屋   記:

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