
湯けむり企画 その4 ―歌い手探し―
曲ができました。次は歌い手探しです。
はじめは無謀にも、自分で歌おうかと思っていました。もちろん私のそのままの歌唱力では全くお話になりませんので、1年、必要ならばもっと訓練をつんで、「よし」と確信できた時点で録音に入ろうかと。しかし、正直言ってせっかく「CDにするぞ」とやる気になったところに1年以上も、とてもじゃありませんが待てません。それに、一番の問題は声質。
自分ではあまりそうは思っていないのですが、私の声って、歌うと薬師丸ひろ子に似ているそうです。これまで複数の人に言われていることなので、まあ、それが一般的な意見と見て間違いないのでしょう。仮に私が抜群の歌唱力を身につけたところで、湯けむり情歌に薬師丸ひろ子では、ちょっと不似合いです。もっと説得力のある(もちろん薬師丸ひろ子には薬師丸ひろ子の良さがありますが)、深みのある声の持ち主はいないものか。不特定多数の人に支持してもらうには、あまり癖があってもだめ。かといって、全く個性がないのも、だめ。
インターネット上で様々な歌い手さんが提供している試聴コーナーを聴きあさったり、地元歌手のコンサートにでかけたりと、とにかく探して探して、その中で「あ」、と直感したのが、九州で活動しておられる金星麗奈さん。サイトの試聴コーナーではあるオリンピック出場選手のオリジナル応援歌を歌っていらして、「湯けむり」のしっとりとした曲調とはかけ離れた印象だったのですが、その芯のある歌声がどういうわけか心に引っかかり、彼女が提携している楽曲制作サービスに「料金は払いますので、ある曲を試しに1番だけ歌ってもらえませんか」とお願いしたところ、「自宅で録音するくらいなら無料でいいですよ」と大変嬉しいお返事が。
吹き込んでもらったものをメールで受取り(便利な時代♪)、どきどきしながら聴いてみると、…残念、私の思っていたイメージとはかなり違っていました。
そこからまた振り出しに逆戻り。近いかなと思われる声の方を見つけては、「1番だけ」とお願いし、聴いては見るもののやはり違う。
「もう、無理なんだろうか」
鬱々とした気持ちをかかえることおよそ数週間。ため息つきつつなぜだか不意に懐かしく感じられたのが、いったんは「NO」と結論を下したはずの、金星麗奈さんの声。確かにイメージとは違った。でも、歌い方を少し変えてもらえれば…。そしてそして、私の耳はあの時どうかしていたのでしょうか? もう一度よく聴き直してみると、なんと不思議。いったいこれ以上にふさわしい声の持ち主が、世の中のどこにいるでしょう。おそらく「湯けむり情歌」という楽曲に対し、私は先入観を持ちすぎていたのです。「この曲は私のもの。よって、こうでなくちゃだめなんだ」って。時間を置くことで、その先入観が崩れた。客観的な耳で聴くことができるようになったというわけです。全くこの曲を知らない人が、第一声を聴いて「いいな」と思える声。
一応「保留」という形はとらせてもらっていたものの、実質上は、お断りをした身です。言い出しにくい気持ちはありました。しかし、見つけてしまったのです。そんなことは言っていられません。再度連絡をとってみると、その楽曲制作サービスは代表者の方の事情により、現在受注を中止しているとのことでした。大ピンチ!「じゃあ、金星さんに直接依頼させて下さい」との申し出に、「それはちょっと。そのかわり、もしも時間がかかってもいいのなら、そこまで言うなら特別にお引き受けいたしましょう」
こうして歌い手さんは決定。私の直感はみごと当たり、素敵な素敵なボーカルが、めでたく円盤の中に収められることとなりました。本来は押しの強い性格ではないため、実のところ承諾のお返事をいただけるまでは、キリキリと胃を痛くしておりました…。本当にありがたいことです。感謝感謝です。
金星さんってどんな声?
コチラで試聴ができます。 → http://www.yukemurikikaku.net |