
ナンキンムシ(3)
“Z”との闘いでしんどい点は、闘いが長引くほどやることが増えるということ。例えばダニスプレーを施したからといって、以前のそれとは桁違いなレベルの掃除や布団干しをもうしなくてよくなるのかといえば決してそんなことはなくて、それらを継続した上で、「更にダニシート」「更にダニスプレー」と手段を“追加”していく。
期間が長くなると当然咬み跡も増え、かゆみも増す。そしてそれは“Z”が居続ける限り止むことはない。勝敗の分け目は、根気。Help me! はてさて、“りょ”の命運やいかに!?
<第5ラウンド バルサン>
前に住んでいた部屋でゴキブリ対策にバルサンを試みたものの効果なく、以来すっかりバルサン不信に陥っている“りょ”。でも今回はゴキじゃないし…。ええい、何でもいいからやってしまえ!
出勤前。ガス漏れ警報器のコンセントをはずし、火災検知器に袋をかぶせて、足でプシューーーッ。あとはお任せ。「頼むよ」 速やかに玄関を出る。帰宅後、換気。「一緒に“Z”も出てってくんないかな」 2〜3日は咬まれず。ふふ。が、その後、腰をポチッ。ああ、やっぱり。
勝ち ・・・ “Z” 負け … “りょ”
<第6ラウンド 妄想>
終わりの見えない不安と焦りに徐々に精神を蝕まれてゆく“りょ”。『咬まれた直後は何も感じず、長いときには24時間以上もたってからかゆくなる』 これ、“Z”による症状の特徴のひとつ。てことは、会社で咬まれたものが、潜伏期間を経て翌朝肌に表れるってことも考えられるわけで、そっかー、家じゃなかったんだ。会社だ、会社。初めから“Z”なんて居なかったんだ! 被害を確認した朝の中に、休日明けも含まれていたことなど全く頭にない“りょ”。あ、また咬まれてる。でも平気だもんね。あはは、あははは。
勝ち ・・・ “妄想” 負け … “真実”
<第7ラウンド 唐突なる終焉>
家には“Z”なんていないんだと思い込み、掃除も布団干しも完全に以前のレベルに戻してしまった“りょ”。それでも「さすがに荒れ放題は」と、休日1週間ぶりにクイックルワイパーをかけていたところ、柄の先をカーペットの下に差し入れた途端、飛び出してきたのは… 「あ、あ、あ〜〜〜!!!」 ネットで何度も目にしたその姿。ああ、そうだ。間違いない。懸命に逃げる“Z”、もとい“ナンキンムシ”。 「お前かー!」 異様な感動につつまれる“りょ”。生捕りにして逃がそうか。でも方法が…、ああ、見失う。ごめん“Z”、ほんとごめん! ワイパーの先で、御用。
その後被害はピタリと止み、勝利の余韻に浸ると同時に、大切なライバルを失ったような、一種のさみしさを禁じ得ない“りょ”。初めから一匹だったのだとしたら、うーん、すさまじい食欲だ。しかし何で? シートの端とカーペットの端とのわずか数センチの隙間にずっと潜んでたってこと? いや、あの場所は何度も掃除しているし、あの時たまたまそこに居たと考えるのが妥当だろう。いや〜、“Z”。すごかった。すごいのはわかったから、どうかもう二度と私の生活に入り込まないで。
“りょ”の願いを知っているのか知らないのか、今もこの地上では、数限りない“Z”が第2、第3の“りょ”を生み出し続けている。
勝ち ・・・ あっぱれ、“ナンキンムシ” そういうことにしときましょ☆
およそ1ヶ月の攻防の末、ナンキンムシ騒動はあっけなく決着を迎えることとなりました。結局30箇所近く咬まれたのかな?今ではすっかり跡も消え、穏やかな毎日を送っております。前の「巣」でも述べましたが、共存って難しい。こちらも生きているわけだから。殖えなくてよかった。それに尽きます。しかし疲れた。
(おしまい) |