― 木もれ陽 ―
「そっと髪にふれる白い手が
光に溶けてゆきそうで
僕は思わずその手をつかまえた
ある夏の
昼下がりの出来事だった」
あの赤い風船が
思い出を運んでく
木もれ陽の中で 微笑んでたのは
あどけない少女の君
あの赤い風船が
夢だけをのせてゆく
湖のほとり 肩を寄せ合って
風の音をきいていた
緑の森を越えて
ふたりの夢をのせて
さざ波に揺れる宝石の上を
風は通り過ぎるだろう
(ああ) あの夏の日の
(ああ) 新緑の中
(ああ) 手を取り合って
あふれる日の光さえも色あせて見えた
教会の鐘の音が
遠い空に吸い込まれてく
僕はただひとり 丘にたたずんで
風の音をきいていた
あの赤い風船に
夢だけをのせてゆきたい
君の微笑みが 僕の胸の中
甦るその日まで
あの夏の日の少女よ
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高校生の頃、自分のことを、とてもひねくれた人間だと思っていました。でも、当時書いたものを読み返してみると、そこにはびっくりするくらい素直で純粋な私がいます。この「木もれ陽」もそのひとつです。あの赤い風船って、どの風船のこと? 夢だけをのせていく? じゃあ、他にのせるものが何かあるの? 僕の胸の中甦るその日まで。甦ったあとは、さて、何をのせようか?
読めば読むほど疑問だらけ。でも、17歳の私には、そんなこと何の障害にもなり得なかった。意味なんてどうだっていいの。人のために書いているわけじゃないんだもん。好きな言葉をいっぱい並べて、見て見て、ねえ、美しいでしょう…?
そんな自分が存在したことに、何やらホッと、安堵感を覚えてしまうのです。 |