― いつか遠い島の上で ―
昔々の話さ
海の彼方 じっと見つめ続ける
若者がひとり
自ら捨てた遠い故郷
島よ
面影今も鮮やかに燃え
木の葉のようにゆらリ浮かぶ舟
水平線に手が届きそう
踏み出しかけた足に立ちすくみ
踵を返すこともできない
ぼうや どうして
背中丸め震えてる
新しい世界の風は
自由に吹きすさんでる
お前の望み通り
誰も彼もがそろって善人面
息がつまる
ばかげた掟だらけ
こんなちっぽけな島に
縛られたまま
命むだにはしないと誓ったのに
潮の香り肌を撫でまわし
忘却の果てまでつきまとう
とめどなき身悶えに怯えつつ
海のそばを離れられない
ぼうや お前は
憎みすぎていたんだよ
耳をふさげば胸の中
ぽっかり空いた隙間がひゅるり音をたてる
打ち寄せる波の音は
島人の子守歌よ
月明かりまぶた濡らし
狂い咲くは悪夢の華
ぼうや お前は
憎みすぎていたんだよ
枕に顔をうずめつつ
誰の名も呼べない
涙 心の傷をえぐる
蛇のように
そうさ お前は
愛しすぎていたんだよ
帰っておいで ここに
安らかな眠りをあげる
昔、昔
木の葉のように揺れて
海の上を
あてどなく進む 夜にくるまれ
かわいいぼうやお休みよ
お前のたどりつくその場所は…
|
|
|
 

何かの団体に所属していると、時折どうしようもない息苦しさを覚えることってありませんか?当時入っていた混声合唱団。本当はとても好きな場所なのに、もういや、どっか行きたい、こんなの意味がない…。わがままだとわかっていても、自分を止められない。原因がないから、解決のしようもない。だったら、ええい、歌にしてしまえ。
半ば投げやりな気持ちで作った作品です。「島」を合唱団に、「若者」を自分にだぶらせて。いったい私は何を求めていたのでしょうか。不安定な心をとにかく持て余していた。団員達に落ち度はありません。温かい人たちでした。ほんとに。たぶん、それが苦しかったんだろうな。あまりいい人間ではなかったから。いい人間になりたいという気持ちも、ほとんど持ち合わせていなかったし。 |