asobist.com
メルマガ配信中!
表紙 読みもの 美味・良品 ゲストコーナー

夏目 麻生の
なんてことない「えとせとら」 −遊んで、食べて、仕事して−

湯めぐり 大沢館
UPDATED 05-08-26

雨の露天風呂

大沢館 写真

露天風呂はあまり大きくないほうがいい。

一人でゆるりと過ごすのが最高だから部屋数の少ない、ちょっと鄙びた宿の露天風呂。
だけど、在ればいいんだろうとばかりに取って付けたような、せせこましいのはゆるせない。

この数年、温泉嫌いだった私も、気の合った友と温泉に行くようになった。この歳になると持つべきものは「友」。コミュニケーションも大切だし、上の息子が働くようになって、ようやく少しのゆとりが出てきて、付き合いも出来るようになり始めたというところ。

実はとっても好みが激しいうえに、予算も限りがあるので、あんまり満足は出来ずに帰ってくることが多いのに、今回は大当たり。そこは南魚沼郡、塩沢にある「大沢館」。

雑誌に載って有名になりすぎなので、どうかなとは思っていたのだけれど。
ご主人も働く人も、その辺を歩いている、おじさんおばさんの格好そのもの。サービス業っていうのではなく、素朴で、普通の親切心という感じですんなりくつろげるがいい。

悲しいことに、逗留日は大雨注意報。ずっと雨。でもなんだかとっても良かった。
なぜか、子供のころ、家の出窓に腰掛けて、降る雨をずっと眺めていたときの、妙に落ち着いた哲学的っぽい気持ちがよみがえってきた。
本を読んだり、窓の外を眺めたり、お風呂に入ったり…。


大沢館 写真そうそう、そのお風呂。
部屋に案内されてすぐ、露天風呂へ。友とは別々に、時間差をつけて。
時々、別々にお風呂に行くのは、一人になりたいから。そこら辺の感覚が合うのが、うれしい。四六時中おしゃべりに来たんじゃないから。

渡り廊下を越えて、入れば脱衣所からそのまま風呂場へ、そしてその先には緑が広がる。
二方向に開いていて、正面がなだらかに下っていって、その向こうに山並みが見える。圧巻というのではないけれど、向こうの山までずっと緑が続き人工的なものがなにも無い。
空へと際限なく抜けていく空間が、心にじんわり。

先客が出ていって、やっとひとりに。ふぅ、この時を今か今か、と待ち焦がれていたのです。
気張っていたわけではないのに、体の力がすっーと抜けるのがわかる。湯船につかって、雨にけぶる自然を見ていると、仕事をしている内に知らずと出来る、心に張り付いていた硬い殻もぽろり、ぽろりとすこしずつ、剥がれ落ちていくよう。うれしい。これが落ちなくなってはお終いだ。

あと何年このままでやって往けるんだろう。あぁ、明日っていう日はわからないんだったなぁ。あの人に会いたいな。あんなことあったな。しあわせだなぁ…。
湯を通してゆらゆらと見える、少ししまりのなくなった体のそこかしこも妙にいとおしくなるから、あら不思議。

人が入ってきたので、上がる。珍しく浴衣を着た。渡り廊下の真ん中に腰掛があって、山を見ながらアイスキャンデーが自由に食べられる。ゆるゆると小豆アイスをたべながら、余韻を楽しむ。雨に冷やされた空気が心地よい。

此処は、癖になりそう。






asobist -mini- : 『BigUp』を更新♪今回はイラストレーターのtomokoさんです! by 編集部
「あそびすと」とは?
「あそびすと」はいつも自由です。 遊び心を忘れず、ゆとりをもって心豊かに暮らそうとするライフスタイルはまさにasobismです。

表紙 | 読みもの | 美味・良品 | ゲスト
ヘルプ | サイトマップ | お問い合わせ | 初めてサイトにいらした方へ | お支払い方法
 広告掲載について | 著作権について | 個人情報の取り扱いについて | 会社情報

(C) Copyright System We. All rights reserved.