メールが来た。
「お姉さま、お誕生日おめでとうございます!・・・・・」
21歳から毎年のことだが、誕生日になると私には、妹が一人増える。
ただし、 4月から9月までのあいだのことではあるけれど…。
この期間、この友はことあるごとに「お姉さま」を連発する。
なんとなく、ただなんとなく、ほんの少し、悔しいのはどうしてだろう?
ある時、見せたいものがある。と、友達の Nが言った。
大事そうに、白い箱から出してきたそれは、グリーンの帽子。
やわらかい深みのある柔らかいウールの生地で、ブリムのない深く被るタイプ。
大きなベージュの薔薇のような花がついている。すごく華やかだ。
頼むと、恥ずかしそうに被ってくれた。
いろいろなことがあって、やつれてしまった顔が、少女のように輝いている。
アメリカ留学している息子からの思いがけない誕生日のプレゼントだそうだ。
一生ものの宝物は、それはそれは丁寧に、また箱の中に納まった。
昔、夫と、私の誕生日プレゼントを買いに、新宿のデパートに出かけた。
地下の入り口から入り、「ちょっと…」と言われて、まずワイン売り場へ。マネージャーと4、50分おしゃべりをしてワインを何本か頼んで、また「ちょっとだけ…」とパイプ売り場へ。
パイプは美しい。たばこを吸わない私でも、あれこれ眺めていて飽きない。
これが美しい。これは珍しい。これが今度ほしい。と小一時間もいただろうか。それからやっと、婦人用品売り場へ。
貧乏性で、結構好みの激しい私は、ほしいからと言ってパッと買えない。この時は本当に超貧乏だったからますます決められない。
う〜ん…。あれはステキだけれど高い!これもほしいけれどここのこの部分がちょっとね。あそこのは買えるけどやっぱり、今あるものとのコーディネートがうまくないかも。
そうこうしているうちに、書籍売場を覗きに行っていた夫が帰ってきて「もう疲れたからお茶にしようよ!」
そして、家へ帰る満足そうな夫の手には、ワインとパイプと数冊の本が…。私は手ぶら。お金はすっからかん!!「なんで、なんでこうなるのかしら?」
その年のプレゼントはいつまで待っても現れなかった。
今年の誕生日は、長男が初めて食事に招待してくれた。嬉しかった。 |