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夏目 麻生の
なんてことない「えとせとら」 −遊んで、食べて、仕事して−

美味しい空間11  新橋 懐石 高野
UPDATED 06-11-24

11月は、やたらに人と会う機会が多い。35年来の友人と10数年ぶりくらいに、ゆっくり飲んだり、大好きな年下のワインフリークの女性と1年半ぶりに新宿で飲んだり、生き方を見習いたいと思っている古い友人と会ったりしている。その上、突然のお誘いも多い。誰に会っても思ったのは、「良い生き方、してきましたね!」ということ。

中年以降になると、美男美女ということより今までの生き方、考え方が顔や姿に出る。皆さん眺めているだけで良いんだな、これが。味がある。私がそう思うってことは、きっと、他の人もそういう印象でその人たちを見ているんだろう。私もそう思ってもらえたら嬉しいなぁ。と、つくづく思うこのごろ。

別々の機会に、60代の男性が、「ジジイになったから、身の回り、身だしなみには気を使っている」と同じことを言った。二人とも、もともとセンスは良いから、「老い」ということをきちんと把握しての発言だと思う。こういう人達はやっぱりステキだ。

急に会おうということになったとき、仕事が終わってすぐ駆けつけられる場所としては、新橋辺りがちょうど良い。事務所に近いのに、新橋という場所はあまり行ったことはなく、和食のちょっと落ち着いたところを探していたのだが、先日やっと一軒見つけたのが、ご紹介する「懐石 高野」。

新橋銀座口からすぐの、小さな雑居ビルの上にある。あまりきれいでない階段を上って、扉の前に立っても、こんなところに「懐石」と名乗る店があるの?と、ちょっと半信半疑になるような表構えである。 思いきって中に入ると、カウンターだけの、思いのほか、すっきりと清潔感のある空間があらわれる。新鮮だ。店主は若いしっかり者の感じ。なかなか好印象。

まず、岩国蓮根と堀川牛蒡の蒸し物が出る。非常に薄味で素材の味が良く分かる。ほのかな生姜の風味も食欲をそそる。

「今日のお造りは、良いものをご用意しています」との言葉に期待が膨らむ。黒むつの汐汁。少量だが味わい深く、身も美味しい。

 

さて、期待のお造り、しま鯵とあおり烏賊とは嬉しいかぎり。しま鯵は天然物だけあって身が鼈甲色をしていて、味が濃く、忘れられないほど美味。烏賊も、甘くて美味しい。 器も趣味がよく、料理も映える。グラスも、多分木村硝子店製で、私の好みだ。蛇足だけれど、ビールのグラスはできるだけ薄いものが良い。

 

 

黒むつの焼き物がでたが、思わず、写真をとる前に、箸をつけてしまった。甘鯛の蕪蒸し、これはほっこりと暖かい味。日本酒は初め山形の「上喜元」でさらりと。後は長野の「大雪渓」。ほど良いコクのお酒だ。

天ぷらは、伏見唐辛子・蟹・江戸前のきすで、塩味でいただく。

 

鉄釜で炊いた、粒の立ったご飯と味噌汁、漬物。ご飯は甘く、しっかりしていて、噛めば噛むほど味わいがあり、昔の実家の炊き方と同じで、おかわりをしたいほど。デザートは葡萄(セント・ジャイアント)、柿、ラ・フランス。 すべてが小ぶりかと思ったけれど、素材は吟味されていて、最後は充分満足。

奥さんは、ソムリエ。なかなか感じの良いキビキビした方で、ワインの品揃えもある。

早い時間だったので、あれこれ魚や塩やその他もろもろ、楽しく店主との会話も弾んだ。7時半ころには満席になっていたので予約が必要だろう。もう一度来たいと思わせる、これからが楽しみな店である。あー、あまりお教えしないほうが良かったかもしれない。次は予約が取れないかも…。

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懐石 高野
105-0004 港区新橋1-11-1 JOYビル2階
03-5537-3804 ※コースのみで、8,000円から。




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