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夏目 麻生の
なんてことない「えとせとら」 −遊んで、食べて、仕事して−

美味しい空間 19 「家庭料理 瓢箪」
UPDATED 07-06-22

場所は銀座八丁目。こういう店は、昔はたくさんあったのだろうけれど、最近はめったにお目にかかれない。
「家庭料理」とあるからには、普通の居酒屋でも小料理屋でもない。ましてや食堂ではない。運んでくるのは私より年上のお姉さんたち。カウンターの向こうで美味しいものを創っているのも多分私より年上ばかり。何しろ元気が良い。手際はよいし無駄がなく、何十年ものベテランばかりのようで、「しっかり地道に生きています!」という顔をしている。なんだかとっても安心感のある、居心地の良い店である。私などは親近感が湧くせいかも知れないけれど・・・!

お客はもちろん男性が多く、サラリーマンのグループや中小企業の社長の常連客たち。接待に使われるのではなく、仕事仲間同士や気の置けない友人知人と楽しく飲んで、美味しく食べる実質味のある気取らない店。

そして銀座らしいのは、出勤前の同伴連れのバーのママや女性たちで、この人たちはさっと飲んで最後にご飯とお味噌汁をかならず食べている。これからが戦いだもの、腹ごしらえは大事というのが見て取れるから面白い。多分それに付き合っている同伴者は、常連さんで気心の知れている人なのだろうと、勝手に想像をたくましくしてしまう。

カウンターの上には寿司屋にあるような細長いショーケースがあり、新鮮な魚貝類がきれいに並べられている。その上には大皿や鉢に肉じゃがや茄子の揚げびたしなどが、所狭しと置かれている。

まず、3種類を盛り合わせた突き出しが出る。いつも必ずたのむのが「春雨サラダ」。春雨はやわらかい。マヨネーズはすごく少なく、胡椒がたっぷり混ぜられているのが決め手のようだ。食べた人はみな「旨い」というのだから不思議。家で作ってもこの味は出ない。

もうひとつ欠かせないのが「アスパラ」。太くてやわらかいアスパラとエリンギをいためて、さらにいためたニンニクが乗ってくる。これもなんとも美味しい。ニンニクをつけるかどうかを必ず訊いてくれるのも細やかな心配りでうれしい。
焼き魚はかます。お皿からはみ出して「どう旨そうでしょ!」と語りかけてくる。切り身のほうは、銀だらの西京焼を頼んだのだけれどもう終わっていて、あれこれたずねてから決めたのでなんだったか忘れてしまった(すみません)。
魚類は種類が多く、刺身・焼、煮で素材も異なる。鮮度、味ともハズレることがない。

そのほかに、茄子の揚げびたし、ぬた、なども食し、最後にあさりの味噌汁を頼んだ。味噌汁は5,6種類あり、頼んでから作ってくれるので、これもうれしい特長の一つ。
お酒や焼酎の種類は少ないし、そうそう、禁煙だったかもしれない。

「家庭料理」のようでやはり「プロの味」。素材の良さや味のバランスはさすがに真似はできない。お酒の強くない私には有難いお店で、もっと価格の手頃なこういうお店が事務所のそばにあったら良いのにとつくづく思うのでした。




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