フィレンツェ、フランス 迷走の旅!
8.アヴィニョンは、荘厳で、そして愛らしい街
アヴィニョンは西暦2000年にヨーロッパを代表する文化都市として選ばれている。
歴史地区として世界遺産に登録されているだけでなく、数々のすばらしい文化的なフェスティバルを精力的に行い続けているからである。
私たちが、教皇宮殿を訪れた時も、有名な音楽祭の準備で、中庭はステージと座席が設置されつつあった。
アヴィニョンが教皇庁府となっていたのは1309〜1377年の69年間で、7代の教皇が在位していた。ローマの内紛やフランス圧力から逃れることが理由だった。
教皇庁宮廷付属史は全員が聖職者で、行政・外交・家政などの様々な職務についていた。近親者・医者・司祭・侍従らの教皇の取り巻き、枢機卿たち、中央行政府、近衛兵などの衛兵、そして家政従事者などが働いていた。毎日300人の食事が用意され、貧民800人にパンと葡萄酒が配られたという。
教皇宮殿はヨーロッパ最大のゴシック式宮殿で、高さが50メートルに達する塔、厚い壁、巨大な広間。そして礼拝堂や居室の壁画装飾の美しさで、荘厳だ。
家具や絵画などはほとんどないので、yukiさんは殺風景でだだっ広いというが、私にとっては、今回の旅の中で、一番静かで落ち着いた気持ちにさせられた場所である。
天井はあくまで高く、空間は広く、残された壁画は平面的な技法のために、静かに、けれども圧倒的な迫力で迫ってくる。そして祝宴大広間に掲げられている巨大なゴブラン織りのすばらしさから、当時の贅を尽くした様子も想像される。

大広間の中央に立っていると、長い法衣をまとった多くの聖職者たちが、忙しそうに、けれども静々と行き交い、その裏方では、使用人たちがざわざわと忙しく立ち働いていることで、規則正しい日課が滞りなく行われている様が目に浮かんでくる。
そうした日常の奥の奥で、権力争いの陰謀が密やかに進んでいったりしたのだろうと、余計なことも想像してしまった。
日本語のオーディオガイドを聞きながら、教皇宮殿の中にどっぷりとハマッっている私を、yukiさんが引き上げに来た。全部聞いていたら1日中かかったかも知れない。
外で衛兵のパフォーマンスをしていた人に「こんにちは!」と声をかけられ驚いた。それもそのはず、日本に3年もいたのだそうだ。人懐っこくカメラにポーズをしてくれた。

カフェでお昼を食べ、プティ・パレ美術館とアングラドン美術館へ足を運ぶ。アングラドン美術館は元貴族の館を美術館にしているとのことだった。近代の貴族の館の様子が分かり面白かったが所蔵絵画は思ったほどではなく、あたり前だけれど、初めて訪れる者は、やはり個人の所蔵よりも大きな美術館に行ったほうが良いようだ。
「祝福の谷のシャルトルーズ会」や「サン・タンドレ僧院」に行きたい(シャルトルーズは、この修道会で作っているリキュールが有名で美味しいのだ。薬草酒なので、体にも良いと盲信して、外食の後のBarではこれにすることが多い。)という私の案は時間的に難しく、それならと街の散策をする。
城壁に囲まれた街はこじんまりしていて、教皇宮殿のある地域を除けば、フランスの地方都市の姿としては変わりなく、街の中心は繁華で百貨店や専門店が軒を並べ、観光客で賑わっている。街路樹の緑、カフェ、街中のメリーゴーランドもかわいらしく印象的。美術学校などのあるあたりは静かな地域。おだやかな清潔な雰囲気で、道を教えてくれる人々は皆とても親切だった。「こんなところに住むのも悪くないわね!」とhiroさんが言った。ホント!
アヴィニョンはもう一度訪れたい街である。「オフィス・ド・ツーリズム」には日本語版の案内書が置いてある。それからPass=観光パスポートを無料で発行していて、歴史的建造物や美術・博物館への入場料が20〜50%も割引になる。同行者5人まで有効、一番目の見学は普通料金なのだが、数ヶ所で利用すればお茶代くらいは出るかもしれないからぜひ利用をオススメする。
さて、帰ろうと、道端に止めた車を探すのに一苦労するが、実は街に入ってくる時も、一方通行を知らずに怒鳴られたりして大変だったのだ。運転に神経を使うyukiさんも年長のhiroさんも結構くたびれているようで、「あそこへ行きたい、ここにも行きたい!」と言う私に、内心閉口しているようだった。百歩譲ってホテルに戻ってゆっくりすることにする。

部屋は南フランスらしく優雅。バスルームはゆったりとして、設備は最新。ジェットバスで疲れを取り、近くの村まで散策をして、小さな八百屋を覗いたり、水を買ったりして、カフェでビールを飲む。こういうゆったりさ加減も、このグループの旅の大好きなところ。観光地でない地元の様子を垣間見ることができる。
庭でディナーをゆっくり食べる。夜9時ごろになってもずいぶん明るく、暮れなずむ景色を楽しむ。食事だけに訪れるビジネスマンもいるが、10時ごろからは、やっぱり優雅なセレブや、恋人同士が多い。それも美男美女ばかりだし、服装も素敵。食事もさることながら、眼の保養もしっかりしてしまった。
これっておじさんのせりふ?

