フィレンツェ、フランス 迷走の旅!
10.ワイン畑、シャトー、そしてダンプカー?
ボルドーのワイン畑は、ボルドー市を中心に、ガロンヌ河・ドルドーニュ河、そしてこの二つが合流して太西洋に注ぐジロンド河、の3本の河の流域に広がっている。
特にジロンド河左岸のサンテステフ村から上流域(南側)をオー・メドックHaut-Medoc,といい、規制の厳しい村名AOCを名乗る産地が6つ(サン・テステフ、ポイヤック、サン・ジュリアン、マルゴー、ムリス、リストラック)あり、古くから高い格付けの高品質のワインが造りだされている。
中でもポイヤックには、メドックの5つある1級格付けシャトーが、3つもあり、シャトー・ラフィット・ロートシルト、シャトー・ラトゥール、シャトー・ムートン・ロートシルトがそれで、今回は、このポイヤックをめざす。

余談だけれど、ボルドー産の赤ワイン(クラレット/クレレ(Claret)とも呼ばれる)はブルゴーニュ産のワインと違って、数種類の葡萄の品種がブレンドされる。使用されるブドウは、カベルネ・ソーヴィニョン、カベルネ・フラン、メルロー、といった品種が中心で、色は濃いルビー色。ヴァイオレット、ブルーベリー、黒い果物などに例えられる、深い香りと、タンニン(渋み)のよく利いた芳醇な味わいで、長期の熟成に耐える。その、非常にやわらかく繊細で、優雅な深みのある味わいから、「ワインの女王」とも呼ばれる。また、白ワインもソーテルヌの甘口な貴腐ワインなどがその高い品質で知られる。私は、ボルドーのオー・メドックのワインが好き。女王と言うが結構男性的なワインなのだ。本当のワイン通は「ブルゴーニュに始まり、ブルゴーニュに終わる」と言うらしいけれどね!


ボルドー市を出てから、高速を走り、北西に向かい、通称「グランクリュ街道」と呼ばれる旧街道をまっすぐ、ワイン畑の真ん中を走っていくのだ。レンタカーは今度はベンツ。ぶつけることを考えて、大丈夫な車にしたのかも知れない。もう少しで、高速道路という時、道が突然二又に分かれた。それまでは分かりやすい道で安心しきっていたので、yukiさんも私もまごついてしまい、二又のV字の先端で車は止まってしまった。結構広い道なので、後ろの車は追い抜いてくれるだろうと思った時、「ボコッ!」という音が聞こえた。けれども体に衝撃はなかった。
「ねぇ、私たちじゃないわね。」と、オロオロしていると、大きなピンク(フランス的!)のダンプカーが、二又の左側の道に入ってきて、ものすごい勢いで止まった。大柄で筋肉隆々のひげを生やした運転手が、頭から湯気の見えそうな勢いで降りてきて、何か怒鳴りながら、「降りて来い!」と大きく手招きをする。3人とも震え上がってしまった。「どうしよう!」「すっごく、怒ってるみたい!」「yukiさん行って」「いやよ、なに言ってるんだか分かんないもの!」と、ぐずぐずしていたら、運転手の手招きと怒鳴り声はさらに大きくなる。「えぇい、仕方がない」と覚悟を決めて、ハンドルに手をかけた時に気がついた。「あれれ、ちょっと待って!あの人、私たちの方を見ていないんじゃない。」彼の目線の先を見ると、なんと、後ろのほうに、もう一台の大きなダンプカーが止まっているのだ。
どうも、この2台が接触したらしく、運転手はそっちの運転手を相手に怒っているようで、私たちのことはまったく眼中にないらしい。だから、だから、出発させてもらうことにした。大きなカブトムシから、小さなテントウ虫が逃げ出すように、始めはそおっとゆっくり、途中からはすごい勢いで、現場から走り去ったのだ。もちろんちょっと見には、激突して大破なんてことにはなっていなかったからだが、どうなったのか結末はわからない。もしかしたら、数ヵ月後にレンタカー会社を通して、フランスの警察から訴えられるかもしれない。そういう実話を人から聞いているから、ちょっと覚悟している。
高速から街道に入り、しばらくは住宅街を走る。もうそろそろ不安になるという時、見えました!平らにまっすぐなワイン畑が、はじめはまばらに、それからずっとずっと続く。ブルゴーニュのブドウ畑はなだらかな丘だったから、いよいよ、ボルドーにいるのだという実感が湧いた。きれいな緑色の帯が、両側に続き、所々大きな石の十字架や女神やいろいろな像が出現する。所有者を表す標識らしいが、これがまた素敵なのだ。もちろんさまざまなシャトーも見える。小さな村も通る。有名なマルゴー地区で、「あの優雅な建物は、シャトー・パルメかしらっ?」「シャトー・マルゴーはどこ!」と、騒ぐhiroさんと私を尻目に、「まずは、ホテルに行くから!!」とyukiさんの一言。「えぇ〜、どこかでお昼、たべたい!」「ダメ!なにしろ着きたいの。」と言うわけで、ワイン畑も、シャトーも、十字架も美しい彫像も、写真も取れないまま、ひた走って、無事ホテルに到着した。
今回は、ポイヤックにある、シャトー・コルディアン・バージュに泊まるのだ。このホテルには、今話題のミシュランの、2ツ星を獲得した同名のレストランもある。ボルドー地区でも2ツ星はここだけらしいから、東京に3ツ星が8店舗あるとはすごいことらしいということがよく分かる。

17世紀から続くワイン醸造家の舘をホテルにした、小ぶりだけれど優雅な外観のシャトー・コルディアン・バージュは内装も落ち着いていてクラシック。けれども客室は、現代的でシンプルな上質のインテリアで、設備も最新で居心地が良い。ここの、なんてことないリネンのカーテンがすごく気に入ってしまい、我が家でもこんなカーテンにしたいと思った。
荷物を置いて、フロントで、予約をしておいたシャトー・ビジット=見学に出かける。

