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夏目 麻生のなんてことない「えとせとら」 −遊んで、食べて、仕事して−


「作り阿呆」に惚れたかも…。

UPDATED 08-01-12

初春。恒例の芝居見物で久々の歌舞伎座に行った。見ものは、あの鬼平犯科帳で、強面で人情もある、鬼平こと長谷川平蔵を好演している中村吉右衛門の、「一条大蔵譚」での大蔵卿の演技。おっとりとした「公家なまり」と白塗りでおかめのような「化粧」。そして、それを上回る、おおらかでぽっかりとした吉右衛門の演技がすばらしい。わざとらしさがまるでなく、力がすっと抜けている。
人の話を聞きながら、蝶に見とれて捕らえようとしたり、美女の踊りに見入って我知らず踊りだして、床机から落ちるなどの、お馬鹿っぷり。ところが、大蔵卿は、実は源氏の血を引く人物で、平家を欺くために「阿呆」を装っている(作り阿呆)というのが真相。花道の脇の席で間近に見る、のどかに笑いながらゆらりゆらりと歩いていく吉右衛門の公家姿は、しばらく忘れられないほどお見事。後で聡明で勇ましい人物の本性を現すのだけれど、その落差がなんともいえない…。昔の人が、歌舞伎役者に惚れちゃうのも分かる気がしました。

さて、もう一つは、河竹黙阿弥の世話物「魚屋宗五郎」での、松本幸四郎の宗五郎。妹を殺された悔しさのあまり、絶っていた酒を、思わず飲んだ一杯からずるずると浴びるほど飲んで、酔った勢いで妹の主家、磯部主計之助の屋敷に乗り込んでいく。宗五郎は元々酒乱で、泥酔している。そして「酔って言うんじゃございませんが・・・」と思いのたけを語るのだ。止める家族の裏をかいて酒をすべて飲んでしまいのだが、次第に酔っていく様や、酔っただみ声の声音が良い。酔いがさめた後の小心者ぶりも面白い。テレビの中で演じている時の男(例えば王様のレストラン・生きる)なんかとはぜんぜん違うのだ。やっぱり歌舞伎役者なのだ。

たっぷり楽しんだあと、誘われて、食事に行った先は「分とく山 インターコンチネンタル 東京ベイ」でした。



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