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「なんで、今さら?暴走!迷走?!」「悪あがき、冷や水」などなど、忠告・警告・横ヤリを尻目にとにかく飛んで出ちゃうんです。もう、ほっといてんか〜!!!

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瑞垣山、金峰山登山 ガンメンにガンメン、やっちゃった〜!!!

その3.5月6日 金峰山山頂〜富士見平・下山



幾重にも重なる山並みのはるか、そのまた上空に清々と富士が裾野を広げている。
えっちらおっちら汗して登ってきたからには、また降りねばならない。
ああ、やれやれ〜

メチャメチャ酷い道をとって返すかと思っただけでウンザリ。まずは残雪面で踏み抜いて、足を抜くのに一苦労。凍結した斜面を降りるのもヒヤヒヤだが、アイゼンで巨大な岩くれをよじ登り、ずり降りるのがものすごく恐ろしい。そう度々アイゼンを着脱するわけにもいかない。当然スピードは上がらない。

最初、南アルプスが浮かぶ天空を目指すかのようなルートを、ゆるりと右に回ると、やがて八ヶ岳の峰峰の方角へ寄っていくような感じになる。

父は北信の出であった。スキーはお手の物でスキー山行で遭難しそこなった話も記憶に残っている。そのへんの農家が耕作に使う馬を乗り回して落馬したとかで、父の前歯が空いているのは落馬して前歯を折ったからだとも聞いたことがある。
志賀高原のすそ野で育った父が仰ぎ見、駆け抜け、しばしば懐に抱かれた山々の風景は、今ワタシが目の前にしている光景と相似だったろう。これこそがワタシが知らずと山に惹かれていった因縁だと認めざるを得ないではないか。

トラブルメーカーな父をいつのころから忌み嫌うようになり、やがて疎遠になっていったけれど、「血」は争えないとはこのことなのだと思い知る。
父が亡くなって心底ほっとした。害なす存在がひとつ消えた。
にもかかわらずジクジクと侵食されるような寂寞はなぜなのか?懐かしさと嘔吐がないまぜになって昏倒しそうになる。

もう半月もすれば、アイゼンを必要とすることもないだろう。季節柄、最も半端な、ヤッカイ極まりない下山にヨレヨレ。
もう、ヤマのバカーッ!!!
いやいや、センチなことを言ってるバヤイじゃあ、ぜんぜんない。
徐々に気温も上がってきて、日差しをまともに浴びる稜線歩きはふーふーに暑い。気がつけば寒い寒いで明けた時の服装のまま。ラッキョの皮をむくがごとく、脱ぎ捨てた。ゴアの雨具の下にダウンジャケットまで着こんでりゃ、そりゃ暑いわな。

13:53 大日岩着
二言目には「ヤバイっす」が定セリフになったがごとく、豆板醤は「下手すれば最終バスに間に合わないよ」と目を吊り上げる。

ほったらかしにしてきたテント場の富士見平から、運んできた荷物を全部しょって瑞垣山荘まで1時間の上かかる。最終バスは16:40なのだ。
そこから韮崎駅までは、バスで1時間20分。とても歩ける距離ではない。その上、瑞垣山荘でタクシーを呼べる補償はどこにもないときている。

とは、わかっていても足が進まない。
ああ、もー、ダメ〜!!!!
ほんとに昏倒しそー!!!!!

ヨレヨレのクタクタでようやく富士見平にたどりつき、やっとの思いで一服しながら水を飲んでたら
「そんなことしてる場合じゃないよ」
豆板醤に怒られた。
「もー、ムリ!なんなら先に行っちゃってッ!」
己の弱体を棚に上げて、逆切れしちゃった。情けな!

「あきらめないで最後まで頑張ろうよ。頑張ってダメならしょうがないけど、最初からあきらめないで…」
大人な豆板醤。

テント撤収、荷造り完了して、それこそ汗かきベソかき、もつれる足、ヨレヨレしながら、それでも必死で降りた。

林の向こうに、瑞垣山荘が見えた。
バスがやってきて止まった。
「やったー、間に合った!」
「ギリギリ、セーフ!!」
16:34 瑞垣山荘着。

バスに乗ったが早いか寝てしまった。目が覚めたらバスは韮崎市内を走っていた。
街のどこからも富士山や、八ヶ岳や南アルプスの峰峰も見える。

いいじゃん、いつの間にか芽を出して育ち始めた「山恋し」の種、どんな木になるのかみてみるのも…
命の連鎖のプロセスの中で絶えずくりかえされる新陳代謝。暦が確かにひとつ回ったのだ。善なりし歓迎すべき「種」ならば受け継げばよかろう。断ち切られるべき伝播を断ち切ることに比べたら、なんの苦もないことよ。
そう思いながらバスに揺られた。

*後日、アタシのチョースローっぷりの原因は判明した。前日ガンメンにガンメンをイカレちまったのもわずかに一端を担っているかもしれないが、やはり雨に降られて寒さが身に浸みたのだ。風邪の初期段階だったために高度順応が上手くできなかった。そういうことのようだ。下山後、下痢、喉の軽い違和感など症状が取れるのに数日を要した。


記:小玉徹子 2008/05/12


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