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町役場をこの3月に早期退職されたTさんから、「山茶会のお知らせ」をいただいた。八十八夜の数日後のことだった。主催者も明記していないような不思議な案内だったが、場所を移動しながらの時間の流れは、克明に記してある。午前9時の草部(くさかべ)吉見神社参拝に始まり、お茶畑現地視察〜釜いり農家視察〜山茶採取〜湧水採取〜山茶会実演〜釜いり実演〜お茶会と続く。

これだけで、様子はおおよそつかめた。草部地区は、阿蘇カルデラ内外に広がる高原の里・高森町でもそのまた山間部を占め、宮崎県境に近く、阿蘇神話ともかかわりの深い土地柄である。そこで昔ながらの自然なスタイルの茶会を開こうとしているらしい。お茶よりアルコールという口の私でも、ビビッとくるものがあり、駆けつけた。駆けつけた時は、既に二子石さん宅前庭で山茶の葉を火であぶる時間に入っていたが。

絶好の晴天下。たき火で枝ごとの茶葉をあぶる。煙がすごい。音もバキバキ。かたや青竹を切って作った「竹かっぽ」で、汲みたての湧水を沸かす。あぶった茶葉をヤカンに入れ、湯をそそぎ、湯呑みサイズに短く切った竹かっぽの器で飲む。野趣、ここに極まれり。一帯の住民たちは昭和30年代初めまで、この方式で茶を飲んでいたという。

※写真左:五月晴れの下の山茶会。傘の下に和服姿の近藤美知絵さんがいる。
※写真右:青竹を切って作った「竹かっぽ」

庭に長テーブルを出してのおおらかな茶会だったが、数歩引いてカメラに収めていると、古代の神たちの戯れに見えてくる。実はこの場に「お茶を楽しむ会」主宰者の近藤美知絵さんが、奇縁で千葉から参加されていた。山茶に賭ける熱い思いを、物柔らかく風雅な口調で語った。アマテラスが、風趣に誘われて、今ここにしかない茶葉の舞いを舞っているようだった。
まだなお、午前。この茶会の主催者は、きっと近藤さんも強調していた「気」だったのだろう。自然の、山の、そうして人の。

記:福田 章
特派ルポ九州よかとこばい

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