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まだ世に出ていない絵本の原画展をした。5月下旬に南阿蘇一帯で「えほんのくに誕生祭」という地域づくりの一大プロジェクトが発進し、それにからんで私も、絵本の原作を書いた。そこに至る経緯は長くなるので省略するとして、その絵を描いてくれたのが、漫画家の川崎のぼるさんであることを強調させてもらおう。川崎さんは3年前から、熊本市近郊の町に住んでいる。
まだない絵本のタイトルは『岩石おばさんとホー 猫の火まつり』。超能力者なのかただのほら吹きなのかわからない民宿のおばさんと、神秘的で多芸多才な猫が織りなす物語だ。ホーは10年前まで私が飼っていた白猫ヒューがモデルで、それが劇画界で一時代を築かれた川崎さんの新境地のお仕事により蘇った。蘇ってみると、予想以上にユーモラスな猫になった。気韻生動ただならず、画用紙を引っ掻き、額のガラスも研ぎ破って、飛び出してきそうである。
「『巨人の星』が川崎のぼるなのではなく、『いなかっぺ大将』が川崎のぼるなんです」というご本人の言葉が、十二分に納得できた。ひとつ愉快だったのは、ホーは清流からアユを掻き出す技も持っているのだが、大漁の時は、北海道での熊と鮭の組み合わせのようにクマザサに成果を差して担ぎ歩くという構図を、不肖の作者も巨匠の画家も、ともにイメージした点である。
来場者から「本はいつ出るんですか?」と聞かれっぱなしだったが、川崎先生は商売を意識せず、悠々自適に楽しんで描いておられるので、神ならぬ身の知る由もない。実りの秋あたりに出版されれば、昇天したヒューちゃんともども、天にものぼる気持ちになるだろう。 |
記:福田 章
特派ルポ:九州よかとこばい
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