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この連載の3回目「原画展の裏側」に書いた私の原作、巨匠・川崎のぼるさんの作画による絵本『岩石おばさんとホー猫の火まつり』は、まもなく全30数点の絵が完成する。
とはいえ出版社未定でまだ巨匠の机の上に絵がある段階なのだが、熊本や九州では制作の話題が先行していて、NHK総合テレビのニュース番組内で流れたり、ついに全国に飛び火して9月6日の朝日新聞「ひと」欄にも、この作品がらみで巨匠が登場した。すると気の早い読者が問い合わせてきたらしくて、神奈川県の書店の方から「いつ出版されるのか」と、私あて電話がかかってきた。形になるのは、年明けかもしれない。
そこへさらにこんどは、NHK熊本放送局が25分のドキュメンタリー番組をつくるという。長年、劇画界の第一線で活躍を極め、熊本へ移住した巨匠の現在にスポットが当たるわけだが、巨匠初の絵本となる『猫の火まつり』の比重は大きく、企画原作の私も画面に引っ張りだされる。なにしろ作品の舞台は、私の住む高森町など南阿蘇一帯なのだ。9月12日に同局のIディレクターがロケハンに来られて、19日に撮影が行なわれた。

当日の撮影は巨匠と私とが南阿蘇鉄道高森駅前で再会する場面から。その後、根子岳の展望抜群のらくだ山、3月に野焼きがある鍋の平、絵本の主舞台である上色見小学校跡「阿蘇フォークスクール」の順に回った。高森湧水トンネル前で、巨匠に、岩石おばさんのモデルのおばさんとも会っていただいた。
巨匠は『巨人の星』や『いなかっぺ大将』などを描いていた黄金時代、ほとんどマスコミに出るのを控えておられたという。今や余裕の仙人のような風貌でいらっして、泰然とインタビューを受けるお姿が頼もしかった。「高森田楽の里」(連載5回目でのT)での撮影を兼ねた打ち上げでは、上機嫌で、囲炉裏の竹かっぽで熱燗のついた地酒「霊山」を召し上がっていた。
私は文字通り、巨匠らの作品群で育った世代だが、Iディレクターは昭和50年代生まれの女性で、かの名作群をリアルタイムにはご存じない。ある意味幸いに、巨匠相手にまっすぐ切り込むことができ、文学的感性も豊かだから私も話していて楽しく、ずいぶん余計なことまでしゃべったような気がする。巨匠とIさんと私との三位一体のがんばりと周囲の多くの方々のご協力で、よい番組に仕上がることを願う。
放映は10月6日(金)午後7時30分〜7時55分「ひのくに発信塔」(同8日午前8時〜再放送)。今回は熊本放送局管内に限っての放送である。
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記:福田 章 2006/09/21
特派ルポ:九州よかとこばい
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